雪がこんこんと降り続いた次の日は
まだ夜が明け切らない早朝から
トラクターのエンジン音が響く
凍てついた大気では
空に昇る煙も、どこか力無い
そんな極寒の中で
現役を引退した男たちが
除 ....
津軽の地に生まれし者
幼少を経て、その地を後にした

夢と呼ぶにはお粗末な信念を
青年はひたすらに貫いて
意地という名の包丁片手に
立派な板前となり
同時に半人前な父親にもなった

 ....
目覚めの弱い朝
濃いめのブラックコーヒーと
アーモンドチョコレート
苦みで潤される喉をなぞるカカオの甘さ
寝ぼけた体が整えられていく

今日はどうやら天気が良さそうだ

もうすっかり冷 ....
早朝に雨が
鳴いている

目覚めもままならない夢現の耳元を騒ぐ
水の弾きと滴り
薄暗い窓辺は濡れたまま空を映す
うなだれ余した昨日までの日照りが
一清されるように流れる中で
肌を掠める ....
まだ弱い陽気の下
雪の溶けきらない冷たい土と
微かに香る風
淡いピンク色の季節が
小さな葉を広げた

抱かれた温もりはゆりかご
湯船の揺らぎは子守唄
すやすやと寝息をたてはじめて
黄 ....
憧れとは幻

手を伸ばしても
触れる事のできない領域
追いかけた背中も
求めた笑みも
深海で漂う気泡


風を縫う鴎は海上で
ただただ祈りを捧げ陽を仰ぐ
“どうか、アナタが
幸 ....
幼いころに
信じていた場所
いつの間にか
忘れていた夢
記憶の中に見た故郷は
色褪せる事さえ知らず
街並みの変化に
寂しさを漂わせながらもなお
この身を案ずる


日常に疲れ
逃避に暮れ
弱さばかりを ....
夏になりきれないままの陽気


心地よさを感じさせる風が流れる度に
何故か懐かしい記憶が駆ける
まるで実りの薄い穂先を満たすよう
年月という重さはまだ
温もりを保てない水の底にあって
語りかけてはくれ ....
アナタに逢えた日は
何処にも寄りたくないの
薄れた残像に
再び色が塗られたばかりだから
誰も記憶したくない

“お気に入りのTシャツに
真新しい服を重ね着するようなもの”

だから
アナタに逢えた今日 ....
いつかの
この声の奏で
ふと思い
蘇る“きのう”は
年月の瞬き

辿っては返り
佇んでは戻り
リズムだけが進む

誰かが美しいと言った

言葉を追いかけて
想いを重ねて
メロディーに乗せた
いつかの
 ....
枝先に
気が
佇む

歳月は
雨粒のよう
滴る度に
数えを投げた

枝先から
気が
垂れる

歳月は
風塵のよう
散る度に
堪えを解いた

枝先に
気が
留まる

歳月は
氷雪のよう
結ぶ度に
怯えを ....
小さな生き物たちの視線の先は万華鏡
枯れ草から靡く種子や
色付き始めた新緑のそよぎ
漂う太陽の匂いと
囀りまばたく木々
風に回転する水車のような
緩やかな光の屈折は
土台に息づく生き物たちの
宿りを喜 ....
あなたと知り合って
何度目の春でしょう。

どうしていますか?
お変わりありませんか?

たとえ、
相変わらずでも構いませんよ。
少しくらい変わり者な方が
楽しいじゃありませんか。
その方が私も安心で ....
夜に灯る
淡き桜の薫り火が
水面に咲けど風に散りゆく
四季を彩るは
地と
そこに根付く木々や草花
呼吸を彩るは
空と
そこにたゆたう陽や月


鼓動の中に記憶は流れ
五感の中に今が記される
起こり続いていくだろう全ての事柄に
無意味は存在しないと言うが
 ....
夕霧が陽を囲む

疲れた眼には
輪郭をもたない橙が丁度いい


刻々と沈み
刻々と色を変える
夕霧が急かすものだから
なおのこと
陽は優しく暮れる

力の抜けた肩には
滲んだ橙が丁度いい


飛行機雲 ....
鳴る度に
トクン
“1件”の文字に
トクン トクン
ボタンを押す指さえも
トクン
トクン
トクン
つまらない着信に
静寂が籠もる
見上げた空に感動を覚えて
マナーに切り替えた


振動に少しビックリし ....
戻さないで

1日はもう終わり
夕日が帰るところ

おはようだなんて
こんにちはだなんて
また明日のセリフ


戻らないで

オレンジ色の背中が
仲間達とはしゃいでいる
時 ....
触れたら溶けてしまうほどの
弱い零度で繰るんだものは
あなた仕様の想いです。
格子の向こうで微笑む陽になぞられただけで
露わになる想いを守る腕は
とうに限界を越えているけれど
他の誰かでは規格外な想い ....
指先
鼻先
爪先

神経までも凍らせて大気は
淀むことなく研ぎ澄まされていた


陽は雲の衣を引きずりながら
氷柱の先端をくすぐる
流れそうで流れない滴
まだまだ温度が足りない
 ....
氷点の漂う明朝
わずかに積もった雪が鳴く
吐く息さえ瞬時に凍り
足下を賑わせては
吸い込む息に痛みをもたせ
歓迎する
雲間から覗かせた微かな熱に
安堵の色が浮かぶも
氷点の凍てつきはまだ
和らぐことを ....
丹念に温めた躰を
その一粒は意図も簡単に
冷やしてゆきました


とんとん、
からん

流れても流れても
肌は通わず
なぞってもなぞっても
白に触れることは
許されません

 ....
何年前のことでしょう

冬の枯れ枝に
雪が花を付け
陽の温度と引換に
白肌は氷と散った

何ヶ月前のことでしょう

雪の川辺に
冬が根を張り
せせらぎの冷気と交わして
風に花を誘わせた


何日前のこ ....
息を吐く

真新しい白が
光を抱いてキラキラと
唇に溶けた


寂しさを消すように
この掌を差し出すと
綿毛のように柔らかな白が
指先を凍らせて
まつげにとまった

笑い声は幻想のなか
となりに風が並 ....
雪が、
降っています


言葉と思い出は、
頑なな部分をゆっくりとほぐして
今なら素直に打ち明けられそうな
柔らかな予感を抱かせてくれました


静かに雪が、
足元を埋めていきま ....
安っぽい愛など求めていない
奪われた者の負け
焦がした者のエゴ
負の作用に従ったなら
正当化すべきではなく
むしろ認めるだけの愛嬌が欲しい


高価な愛など必要ない
与えられるだけの退屈
中身の薄い虚 ....
整えて
サラサラと
見上げて
キラキラと
滴って
ヒタヒタと
“むかし”を重ね着するごとに
“いま”が集約されてゆき
“あした”には冷たいアスファルトの上で
カラカラと
カラカラと
木枯らしに遊ばれて ....
一枚
また一枚
様子が変化を招く時
枝先の鼓動がかたどった
一瞬という尊さに
涙が零れた

過ぎた時間は
ひとつとして
同じ表情を
描写してはいない
進む時間もまた
ひとつとして
同じ風景を
描写して ....
“鬼さん、こちら”
“手の鳴る方へ”


駆け寄っては消える音
遠くで掌が誘うも
先には闇でもなく光でもない
果てない草原のような
落ち着かない風景が広がっている

触れた一瞬の感 ....
小指の先ほどに小さな炎でも
肩を寄せ合えば
暖かい

ときに
大きな炎に体を預け
読書を嗜むもいいだろう


大きさでも形でもなく
たとえ細々としていても
そこに灯火があれば
 ....
見崎 光(164)
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