蛇口から出てきたシャケのにおい嗅ぐ
手を挙げた雨粒ひとつ海の底
もういいわサザエの端がしかめ面
触角をぶん回しつつ触れた指
「氷山だぁ!」 「面舵いっp・・うわぁー!」 ひとめぼれ
ハンダゴテ鞄に入れて待ち合わせ
さくらんぼひとつだとすり寄って行く
「ワトソン君、ちょっと来たまえ。」薔薇育つ
たまねぎの黄色いところないしょだよ
固結びこれでいいよねって胡瓜
大根がググと突き抜けてブラジル
今までも全部嘘です風呂上り
春深し貰ったカーディガン捨てる
鳴き声に顔を上げればカタツムリ
うらめしや小龍包の破れ汁
9本目の足があったよ恋わずらい
100円のライターの暖100円分
退社時にきりきりねじ巻き背が伸びる
喧騒とすれ違うたび冴え返り
夜勤明け太陽肴に寝酒する
....
ツチノコを一夜干ししてゴボウかなぁ
吊革も揺れもくしゃみもおんなじ速さ
いもうとがミミズちぎって破顔する
春の陽がまぶたに千個ぶら下がる
真夜中のトマトぷりぷり逃亡す
早春の枝めきめきと広がって
どのような涙も同じ味がする
人恋しすし詰めの街立ち止まる
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