奇跡が起きるなんて思ってないし
僕は君を愛さないし
何かが変わることにも期待してないよ

ゆれるよ
ゆれるよ
奇跡の入ったグラスの中で
溺れる君の心臓が
ほんの少しだけ嘘を吐いた

 ....
絶望からは少し違う此処で
頭を垂れてぽつりと咲いた
誰にも気付かれないような色で
僕にも気付かれないような色で
普通すぎる僕にはあまりにも
それは不気味で心地よい季節だった

夢を見なが ....
忘れた筈の歌を覚えていた
一斉に点滅を始める交差点の信号と
無表情なクラクション
一瞬の浮遊から引き戻されて
ステレオから流れる本当の

魅力なんてない
満たされているこの夜は


 ....
夜の冷たさに嘘を吐いて
僕の感覚を消そうとしているんだね
君は背中を向けたままで
腕に煙を纏わせている

月の影に目を伏せて
海月のような溜息を吐いて
「どうしたいの?」
夢のままで、 ....
初めて幻を見つけたのは
君が歪んだ空を息に含ませて
その吐息で僕を掻き消した頃だった
遠のく景色の奥の方で
誰かが僕を呼んだ気がした

何も知らないふりをして
君のコートを腕に巻いた
 ....
毎朝、まるで無知な太陽が昇って
毎夜、全て悟りきった月が死んでいくように
僕の本当のこと
君は何も知らないままだった

夢の中でもなんとなく気付いた
これは嘘だ
気付けばきっと
あの狭 ....
貴女の華奢なその肩に
僕の全てを捧げられはしない
抱きしめるのも憚られるほど
気付けば僕達は触れ合わなくなった

毎朝絶望と共に目覚め
絶望と共に日々を過ごし
一日と共に息絶える
感じ ....
街の灯がまた今日を弔うように
一つ、また一つと灯り
夕景は影を朧に消していく
名残惜しそうに街が死んでゆく

薄暗いベンチの隅に捨てられた
誰かの指のような子供の笑い声

今日も死ぬ前 ....
隙間の空いた小さな窓辺に
虹色素敵な貴方がいるの
こんなに歪じゃなかったのに
貴方が括った鎖のせいで

凍えそうな真昼のお天気でも
傘は要らないの
雨が降って私を濡らしても
傘は欲しく ....
君は夕暮れ朱色の雲の影を追い掛けて
何処か知らない遠くの国へ迷い込んだんだ
此処には君がいなくなって少し寂しいけど
何処か知らない遠くの国の子供が踊っている

いつか君の背中には
大きな獣 ....
言葉も景色も見失って
君の姿をただ追いかけている自分に気付いたのは
君の姿が影に消えて
僕はたった一人
ぽつりと何処かの森の中に取り残された頃だった

夕立ちに怯えていたのは
君の目が氷 ....
貴女が誇った水の城を
僕は一瞬で凍りつかせて見せるよ
それにはたった一言で
貴女が僕を撃ち抜いてくれればいい


暖かかった幻が
二人にはあまりに美しすぎて
愛し合う筈の僕達は
絡め ....
虚ろな限界の夢の端で
暖かい幻を見つけた
曖昧な明滅も、甘苦しい溜息も
嘘のように、貴女が狂わせていた

古い夜に、温い雨が降り続く夏の肌
幻よりも歪な、ほろ苦い香りに惑わされていく

 ....
夕焼けに染まる溜息と
ただ、虚しく哀しく伸びる影
汗を滲ませて夢を見ていた
狂い出す寸前のような空

踊る姿を霞んだ夢のような光で
届きはしない
だから全ては美しいまま消えていける

 ....
乾いた星に目を奪われていた
無機質な感情を夜の闇に纏わせて
空を突き刺す電柱の陰
べたついた空気を振り払えなかった

僕はまだ怯えている
変身していく僕の深層
ガラスを砕くように
崩れ ....
遠い銀河を駆け抜ける汽車を
細い目で夢を眺めるように見ていた
枯れた花を抱いて
生まれたばかりのように震えながら
君はまるで無力だと笑う

陸に立っていることすらも精一杯で
まして君を抱 ....
すべていなくなる夢を見ながら
君に似た花を枯らした
テーブルクロスの染みになったギムレットが
僕にはただ、滑稽に思えた

左手に滴る血を感じたまま
深く深く
どうしようもない
何にも触 ....
君が生きていることを嘆きながら
霞んだ視界を憂いてみる
捉えられないよ、君の嘘は
何処にいるの?
見えなくなるよ

不器用な手つきで奏でる日々
悴む指を覚えている
空を飛べる君には聞こ ....
君が唱えた夢のような言葉を
僕は未だに捉えきれないでいる
指先から滴る紅を
君は汚いと笑った

「あなたにはもう微笑まないわ」と
俯きながら君は呟いたけれど
君が一度だって微笑んでくれた ....
夜の湿度が君に似ている
僅か一瞬存在することを許されて
僕の眼を見て哀しそうに笑う
雨の匂いが僕に似ている
君の匂いに忘れられて
君に触れて嬉しそうに消える

君は其処に座ったまま僕を嘲 ....
「今から貴方に嘘をつくわ」と
君は僕に酷く哀しいキスをした
目隠しを外して君の眼を見たいよ
嘘も、言葉も
全て信じるから

指を伸ばして君を探した
冷たい肌が四方に触れる
君はいつから ....
残酷な歌を振り払って
君だけを失える楽園に行こうと思う
君の歌うその笑顔は
僕にだけ、ただ冷徹な血を浴びせる

夢にまで見たこの世界の果てを
君はいとも簡単に絶望に変えて見せた
「ほら、 ....
不器用な指で傷を撫でて
君の演技を思い出している
下手糞な君の嘘も
確かに僕達は見詰め合っていて
でも君は何処も見ていなかった

とっくに何も感じなくなった夜には
生きていることすら忘れ ....
切ないほど痛む君を呼ぶ声
哀しいほど遠い君の影
「二度と触らないで」と語る君の眼
夢みたいに消えてしまう
嘘みたいに失ってしまう
「二度と来ないで」と語る君の感触

君が笑った

僕 ....
夢を見ていた僕を、君が笑った
くだらない私を
貴方は今日も愛してくれるのね
何もかも失った世界の中で
君の体温すら不安定だった

君がいるから
僕は今日を生きていた
例え
現実以外で ....
君は僕を愛する度に
僕を殺そうとする人だった
暖かな嘘と欲に塗れて
そうなってもいいと思った
でも
いくら僕が望んでも
君は結局僕を殺してくれなかった

君と愛し合ってから
ちょうど ....
僕が行く末を知らずにいた未来を
君は見事に嘲笑って見せた
致死量の毒を飲み込んでも
未だ死ねない僕を君は笑った

「貴方一人が死んだところで
 世界は相変わらず寂しいし
 相変わらず美し ....
美しいものは全て偽りだ、と
指先の感覚が暗示をかける
諦めたように
優しい痛みなどは
もう、飽きた
望んだだけの悲哀も
苦しさに似せた甘美な夢も
すべて受け入れて
私は大人になった
 ....
僕が糸を付けて操っている死体を見て
君は笑った
物言わぬ人形を我が物顔で支配する僕を見て
君は滑稽だと笑った

君が僕の腕にもたれて
裸のまま朝を迎えていた頃
その裏側で現実は
僕が思 ....
言葉の要らない街で
見えない目を凝らしている
行き交う人はぶつかり合っては
次々に言葉を捨てていった

目の前に置いた空き缶に
君に似た誰かが言葉を入れた
手にしてみたそれは
まるで石 ....
智鶴(86)
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