「水流の果て」
円
鼓膜をふるわす深緑の葉音
幸せな季節のうららかな羽音
流れる
幾何学をまとった馬車の轍の下で
土の動物の思惟と哲学は時に溶けゆく
地球の宴には
....
異国の風が海原を越えて
俺に吸い込まれ膨張する
暁の光が屈強な雨雲にさえぎられ
細やかな雨が、露とざす街へ静かにささやいて
永遠を
嵐のような
俺の歌は空に拡がる
届かぬ ....
電話のむかうの声は、広島から来た
優しいいたわりに満ちた父の声だつた
祖母がさつき亡くなつたと告げてゐた。
東京の空
広島と同じ東京の空
思へば 貴方は疲れを知らせもしなかつた ....
1
おもくながい 風は
淀んだ空気を気だるくふるわせながら
駆ける一輌の列車の脇で寛いでいるように思える
2
浮ついて上気した 私は
正気に戻ろうと
よろめく身体を夜の灯に預け
轍 ....
虚空を望むと広がる視野
ぎりぎりと絞られているのが嘘のように
《いま》から《いま》へと動いている
かなしみの海原が轟いている
黄昏のしじまの中で
わたしは世界を見ているのだ
浮標は ....
あなたはただひと掻きするのがよい
みぎもひだりも きにせずに
記号音を置いていくのがよい
まえもうしろも きにせずに
かなしみの波形のささやきには
からだを削いでみるのはどうだろう
か ....
握り潰した感情の矛先 枯れ葉ミライ
潰れた喉で悲鳴をあげるような僕だけれど
誓うよ たとえ太陽に眼を焼かれても
幼い頃 僕が母と 架空索道から見渡した照り葉パノラマは
....
喉をつたう 唇の奥深くは
黝い写真がモニターに
やんごとなく 流れてながれ
モンタージュのうららかな偽造には
のびる身体の一部をひきちぎって
奢侈なタイマー30分のあ ....
嗚呼、
キミが見つめていル。
雨粒、夥しく、轟音、舞う強い光の束。糸。
嗚呼、
キミの哀しみをボクは抱いていル。
1,2,3,4,5,6,7,8,9,
・・ ....
それは肢体のまわりから立ち昇って、存在したと確かに(それはパトス)、
薄暗に陰が頭をもたげるから、ながくひきのばされた刻、刻、刻、
は消息を知らせてくるけれど、
不在の中で微弱に生動す ....
あたたかい子宮の忘却(兵士たちの白目)、
膿んだ地の、下の、徹っていった水、その痕
育った果実の潰れる、幻聴鳴り渡るのは怖いものだ
若葉の匂いたつ木立、なぎたおすどくろの群れ
命知らず ....
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