かなしい
かなしい
かなしい
音が
三回して

水たまりの鯉は
のたうちまわっていました

おたまじゃくしは
海の中で目を白黒させていました

砂漠では
珊瑚が立ちつくしてい ....
何度ささやいたかわからない
あいしている
のうち
一度だけは
「哀している」
と言ったのだ
きみは気づかないが

かなしもまた愛し
あいしもまた哀し

きみが肩に頭をのせているあ ....
わたしにはわかっていた
たのしいだけのまいにちが
しばしば
のこしたすうぷのように
あたためられずに
そこにあって
こんやかぎりのゆめのあと
なんども
めいわくだよね
てがみはもうだ ....
白い砂浜に続く足あとが
あなたの逡巡の時間だった
五月
私とあなたが確かめ合った
ただ
それだけ

テトラポットの陰で
立小便をしていた男の子が
唯一の愛の証人であったことなど
知 ....
あなたに会う前に
体中の毛を剃りました
もっと
私をひりひりさせてください
雨の下にずぶ濡れていた
左手にワイン
右手にパン
行き場なく

真夜中のスーパーの駐車場
雨を吸い込んだ衣服が鎧のように私を固定する
じゃりじゃりした下着の中では
排泄物が雨と親密にな ....
夜はどこにあるのですか
しまってあるのですか
どこに
すぐそこに
見えませんか
そんなに澄んで見えますか
あなたの見ているあれは
実は
空ではないのです
あれは
ただのふろしき
 ....
夕焼けに
あなたをひたしておいたのは間違いだった
体の重みが邪魔でならないというように
身をよじって窓辺のベッドに横たわる
へそのくぼみから腰骨
肩甲骨
うで
まるく光る乳房
あごの下 ....
赤やら黄やらだいだいの粉を撒き散らしたような
圧倒的な紅葉折り重なる奥羽の山々
夕陽に最後の輝きを放ってまもなく
稜線が青色のコントラストを描き出し
やがて灰色ににじんでいく
夜には黒色の厳 ....
胃路は臭へど塵塗るを
我が涎そ
津ね
奈良

ウイーの奥や
魔境越えて

砂丘
目見し
絵紐背図
愛飢え
丘聞く

濃さ
死す背育ちつ
手となりぬ根の
這ひ
増へ




母屋
射ゆ
獲よ
羽を
東北の湯治場
暗く高い天井にもうもうとこもる湯気
湯に漂う吸い尽くされた乳房

東京の銭湯
午前三時
夜の女たちの化粧を溶かし込んだ湯が
白く濁る

水に集う
サバンナの象の群れ
 ....
お互いに歳をとったら
春の日の縁側で
あなたの膝枕で
眠るように死にたい
と言ったら
あなたは泣いた

六畳間の安いパイプベッドの上で
まだ社会にでることすら想像できなかった
若かっ ....
指紋が頬のうぶ毛ににじんだ

できたての人間の感触が
内側からじんわり押し返す

生の生が生きている
目の前で。
そのことにあまりに感動したので
命名「生生」

なんだかビールが注 ....
かにを飾っているのよ
私は自分のことを露出狂みたいに
何でも話して同情を乞うのが嫌いなの
けどかにを飾っているところは見せてあげてもいいわ
流しの排水口から毎朝ね
かにがでてくるの
小さい ....
赤すぎる飴
兎の目だった

穴ぼことなった眼窩から
こどもの指がのぞく
おそろしいぬいぐるみ

甘い香り漂う
赤すぎる飴
飴に透かして見た景色は
現実との連続を失って
兎の穴ぼこ ....
「月と火星が何万年かぶりにデートしてる夜に
そんな話するの、やめようや」

都心から一時間半
駅前にコンビニは一軒
周りは畑というこの駅にも
タクシー乗り場があるのだが
終電まではほとん ....
青白い校庭のすみで
二人手をつなぐ
土管の中
ひんやりと湿ったコンクリートの円形が
彼らの頭から足先を連続させて
皆既月食のように輝いている
静かな夜

