Maunaは山
Kaiは海
だから
さしずめ山海通り
斜め向かいの家で
巨大な犬が柵の内側を徘徊していた
裏庭の木が
嵐の夜になぎ倒されてしまった
パイナップルの実が
茎のてっぺ ....
少女は部屋の四方の窓を全開にして
綱を握りしめて
鐘を力いっぱい打ち鳴らした
なぜだか判らないけれど
とにかく屋根には鐘があって
そして鳴らさずにはいられなかったのだ
鐘はボワァ〜 ....
31時 @ハト通信
わたしは少女サゼリア
穴をあける
不安な気持ちの数だけ
小指に穴をあける
痛みを感じないのは
まだ少女だから
きっ ....
oldsoupさんと荒木田さんの「未詩」についての文章にぶらさげて、一度だけ書かせて頂きます。弁解的な内容ですいません。適当に読み飛ばして頂ければ幸いです。荒木田さんに感想を頂いた際に発言しなかった ....
24時 @ハト通信
あなたは得意げに
ハサミで細長く切った白い紙の
端と端を
一度捻ってから貼り合わせる
メビウスの輪
というのだそうだ ....
27時 @ハト通信
わたし
身体
三十三歳
黙って従ってりゃ
あっちだのこっちだの
いい加減なことばっかり
もうやめた
言うことなん ....
26時 @ハト通信
雨の日には
縁側にコップを並べて
軒から落ちる滴を聴く
とても気持ちのいい響きも
トンチンカンなメロディも
一様に
....
鳥が一羽
空から落ちてくる
土に叩き付けられる
首が奇妙な向きに折れ曲がる
ぼくは死体に歩み寄り
背負っていた麻袋を下ろす
鳥自身なにが起こったのか判っていない
証拠に
丸く目を見 ....
12時 @ハト通信
分解してゴミを取り除いて
歯車を磨いて
汚れをきれいに拭き取って
すき間のないようしっかり組み立て直したのに
どうして動か ....
16時 @ハト通信
三時間目の授業のあいだに
校庭はすっかり小麦色に染まった
きなこみたいな粉つぶが降りしきるので
外の景色が霞んで見えなか ....
6時 @ハト通信
悲しい 悲しいと
泣く仕組みは簡単
歯車と切替器を十ほど組み合わせれば
もう出来上がり
本物の人間と区別できるのは
内 ....
13時 @ハト通信
むだづかいしても
だいじょうぶ
ほんとうに
からっぽになるときは
ちょくぜんに
いろがかわるから
あー あーっ
....
2時 @ハト通信
だらしない自分の状態に
ある時とつぜん気づいてしまった時
体のどこかにあるはずのボタンを探す
あたりにまき散らした
みっ ....
1時 @ハト通信
緊急オペです
二十九歳 女性
脳内に長さ四センチの詩腫あり
個体から感情と過去を吸い取って
意識を封鎖して
外へ出れ ....
ゼンマイが伸びきったまま
うんともすんとも言わなくなったので
しばらく休みます
ぽっぽぅ
ばらしてみたら
戻らなくなってしまいました
とりあえず
歯車の掃除でもしながら
....
咲いた順に散って
地面に達したら
あとは朽ちるだけだから
一番いい時に花を開かなければ損
そう教わった
サクラが綺麗なのは
みんな一斉に咲いて
一斉に散り落ちるからだ と
開花 ....
男は毎朝はやく目をさまして
裏山の頂上まで登っては
一本だけ生えている樹の枝から実をひとつつんで
かわりに前の日につんだ実の種をくくりつけて
陽がすっかりしずむころに家に帰り着いた
実を ....
コップの縁にとまったガラス細工の鳥が
思い出したように身体を傾けて
水を飲む様を演じる
赤い液体が体内を巡る
海のようだ
わたしの中に溜まった水が
満ち引きをくり返しながら
すこ ....
おはよう
クラスメイトのヒロコちゃんが
すこしだけ立ち止まってから
手をふって駆けていく
角をまがって見えなくなる
太陽に傘がかぶっているから
もうすぐ雨だ
ランドセルのなかみを ....
ふわりと風に持ち上げられて
風船はまた
地面に這いつくばる
いつの間にか
ずいぶん膨らんだ気がする
大きく息を吸って
ゴムの口に吹き込む
酸素と二酸化炭素の比率
だけが
中と ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
0.14sec.