鯉が泳ぐ
餌が欲しくて口を開ける野生の鯉
今日も馬鹿にした青年が石を投げる
知っててよける鯉も
分かってて投げる青年も
それでも続ける
蔑む視線と
妙な期待の視線 ....
ありがとう
ありがとう
言葉はいつも
空回り
傷はそっと
そのまま 風に濡らして乾かして
触れてはいけない
ほら
泣いてしまった
雨よ降れ 雨よ降ってくれ
今の彼女をどうぞ
消してあげてください
空を
鳥が飛んでゆくことができるのだと
もう一度知ったとき
帰ってきた言葉は
僕の知らないもう一つの自由だった
町へ向かってもう一度歩きだす僕
きっと僕は
また自由と ....
正解を探す
生まれてこの方
テストも マナーも ルールさえ
正解を探した
僕は探す
僕が生きていいと自分で言える
生き方の正解を探す
さよなら
さよなら
さよなら
あなたはもう
ここにはいない
僕は
アイデンティティを作ろうとしていた
そうして社会に出た
僕は群れの
外れの
小さな境目を見つめ
そこへは行かなかった
お金を手に
家族を手に
揺 ....
ナスがなった
まだ小さい
そっと撫でた
冷たかった
夏の音
風が聞こえる
雨は降る
土は湿り 葉は大きく広がる
ナスがなる
まだ小さい
重そうに 頭は ....
僕は知る
遠い空の向こうに
僕の手ではどうしようもない出来事を
僕は行く
ある一人の人が辿る物語の
小さな時の流れ
僕は孤独
愛するクオリアは孤独
もっと ....
幸せ者
行って来い
笑っていられる人よ
幸せ者、行って来い
泣いている人よ
幸せ者、行って来い
歩ける人よ
喋れる人よ
病人よ
怪我人よ
幸せ者だ ....
甘く匂う古本の
時代向こう
激しく過ぎ去って行った
原爆という言葉の詩を聞き
その言葉
黒い人の群れを蘇らせる
海は今
青白い朝日の中
平和への邂逅に向かっていっ ....
床に落ちたパンを摘まんで
埃のついた面を水で洗い、見えてくるのは
荒野の戦場
二つに折って頬張る
味は
胸糞悪い
嫌悪と
平和の
....
笑いあう声が響く空がある
側を歩く友がいた
一瞬でもそう感じたのは紛れもなく
君の中に君を見たから
僕の中に君を見たから
覚えておくよ
君の名をずっと
ある日の夕暮れは
いつか私が両手に子供を連れて
むやみに笑って帰るような
あたたかくあれと思える
そう思わずにはいられない夕日だった
海は
夜
波打ち際の湿った海岸線をゆっくり
舐めるように人類に拝聴できない声で
泣いているのだという
壁の向こうから聞こえる
小さな隙間風の音も
向こうで誰か ....
通りに面した一角に
新しいビルが建つらしい
鉄骨の高い塔が見える
奥ばった場所ではない大通りの
商店街の入り口に
一週間が過ぎる
アレはと言うまもなく
ビルは着実 ....
深く眠りに就いた帳の中で
返す返す考察の波が
やってくるであろう祖母の死である時
私は汚く泣くのだろうか
それとも優しく微笑めるか
ついに答えられぬ朝は
こんなにも冷たい
いくつかだけを覚えていれば良い
喪ってゆくというのも
何かを得るから喪うのだ
人間が生きていて忘れるのも
生きるために整理をしているだけなのだ
ほんの少しの脳の
我が ....
今日あったことがまた一つ
ことさら寂しそうに去ってゆく
自然と
今日あったことも思い出になり
いずれは、ゆっくり忘れてゆくのも
全部私の中にあるんだ
明日が楽しみなんてい ....
一枚のページを捲るように
何も描かれていない物語を
歩んではいないだろうか
例えそれがつらいことでも
笑っていけるのはないだろうか
もしかしたら
ほんの僅かな記憶を頼りに
....
バカな男といわれた
バカにはバカなりの理屈があって
しかし人は融通なんてきかないからそのまま真っ直ぐ生きる
家族だからって
がんばって手を上げないで
あんた自分傷付けてど ....
万華の空
凍てつく風が人々の耳を冷やし
時代はやがて
鐘の音を立てて
私達人類がまだ知らない世界へと導いていく
時間は移ろう
当たり前であったもの達を全て封印し
....
行きなさい
母親は決して言わないけれど
そういって僕らを産み落としてきたんだ
父と母の歩いた道はとても歩きやすく
踏み固められていたのは
同じように生きていて欲しいから
....
羊飼いは言ったはずだ
狼を前に
嘘でもいいから幸せが欲しいと
願うのは性からではない
それだけ
幸せが嘘みたいだからだ
その背中が緩くまどろみ
ほんのちょっとだけ
空気の針が研ぎ澄まされて
目線と目線がすれ違い
力の無い者達を避けて通るとき
子供は無力だった
僕の世界がドアの向こうに行く
....
ちょっとだけ生きてみよう
明日だけ
読みたい週刊誌が発売されるんだ
ちょっとだけ
もう少しだけ
今月末には好きなアーティストの歌が発売される
聞いてみたい
今回は ....
ある日詩人が思いついた詩
人が殺せてしまう詩
初めは共感が詩の本質と思っていたらしい
共感されれば良い
作られた詩はネット上に投稿された
3日後
人が死んだ
その詩に ....
圧倒的に小さな手を握り
子供の
底知れぬ存在感と愛おしさを知る
段々小さくなってしまった手
母親の
底知れぬ喪失感と別れの時を知る
忘れ物を 捜して
どこかへ行こうとしている
歩いて生きる私は
何処へ
問いかけ続けて 何で といい続けて
揺れている
この町 あの町で
風が吹く
とくに秋の風 ....
呟く言葉が一言でいい
そう思えるのは
今日の今日まで貴方が生きていたこと
多分それだけなのだ
父にとって
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