強い奴が好きだ

弱い奴は嫌いだ


強い者は大岩だ
動じず揺るがず転がらない

弱い奴は砂場の砂利だ
風に吹かれてどいつもこいつも見分けがつかない


強い奴は大樹だ
ねじ ....
碧の海 砂の珊瑚色
青深き遠 黒深き深

板根のもごよう森の床
少女の裸足

太陽の斑点と汽水域
泥を馳せ蟹をとらえる

森の精が瞳を閉じたまま
揺らす少女のキャミソール

鉛 ....
少女が爆死したその瞬間は
少年の爆死したその瞬間だった

少女が生きたその時間は
少年の生きたその時間でもあった

少女が愛した世界は
少年の愛した世界ではなかった

少女が憎んだ敵 ....
全ての生に死があり
全ての生が死を恐れている

なんて看板片手に
お前らは愛の泥団子をキャッチボールする

その手のひらには骨がうずまっている
そんなことには皆あきあきしているのだ

 ....
まず前置きいたしますに

私がいつも憎んできたのは
全ての思春期的なもの

すなわち

わがまま勝手に膨らむ
脂肪のかたまりでして

そんなぶよぶよたちに
後ろ回しの蹴りを入れる ....
ほれ、そこの足元のぺんぺんぐさ
それくらいの砌からここに立っておるでね
ここらならまぁたいていのことは知っておるよ

たまにあんたみたいな
動き回る奴が訪ねてきおって
なにやかにやと尋ねお ....
あかねずみは困っていた

今年は{ルビ楢=なら}の実が凶作だった

けれど、それで困ったわけじゃない
代わりに{ルビ椎=しい}がたくさん取れたから

国立チュー央大学の教授によれば
ど ....
夜半過ぎ

虫取り網を振り回す男から

「とうとう星を捕まえた」

との打電がありました

目下確認作業中ですが

国民の皆様は慌てずに

配給札と戸籍表を準備して

 ....
そういつも野にいれば

季節の移り変わりが さぞよく分かろう

などと申されるかもしれない

 

けれど秋は

一時の眩暈のようなもの

縷々たる乙女の絹髪の ほつれた枝毛の ....
君待つ 夜守りに
世話好き やもり


いのちもつきよと
宵待ちばな 咲き


あらこんばんは
あらおひさしう

あちら こちらと
たがいに行き交い

あくべきあらねの
 ....
望月のごとき尻を
平手でぴしゃんと打つ娘

うるさくまとわる
蚊どもをやる
夕立に灯す 命や

ほたるぶくろの ほのあかり


    *


ゆうやけ 山の向こうから
風を呼ぶのか ひぐらしの声
あさやけ こどものはしゃぎごえ
まけじと陽気に あぶ ....
坊は星を描く

無造作に刻む

ただ溢れる命のまま

その並びに想うことなく

黒い画用紙に 色をばらまく

もみあげを巻いた家庭教師らが

ひとつひとつ注釈を加えては

 ....
イディオとサヴァンは瓜二つ

それもそのはず 種ひとつ

イディオは天才 サヴァンはあほう

サヴァンは道化でイディオは発明家

どちらも村の人気者

だけど夜にはふたりはひとつ
 ....
公園のマロニエが葉枯れを始めたのは
この夏が乾きすぎるからだけではあるまい。
 
錆びついていくあの緑を眺めていると
胸を吹き抜ける地中海の風も止んでしまった。

薬草園のグリーンハウスで ....
何か採れたか

という声に振り向くと

土手の上にいたのは

夕焼け色の親父であった
14歳のマァギー・マァリィが時計塔から見下ろしたのは
この腐った街の赤レンガ通り
こびりついたチューインガムみたいな
ホームレスたちだけが その上で輝いていたのさ

奴らは何も持たずに生きら ....
うす絹の雨の向こうで

君はほのあおい街燈を見上げながら

卵色につめたく熱せられたそれを

死にそうなけもののように銀鼠色に湿るそれを

ナイロンでつつんだ胸もとに抱えて立ち

 ....
天に口蓋を開いた両生類が

  鼻孔をふんと開けぴろげ

    嫁盗り合戦の前日祝いと

      水晶の花火を打ち上げる
Amy Amy Amy
Amyは世界一 このスペルが世界一 
えいみー この音も世界一

Amy Amy Amy
Aは大文字 mは真ん中 yが下まで
A・m・y このバランス世界一

 ....
流星群のようなどしゃぶりの下

みるく色の傘のおんなと

革靴を濡らして駆け寄るおとこを

われらはまるで永遠のように見た
角帽風情のあおがらすが{ルビ鴉々=ああ}と鳴き

きむすめの紗はちりぢりとやぶかれる
 王は玉座の上にあぐらをかくという、実にやんごとなき姿で悩ましげな溜息をひとつついた。

 やんごとなき王のやんごとなき御尻のやんごとなき御穴の御周囲に出来たる、やんごとなき御痔疾のせいではない。 ....
最近の牛は 肉と鉄を喰ろうて

草とビニルも嗅ぎわけられない

それも

{ルビ反芻=はんすう}ばかりで 飲込まないから

土が肥えず おくびで花も枯れた
その昔も昔には

あの白く大きな花の

ほっこりと黄色い{ルビ花芯=かしん}には

ひとつにひとりの乙女が生まれ

若者たちはその花乙女らを嫁にせんと

競って{ルビ夏藤=なつふじ ....
妄想は猫が食らひて

たうたう肥えはじめた
知風(86)
タイトル カテゴリ Point 日付
私は強い奴が好きだ自由詩3+*06/11/19 0:06
*琥珀と私・その4<試論無修正版>自由詩306/11/13 12:36
*琥珀と私・その3<試論無修正版>自由詩306/11/6 7:48
*琥珀と私・その2<試論無修正版>自由詩206/11/4 6:24
*琥珀と私・その1<試論無修正版>自由詩1*06/11/4 0:11
*追想*自由詩106/10/28 20:01
*桜色の秋*自由詩106/10/13 1:32
*真夜中のニュース*自由詩006/10/12 2:09
*夏乃夢・ゲノム<無修正版>*自由詩306/10/11 1:35
* 君待つ夜、祭り *自由詩206/8/6 19:56
*愚かならざる娘*自由詩1*06/8/4 20:14
無題二編・夏自由詩306/7/29 2:28
*賢き者らに隠匿されし偉大にして無罪なる芸術家の肖像*自由詩006/7/18 0:30
*イディオとサヴァン*自由詩206/7/16 9:44
アロマタイズド自由詩306/7/14 20:09
*瓶ビイル自由詩306/7/12 20:30
*なぐさめ屋ジョニィ*自由詩106/7/11 9:20
水芭蕉の相対性自由詩206/7/10 14:31
*洪水警報の夜自由詩106/7/9 1:09
Amy(改)自由詩0*06/7/8 3:56
雲上の何気ない日常自由詩5*06/7/7 12:31
太母と好奇と美の理想自由詩106/7/6 20:31
王の退屈散文(批評 ...2*06/7/6 4:03
詩がなき今世の子牛たち自由詩106/7/5 22:21
泰山木と喪服自由詩206/7/5 5:59
かたはら自由詩3*06/7/4 21:11

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