風に舞うほのかな匂いは
今もまだ鼻腔に残る
景色は暗くなり
見えないものが光り出す

剣が舞う
盾が割れる
戦士の声
響く

忘れないように泣くでしょう
優しい ....
拝啓、先生へ

私は今、とても怖いのです
あの頃の私に戻ってしまいそうで
私はとても怖いのです

あの頃の私は
今思えば悲しいくらい
いろいろな物につき動かされて
多く ....
照る照る坊主が
首吊り人形に見える



ママの姿
パパの姿

照る照る坊主
首吊り人形

呼んでも起きない
だらん
だらん
音が聞こえてきそう
 ....
偽りを欲した時、私はまだ幼くて
月夜の美しさも、怖ろしく感じていたのでした

しかし幼いとはとても都合のよいことで
私はそれゆえに今よりも遥かに
残酷でいられたのでした

偽り ....
夜、冬空の下に魂は凍る
武器を持たない戦士は
凍りついた魂を削り
剣を作る

悪魔の肉を切り裂いて
真っ黒な血が夜を濃くする
凍りついた魂は
月に照らされ
黒々と輝く ....
隣に座った
109番目の男
最後の番号を振り分けられた
私の隣で
じっと前を向いている

彼はどの煩悩の担当からも外された
「一緒にいても楽しくない」
他の煩悩担当者たち ....
アダムとイブが
神様の庭を追われた一週間後
アダムにもしものことがあったとき用に造られた
もう一人の落ちこぼれのアダムは
目を覚ました

神様には
目覚めたときに
優秀な方のアダムがい ....
彼女の記した聖書には
全ての秘密が書かれています
太陽の秘密
世界の始まり
隣のあの娘の
行いまで

全ての秘密が書かれています

お金や権力を持った人たちは
こぞ ....
死んだ街で私は生まれ
死んだ街で
私は死にました

死んだ街には
たくさんの死んだ人たちが
住んでいました

死んだ人たちは
毎日毎日
仕事に行き
学校に行き  ....
彼の人に会う日
私は3人の似た人を見た

白いコートの彼の人
今時の服装の彼の人
少し太った彼の人

どれも違う人だったけれど
私は
本当は待ち侘びている自分を
知 ....
何十の唇を
重ね合わせて参りました

たった一度きりの
その後に何も生まれないくちづけや
何度も何度も
歯をぶつけ合いながらしたもの

私は何十の人々と
唇を重ね合わせ ....
あれから
何度も同じような冬が過ぎ
薄桃色の春も
常緑の夏も
深紅の秋も

あなたはずっと
喪服の着物姿

世界と隔絶されんばかりの
体を一部とした
景色から飛 ....
みどりいろの家に住んだ
みどりいろのぼくたちは
みどりいろの生活をした

みどりいろのご飯を食べ
みどりいろのベッドで
みどりいろの夢を見た

ある朝起きてみると
ぼく ....
なあアンタ、
うちはもう
死ぬことに慣れてしもたんよ
昨日の朝も、昼も夜も
何回も何回も
死んでもうたわ

どういう感覚か
伝えるのはえらい
難しいけど

ふわ ....
あの頃私はとても美しく
全ての世の光は
私だけを照らしていることに
誰もが疑問を持たなかったのでした

世の人々は
私の影でしかありませんでした
全ての人々は
私の元で繁 ....
良い人たちが国を造った
とりあえずの法律と
良い人たちだけの政府を造った
僕らはその人たちに
従えばそれでいい

悪い人たちは
殺してしまえばいい
良い人たちは口をそろえ ....
お風呂に浸かって
六十兆の細胞を丹念に洗いつくす
明日消えるものには別れを
新入りの細胞には洗礼を

すべての細胞を磨き終えたら
今日も一日が終わる
さよならした細胞
初 ....
世界を箒で掃いていこう
チリチリチリチリチリチリ
地面の汚れ
ついでにあの娘についた
ガムのようなギトギトしたものも

