黒潮の呻き声の中に
僅かな光を探し求めて
何時間も何時間も
その有機的な水を
掬ってはこぼし掬ってはこぼす
両手が潮負けして赤くなるまで
強く照りつける太陽に
涙が頬に張り付いて塩に ....
春が訪れて
桜の花が優雅にひらく
一方 私は
どんなにその絢爛さを愛でてみても
開き誇れる蕾をもたない
春が訪れて
{ルビ蒲公英=たんぽぽ}の種が風にさらわれる
一方 私は
....
ねぇ。
体のふるえがとまらないよ
さむいんじゃないって
さびしいの
ねぇ。
携帯チェック、してもいい?
浮気してる証拠をみつけようなんて思ってないよ
浮気してないってしょ ....
引越しの前日
大きな箱でいっぱいの彼の部屋で
「お前がいなくなったら、俺は自分の半分を失っちまう」
と、彼が言いました。
わたしも同じ気持ちだったので
「わたしもよ」
と答えました。
....
わたしはカゴの中の鳥
あの青空に憧れているの
春風は
あんなに急いでどこに行くのだろう
白雲は
フワフワ浮かんでどこに行くのだろう
わたしも
明るく暖かい
あの太陽の下で
自 ....
それは
本当に薄い膜だけど
私には
とても厚い壁のように思えてしまう
会えない時間が長いから
少しでもあなたの熱を受け止めたいから
その存在を
うざったく感じてしまう
あなたも私と ....
わたしにそんなに近づかないで。
これだと、
あなたの嫌なところも
わたしの嫌なところも
すぐに目に付いてしまうし、
一方がつまづいてしまったら
二人一緒にこけてしまうでしょう?
わた ....
今日、片付けの途中に
すっかりくもったシルバーのバンクルを見つけました。
それは、
かつて共に恋に落ちた男性と
ペアで買ったものです。
あの頃は、
物で心を縛れると思っていまし ....
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