触角と触覚を這わせつつ
小さな放電に胎児は笑うよ
仄かに点灯する眼球
路地裏の医院は
そのまま海底に通じる墓標
アネモネが花開く
あるいは蛟の陰部
泥の中では常に交合していると
博士で ....
図書館で『アンチ・オイディプス』『特性のない男』『謡曲集』を借りるが、突然の豪雨に襲われる。
それはそれとして、今更ながらにドゥルーズ=ガタリは面白い。読み始めたばかりだが、壮大な散文詩と言えな ....
なにもない。なにもないということは、なにかとなにかの間であり続けること、間を巡り続けること、遊行すること。
そこではなにかであることは雪の如く舞ってゆく。雪の中のように何処が境目なのかはっきりし ....
イプシロン、シロンの岸辺に
登録された腕輪。
水仙ではなく、雨の裏側から
一束の蓴菜。
飛び出したまま、ジャングルのパターンを
繰り返す。
落水、フレスコは激しく燃焼する
岩壁。
電動 ....
腕が水槽に設置される微弱な星座
踝の奥で言祝ぐ大きな鱸の顎
遮断機の在る海峡 剣、苔生した社
孕んだ白蛇が吐瀉し 漆の
蓋は不要な裂傷 耳を捨て
総ては潮の寛解 如来
肋骨の下を削る泡の様 ....
と、老僧は語った。
多足類が涙を流しつつ
這い入る大きな三角屋根の工場
そこでは葬儀が行われている
背後の静かな台地へと登り
鬱蒼とした墳丘へ矢を射掛ける
観自在菩薩は忽ち化身して
今は ....
繊毛が鹹水を包む
遅延、水晶体の不可蝕
鵜は蒼空に没し、無中で
曼荼羅なす棘皮類に遭う
穢土の造花
波濤が月の予兆に哀しみ
乾坤の梁を押し流す
雨後 縊られた阿弥陀が
月神に愛玩される ....
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