春を探しに行きませふ
この手に捕まへ機を織り
春に包り眠りませふ

見付けたければ目を瞑れ
手に取りたければ足運べ
春はひっそり雪を割り
声無く風に揺れてゐる

清か ....
東風に棚引く黄昏の裾
七つ子抱える烏食む
煤けた洞で盲目蝙蝠眼を開く

トン、タン、リリリ
シャララララ

山奥潜める沼の先
主棲む蔭から囃子が響く
童が慌てて戸を閉め指挟む

 ....
両手を伸ばして辺りを探り
愛しき息子の名を幾度
砂粒噛み締め水払い
啜る泣き声耳澄ます

滴を模した土塊天井
濾過した甘水殻を刺す
足先濡らす古池潜り
あの子の波紋を手繰り寄せ

 ....
潰さぬように優しく握り

色づく先から齧り付く

深まる歯形に溢れる雫

唇湿らせ顎濡らし

見えぬとこまで垂れていく



一噛みする度零れる雫

白肌伝わり掌濡らし
 ....
皮さえ剥かず一太刀に

赤く熟れて溢すじゅうすを

舐めては

其処に歯を立てる悦び




落ちた部分の皮を剥き

白く萎びて垂らすじゅうすを

絞っては

紫かけ ....
感喜か狂気か衝動か
情火が臓腑を舐め溶かす
のけ反り首を掻き毟り
吐いた胃液が喉を焼く
露さえ通らず視界も腐り
なおざりに捨てた言葉が鼓膜を叩く
どこにも行けぬ なににも成れず
偽言を騙 ....
今日も今日とて後指
布越え皮膚越え突き刺さる
それでもおとんに比べたら
こんなの痛くも痒くもねぇ

隣のばばぁは喧し屋
ぴいひょろぴいひょろ鳴き渡る
お前は何も知らんだろ
少しは嘴閉じ ....
赤が一片川に落ち
薄紅の花弁に早変わる
埃絡まる土上で
萎れ果てぬ事のないように
全て集めて水に還す

薄紅ひらひら翻る
川流に抗い下り行く
朝陽染み込ませたかのように
辺りをほんの ....
湯屋から帰って来らした姉しゃん
唐に行くげな言っとらる
母ちゃん死んであともなく
父ちゃん床に詰めたまま
そして抱えたおどみゃたち
婆が銭手に姉しゃん誘う
おまんま食えると二返事
必ず錦 ....
息継ぎすらも億劫に
地面を舐めつつ峠道

引き摺る軀が萎れ果て
あちこち腐臭を振り撒く前に
とっとと消えてしまいてぇ

泡がぱちんと弾けるように
花がぼたぼた散るように
 ....
ねんねねんねんお休みなされ
{ルビ吾=あれ}がひふみと数える内に
つると意識を落としんさい

夜毎虫飼うこの腹は / 骨は浮き出て皮ばかり
ゆるく静かに撫ぜてやろ / 肋が指先引っ掛かる
 ....
何てこたぁない事さ
ととぅは貧畑耕して
かかぁは咳して血を吐いて
チビたちゃひもじさに泣いただけ

生きてく為の口減らし
何の自慢にもなりゃしねぇ
死に場所求めてふらふらふらり
腹が減 ....
此処らで一番有名な
お屋敷構えるご主人は
俺をとんと召さんと言う

学成さず
抱く位は植木屋見習い
{ルビ大将=おやじ}の下で{ルビ雑用=パシ}られる
屋敷に呼ばれりゃ呼ばれたで
切っ ....
久方振りの花逍遥
珍く機嫌のあんたから
誘い口説かれ花巡り

両眼遮る石竹時雨
風音ばかりが喧しく
あんたの{ルビ睦言=こえ}も届きやしねぇ
二人そぞろに歩みゆく

外れず違わず迷い ....
(14)
タイトル カテゴリ Point 日付
春処自由詩011/11/29 2:13
落陽自由詩0*09/5/30 23:35
盲目自由詩1*09/3/5 2:37
蜜百自由詩0+*09/3/1 23:39
吉祥自由詩2*09/2/1 5:36
詩索自由詩0*08/9/1 4:45
赤紙破れ自由詩1*08/6/27 2:12
流花自由詩1*08/6/17 11:43
人待ち唄自由詩007/11/20 1:08
泡花自由詩1*06/9/30 2:01
寝かせ唄自由詩2*06/9/27 0:18
独リ咲ク花自由詩1*06/9/25 0:49
かけおちごっこ自由詩2*06/9/23 17:45
花潜り自由詩4*06/9/21 18:02

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