愛しい人が欲しいと思ったので
近所の画材屋さんから
たっぷりと粘土を買ってきました
しっかりとこねた粘土で
右足のつま先からペタペタと
粘土で型を作っていきました
下半 ....
私にはもうずっと
お母さんがいなかったので
育ててみることにしました
鉢を買って土の中にお母さんの種を植えて
毎日毎日水をやりました
お母さんは日々順調に育ってくれて
その ....
死体を引きずる少女
ずるずるずるずる
ずるずるずるずる
肉と地面がこすれ合う
少女は白いお家に入っていく
白いお家の白い煙突から
灰色の煙がもくもくと
もくもくと上がる ....
お母さんとお風呂に入っているときに
あなたはここにいたのよ、と
お母さんは自分のお腹の部分を指差しました
私はその中がどうなっているのか
とてもとても知りたくなりました
急いでお風呂から ....
母が晩御飯を作るのが面倒くさいというので
私が代わりに作ることになった
冷蔵庫を見ても
調味料くらいしかなかったので
母に、材料になるかい?と聞いたら
とても面倒くさそうに頷いた ....
落とし穴を掘った
たくさん掘った
通り行く人たちが
すこんすこんとはまっていった
はまった人のいる穴に
名札を立てかけて
名前なんて知らないんだけど
名札があった方が便 ....
砂漠の砂でお城を作る少女がいた
お城は少し難しいから
山を一緒に作ろうか
そういうと、少女はにこりと笑って頷いた
私たちは少女の背丈くらいまである山を作って
真反対から穴を掘り ....
エレベーターの扉が開く
僕はそろりそろりと入り込む
ボタンを押す
ボタンが無い
扉が閉まる
エレベーターは動き出す
下がっているようだ
時折上がったりもする
なかな ....
ガタン、ゴトン
朝の満員電車の中で
整然と並んだ大人の人たちが
揺られています
吊り革につかまっている人たちが
各々の吊り革を
舐め回すようにじっくりと
見ています
....
学校とはまた違う場所へ
僕たちはいくつかの街を横断して向かいます
学校で習ったことと
大差ないことを
言葉を変えて教えてもらいます
この時間に僕たちはここにいる必要はないのです ....
雨が線の様に空から降り落ちます
私はじいっとそれを眺めていました
真っ白な線が雨に混じって
空から伝っていました
私は早速のその白い線の下まで行き
試しに上ってみようと思いまし ....
私の部屋の壁には
いくつかの種類の顔が掛けてあって
私はその日の気分によって
それを取り替えているのです
私の部屋の壁には
老人もいれば
きれいな女性や
端正な顔立ちの ....
占い師に手相を見せたら
あんた来月死ぬよ、と言われた
何か避ける方法はあるかい、聞くと
一万円と答えた
僕は仕方なく一万円を支払うと
あんた大事なものはあるかい、と尋ねられた ....
真っ白なジグソーパズルを完成させた
僕は部屋一面に広がった白い景色を見て
なんだか味気無くなったので
そこに自画像を描き始めた
頭を描いて
顔を描いて
その中に目を描いて ....
朝起きると僕の部屋に二匹の天使がいた
二匹はとても仲がよさそうで
僕はしばらくの間微笑ましい二匹の様子を眺めていた
何分か経って
二匹は急に交尾を始めた
天使は声を押し殺していたので
....
赤ずきんはおばあちゃんのお見舞いに行くために
おばあちゃんの好きなお菓子を持って
森の中にあるおばあちゃんのお家まで歩いていきました
森では川のせせらぎが聞こえ
鳥の声はどこまでも ....
ピクニックを食べよう
みんな嬉しそう、楽しそう
パクリ
ママの作るお弁当は
ハムとたまごのサンドウィッチ
それを食べるあの子の
唇はまるでなめくじ
ピクニックを食べ ....
チャイムが鳴ったので玄関に出てみると
天使が立っていた
私は追われています、かくまってください
僕には断る理由もなかったから
そのまま部屋に上げた
天使は部屋に入るなり
ど ....
地球の軸を抜き取って
近所の人たちを串刺しにして丸焼きにした
お腹は大分空いていたので
量は大層なものだったけれど
ぺろりと食べ終えた
少し足りない気もしたので
もう一串焼 ....
僕の鼻は齧り取られて
どこかに行ってしまった
僕は自分の鼻の形がとても嫌いだったから
無くなって少しほっとしながら
ひりひりする鼻のあった部分を撫でた
いいにおいや
おいし ....
死刑になることは分かっていたので
僕は宣告されてもそれほど驚くことはなかった
それよりも頭の禿げ上がった裁判長が
息を荒げて僕を叱責する様がおかしくて
僕は吹き出しそうになるのを
....
五月に咲いた花が
未だに枯れずにいます
まるで今朝方咲いたばかりのように
生き生きとしています
あなたは反対に
日に日に腐っていく様で
そんな風に見えてしまう私は
少し ....
私にはあんたが
次に何を言うかもう分かってるけど
じっと
じっと
待つよ
ありが・・・
そこまで出てて
その後に何が続くか
もう十分に分かってるけど
私はあんた ....
空を見上げると
あまりに星がたくさん瞬いていて
まるで降ってきそうだと思っていたら
降ってきた
星はぷよぷよしていて
僕の手の中でもしっかりと輝いていた
もっと大きなものだ ....
絵本を読んでいました
それはとても悲しいお話でした
私は涙を流して
それは絵本の一ページに落ちました
その涙が乾くまで
私はそのページをずっと眺めていました
そのペ ....
空がゴロゴロ鳴って
神様たちのボウリング大会が始まった
やんややんやストライク
まだまだやれるよスペアを狙え
ゴロゴロ
ゴロゴロ
神様たちのボウリングは始まった ....
何年ぶりかのあなたの電話から
あなたの声が少し枯れているのを聞いて
風邪などひいていなければいいのにと思います
時折繰り返される思い出話に
あなたの笑う声を聞いて
なぜか少し安 ....
少し、好きになりました
雨上がりの水溜りに
顔を映して
笑ったり、怒ったりしているあなたを見て
少し、好きになりました
煌々と照る月明かりの下で
自分の影を一生懸命 ....
子どもが三人産まれました
どれから先に取り出したのか分からなかったので
適当に順番をつけました
今日からこのヒエラルキーにしたがって
彼らは生きていくのです
一番上のお兄ちゃん ....
彼女が朝食後のデザートを何にしようかと迷っている姿を見て、僕は昔付き合っていた恋人のことをふと思いだした。
彼女はいちごが大好きで、いつも朝食の後いくつかのいちごを取り出しては適量のヨーグ ....
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