土管の外側は小さなタイルのモザ ....
書く端から
言葉がもろい陶器になって
ぱりんぱりん割れていくので
どんなに壁にしがみついても
もう書けないのです
コンクリートは湿ったにおい
かび臭い指先から滴るインクでは記号にならない
 ....
目を閉じると
じんわりと
生まれてくる
赤い光
胎内で見た
原始の思い出
水と光を得て
地上に立つ
ヒトの姿
アフリカの原野
地平線
沈みゆく太陽
雨に洗われた
無数の星が瞬 ....
誰もいなくなった教室で
同じ図形をノートの端にひたすらに書くということを止められなくて
一本の線で四角をどんどん連鎖させて黒くなるまで
はじまりがどこだか見えなくなっても
鉛筆の先に終わりはま ....
To bed, or not to bed
that is the question

古い冗句だ
だが今二人に突きつけられている状況は
これ以上でもこれ以下でもない
生きるべきか、死ぬべ ....
地獄のとある片隅に
けしごむのかすがうずたかく積もっている
ここはけしごむ地獄
後悔ばかりして生きていた人間が
人生を白紙に戻すため
けしごむを動かす
ぐい、ぐい、ぐい

自分の人生は ....
倦んでいた
人ごみを避けると風が冷たかった
空の色が変わろうとしていた
古本屋でたまたま買った
サガンの「悲しみよ こんにちは」を
喫茶店で一気に読み終えたあと
いたたまれなくなって
ひ ....
私は拒否された
冷たく重い扉の外で私はゴキブリのようだった

歯の奥でコンクリートがじゃりじゃりする
深夜四時
新聞受けに挟んだ手を抜くこともできぬまま
このまま朝まで過ごすのだろうか
 ....
紺がすりのような夜を眺め
穏やかな一日を思ううち
心は幼年に浮遊して
小さな手から落としたごむまりを
おにいちゃんが思いっきり地面にたたきつける
ぽーん
ぽーん
空を見上げて
追いかけ ....
美しい憂鬱
高貴なる倦怠
曇り空の下のチューリップ
仔猫は路地を駆け出し
大きな黄色い車に轢かれた
子供たちはチョークで人型を描き
死体を学校の花壇に埋めた
その土によってしか咲けなかっ ....
わたしもかくし
あなたもかくし
あそこもかくし
あんなこともこんなこともかくし

わたしも隠し
あなたも隠し
あそこも隠し
あんなこともこんなことも隠し

わたしも書く詩
あなた ....
いまひとひらの蝶
ゆっくりと私の眼を奪って
流れ着いたのは何の彼方でもなく
オフィスの私のデスクだった

電話の喧騒の中
不意の来客は用件を語るでもなく悠然としている
よく見ると胸に社章 ....
私の希いはただ一つ
平穏無事でいることだ
いつも寄り添い許してくれる人が一人そばにいてくれたらもっといい
生活するお金に心配がなければなおいい
世界中が平穏無事ならそれはすばらしい

居間 ....
岡村明子(100)
タイトル カテゴリ Point 日付
メルヘン自由詩6*03/11/15 23:15
しぼむ自由詩1003/11/12 2:15
口に出して言えないこと未詩・独白303/11/12 2:13
初恋自由詩503/11/9 14:14
愛している自由詩403/11/9 0:33
アスファルトの磔刑自由詩403/11/8 1:28
ふろしき自由詩703/11/8 1:24
カーテンコール自由詩603/10/29 2:00
COLORS in Fall自由詩103/10/29 1:58
以呂波うたの実験自由詩403/10/22 23:48
五十音の実験自由詩1203/10/22 23:46
風呂場に集まる女たち自由詩503/10/22 23:10
四月×日自由詩503/10/21 0:18
命名自由詩003/10/20 13:45
かに自由詩203/10/20 13:44
自由詩103/10/18 22:28
エッセイ・月と火星が出会う夜散文(批評 ...203/10/15 0:55
土管自由詩403/10/11 1:27
迷羊自由詩603/10/9 1:13
残像自由詩103/10/9 0:04
ボギー大佐マーチ自由詩503/10/7 11:36
命題自由詩003/10/5 21:56
けしごむ地獄自由詩303/10/5 21:52
十月×日自由詩603/10/4 2:39
むし自由詩403/10/2 0:24
ごむまりの月自由詩703/9/30 22:26
自由詩603/9/30 22:10
リフレイン自由詩003/9/28 3:20
自由詩703/9/28 2:41
無題自由詩1*03/9/26 13:09

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