アスファルトは剥ぎ落とし
棲家も小屋も全部なぎ倒せ
 ....
あの日子宮に辿り着いた時
私は多くの仲間を蹴落として
一人の女を犯した

彼女はとてもきれいな
色をしていたから
私は穢したくて
嫉妬していたのだろう

彼女と一つにな ....
「みそうどん」

大好きなうどんの
脳味噌和え

少し辛みがきいてるけれど

隠し味とでも思いなよ

ちゅるちゅるちゅる
冬場より夏の方がおいしいかもな

ちゅるち ....
花粉少女は飛んでいく
一人の女を取り合うが故
多数の男の遺伝子乗せて
花粉少女は飛んでいく

二本の腕と二本の脚
一本の彼女が持たない巨大なもので
未完成な昆虫たちは
五 ....
最後の日、最初の日
間の少しの瞬間に
私は眠る

何にも属さない真空の時間に
私は密かに
眠っている

最後の日
私は何を思ったか
張り詰められた息苦しい
そんな時 ....
規則正しく等間隔に
連なる車

まるで
親子のように
親戚のように
連なっている

本当は
どこかの一族みたいに
見えるけれど

車の中の人々は
お互いを ....
彼は一度もピアノを見たことがない
白いところと黒いところが
どんな風になっているかを
彼は知らない

彼の耳には
白いところと黒いところの
音が聴(み)える

彼の音に ....
同じ干支が二度繰り返され
私は何人の顔と
すれ違っただろう

美しい顔
怒った顔
そして何より
醜い顔に

話すことなく
息を交わすことなく
ただ
すれ違っ ....
みずへらしのお仕事は
毎日毎日水を減らすこと
とにかくいろんなところを回りながら
どんな水も減らしてしまう

あの子が悲しくならないように
涙の粒を吸い取って
ごくりごくりと ....
時々自分がどこにいるか
見失うことないかい
きっと誰にだってあるはずさ
一度や二度や
もっと頻繁にある人だって
きっといる

存在を証明するものは
結局何か
彼女のお ....
知ってるかい
あの娘は鰐から生まれたんだって
笑っちゃうだろ
だけど本当なんだ
こう鰐の腹をナイフで裂いたら
人間の赤ん坊が出てきたんだ
しかもその鰐公も
生まれたばかりの ....
月は泣く
また一人だけ
真っ暗闇に照らされて

遠い遠い昼間の
あの太陽へ

手を伸ばせども
届かない
もし辿り着いても
か弱い彼女の体はきっと
丸焼けになってしま ....
壊れた部品のお取替え
旧式だから全替えです

いろんな思い出もあるでしょうが
バックアップはとっていますし
どうせ代わりはいくらでもいますから

実際として
彼は死んでしま ....
なかがわひろか(427)
タイトル カテゴリ Point 日付
自由詩1*07/1/14 21:41
カイライ自由詩3*07/1/13 23:51
雨、照る照る坊主[group]自由詩5*07/1/13 1:42
偽夜自由詩5*07/1/12 3:06
魂を研ぐ者自由詩5*07/1/11 23:15
109番目の男自由詩7*07/1/11 3:15
もう一人のアダム[group]自由詩11+*07/1/11 2:17
彼女の聖書[group]自由詩7*07/1/10 3:20
死んだ街で自由詩3*07/1/10 2:22
彼の人へ自由詩2*07/1/9 1:35
彼女の唇自由詩3*07/1/8 0:29
冬の人自由詩4*07/1/7 15:56
みどりいろの生活自由詩3*07/1/7 0:20
毎日の死[group]自由詩7*07/1/6 15:07
その昔のお話[group]自由詩2*07/1/6 1:51
良い人の国[group]自由詩14*07/1/5 1:22
細胞日記[group]自由詩8*07/1/4 1:54
箒雪自由詩1*07/1/3 15:36
子宮の中で自由詩12*07/1/3 2:41
「みそうどん」/「四角四面」/「厭世観」[group]自由詩3*07/1/2 23:57
花粉少女[group]自由詩2*07/1/1 21:14
最後の日、最初の日自由詩4*07/1/1 19:19
連なる車自由詩4*06/12/31 19:17
彼の音自由詩4*06/12/31 12:49
千の顔自由詩2*06/12/31 0:52
みずへらし自由詩11*06/12/30 1:15
アリバイ自由詩3*06/12/29 13:28
幸福な鰐自由詩2*06/12/29 0:07
月が泣く夜に自由詩5*06/12/28 19:00
サラリーマン機械自由詩7*06/12/28 1:47

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