もう何年もピアノを弾いていない
楽譜を開きながら
革張りの椅子に浅く、座って
ペダルに足の先をかけて
最初の音の位置に
両手を

ずっと忘れていた
音楽の流れない日なんてないのに
蓋 ....
雨音の向こうにばねじかけのびっくり箱
銅の色をしたワイヤーがくるくると
通りすがりの飼い主をひっかける
犬が戻ってほどきにかかり
一匹と一人は遠ざかる
開けてもらえぬびっくり箱は
しかたな ....
風、吹いた。

わあぁん

高圧線が、たわんで
山のりょうせん
ならした

わあぁん わ あ

さかいめは
鉄筆でなぞってしまお
へこんだところに
つめ
あてて
息もしな ....
それははちみつのいろ
きんいろにかがやくアスファルト

カーブの手前
かげのように
染みがきえない

きえないでいる

からすの世界はあかむらさきで
いいものだけ光ってる
たとえ ....
真っ白な鳩が
すずなりに枝にいて
喉の奥でうなるような
少しだけのさえずりが交わされている

ぼろりと落ちる
土の上に
落ちたときには鳩ではなくなっていた

あっ
飛び立った
ば ....
ルルリエ
文鳥はいらないと言った

ルルリエ
いつものど飴をくれた

ルルリエ
撮った写真は壁に貼ってて

ルルリエ
浴槽に潜って笑ってた

ルルリエ
ルルリエ

ルルリ ....
ポストに封筒を投函して
コンビニエンス・ストアに入る
雑誌とペットボトルの前を素通りして
カゴの中へ缶ビール
それからカフェオレ
あと何か
プリンがいい
2つ手にとる

口に入れるだ ....
誰だ、窓を塗ったのは!


すりガラスが震えて
ブラインドが
閉まる気配


縁石に腰掛けた老人が
日焼けした手で
顎をなでた
何かつぶやいて


しゃがれ ....


引っ張られたから
振り返ってみたけど誰もいない
左手は引っ張られたまま
そこから伸びる

からんでいる指の先
坂道

たぐってみた
釣り糸みたいだけど
おかしな色してて ....
梅雨空がバックネットを押さえつけ

営業は蝉の耳鳴りエレベーター

夕立の泡をけとばすハイヒール

浴衣では夜の匂いにとけてしまう
春霞 街照らしゆく夜明け前

花びらは雨に流され河口へと

砂場には散り花盛られし豆器

花びらに はしゃぐ声なき廃校の庭
林帯刀(11)
タイトル カテゴリ Point 日付
特技自由詩603/11/8 16:08
びっくり箱自由詩203/10/25 10:54
緑、ほねぐみ未詩・独白403/10/18 16:01
いぬ自由詩1203/10/17 12:42
白昼夢自由詩203/10/15 17:29
ローカル自由詩403/10/15 17:10
寄り道自由詩203/10/12 9:06
ペインティング自由詩203/10/12 9:02
ある冬の日、寒空自由詩303/10/12 8:59
夏四句俳句103/9/22 21:53
春四句俳句103/9/22 21:50

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