コンクリートの地面の穴から断続的に棒状の水を宙に吹き上げる公園。
今の俺には水は必要なかったから、ブランコを揺らしていた。
空中に放り出されそうになるのがこんなにも怖いものだとは、子供の頃はまだ知 ....
ダイヤモンドが燃えた
白い皮膚で
月が燃えているという
小さな嘘で
笑い飛ばしてしまおうよ
わずかばかりの白い炎が
燃え尽き果ててしまう前に


穴のあいた靴下を
霧雨のより糸で繕 ....
絹のペチコートの恥じらいで
揺れるペチュニア
私がおまえを摘み取る時、
断末魔の叫びのひとつも
上げて見せよ

傷痕残るこの右拳を
雌しべの涙で染めうるならば





 ....
もはや不味くなるばかりの煙を吐きながらその渦に、下手な嘘をマジな顔で吹き込んでみるたびに君と少しずつ時計の針の振り幅がずれてゆく。
僕はそんな秒針を飽きることなく眺めている。
「あれはいつの日のこ ....
海岸で拾われてきた貝殻みたいに
居場所を少し間違えただけ
それがあるべきところから
遠く離れてしまうよう

「そう、まるで午後の雨のようね。」
と、あなたはつぶやいた
空の天井を落と ....
すすまない
空の向こうに
つながない
星の瞬きがおりました
わたしは、
柔らかい草に寝ころんで
それを眺めつつ

星色の鈴の首輪を着けないで
どこかへ去った猫については
悔やむこと ....
俺は猫だ。
とは言っても猫という俗称もニンゲンが勝手に付けたものだから、「俺は猫だ。」と言うのには少々抵抗がある。
本来我々には「ニャンジャラス界ニャンゾラス門ツメカクス綱ガブリヌス目ウニ ....
日々はバウムクーヘンを一層ずつ剥がして食べるのに似ている
同心円の中心に近付くにしたがって、綺麗に層を剥がすのが困難になる

土曜日の朝、市営のトレーニングジムに行くとジャンレノそっくり ....
おい、風よ
気が早すぎるんじゃないか
得意顔して びゅう、と吹き



桜はいいさ
急いで膨らませればいい
ラッパスイセンたちは
身支度に少し慌てているようだ

雪を降らせる ....
不在はふるえている

{ルビ科白=セリフ}が青く染まるとき
語る言葉をもたない左手で
おまえの一番やわらかいところ
をつなぎ止める

そうだ不在よ
ここにいろ
こたつにはみかんがあるから
あかねこはまるくなり
さまざまな約束事によって
針が回り続けているのを
ゆるしている

やさしい
そして、かなしい
夜毎、彷徨い叫ぶ人々のために
砂漠にはリンゴの木が植えられた
その木には
赤い赤い実がなるという

ごらん、
リンゴの血が滴るのを
あれを苦しみの美という
水の歌が滴って
綺麗な虹が瞬いた

瓦斯灯の下を
進みゆく足音が
木々達を歓喜でささめかす
黙って耳を澄ませば

夜の音符降る道
真紅の薔薇が日々を分光する
赤/黄/緑/青
その赤だけを銀のスプーンで掬って
ボロネーゼソースに仕立てる

ヒヤシンス絆す忘国の姫君は
黒髪を手櫛で梳くように
カペリーニを茹で上 ....
-Ein-

星の上では朝と夜が淀みと流れを繰り返すから、
歩む速度を誤るたびに大事なものを見失う。
太陽も月も同じ速度のフリをするから、
光の速度で世界は歪む。
いつもアインシュ ....
今日も祈りのうたを歌った おまえは「エメラルドグリーンだ!」と言った。
が俺にとってこれはクリムゾンと呼ぶんだが、
その程度の齟齬はどうでもいい。

俺はこのカンバスにはいつも
どうでもいい真実を描く事にして ....
芽が出ている
ちいさなちいさな芽が出ている
この真冬の空き地に
まるで荒野のようだった空き地に

風が吹き抜けたからだ
女神に愛された風が吹き抜け
この地にも雨が降った
雨は芽 ....
桜木町の高架下の落書きの暗黙の了解
新しい絵を描くものは前の絵よりも
素晴らしいものを描かなきゃいけない

それなりに自由を享受していたし
黒光りした鋭利を持ってた俺は
高架下、そ ....
深い藍を伴った夕霧はルリスズメダイの色
イルミネーションは腐臭のする街灯の影を逸らす
架せられた子への賛美歌は誰しもを赦す
だが、その子ひとりを守ろうとはしない

誰だって誰かの命を救い ....
深い藍を伴った夕霧は
街のそこいら中の路地に馴染むように
私の手のひらの温度をさらった
ルリスズメダイの色だわ
きっとルリスズメダイの鱗の淵なのね

*

街中のイルミネーション
青 ....
寒い
寒いぞ


暖冬はいとよろしうない
冬なら寒けくこそあらめ


俺の関節はブリキのギアで出来ているから
油が冷気で固まり落ちて
ギィギィと音を鳴らす

おまえが ....
朝、出勤しようと思ったら靴がない
玄関脇の靴箱に尋ねてみると
「皆様、長旅に出て往かれました」と言う
そうか、長旅に出たなら仕方ない
履き潰す前で良かったそういえば、
俺が最後に旅に出た ....
天球を半ば覆った夕暮れが燃え
肺胞には空気が足りぬ自明の理


お天気予報に言わせれば
あと十五年は夕暮れらしい
結局は息の仕方も忘れちまったし、
吸うなら吸うで煙草があるから
ど ....
ステンのやかんで湯を沸かし
凍った車の視界をひらく午前七時
柔らかさを帯びた空気の向こうに

こっぽり

と浮かんでいるあれは
マリーゴールドの豊潤
あるいは熟れた蜜柑に似た
色 ....
曼珠沙華、燃えて燃えてなお夢の中

オホーツク海を目指した鰯かな

撫子の可憐を食む羽虫達よ

うろこ雲幼き日に見た水彩画

流れゆく、うろこ雲さえ息を止め

アロワナに憧れたんだ ....
『食べられません』のラベルを貼り続けました。
あらゆる無生物に。
よくよく考えてみれば、
生きるというのはたったそれだけのことでした。

樹氷の白にくるまれながら、
ぼくがぼくの姿 ....
散りはらう街路樹のもとに傘はない
銀杏の枯葉をしとど踏みしめながら
右の黄金瞳が枝葉と灰色の彼岸を見透く
代名詞を求めない陽光に臨めたとしたなら
ひとつの名前できみを翡翠と数えただろう

 ....
しじまというよりしじみの合間に
退屈が席巻する
それはまるで石鹸のように泡立って
老廃物に似た哀しみを
界面活性化させる
テレビなんぞを流してみても
太平洋の海面に渦潮が巻くわけじゃない
 ....
{引用=
  ぐらなでんふらっぷでるさるばどぉるあるめりあ
  どれすでんがいなむおるとめらんそるとらむ


    だす/れいん/ごーるど


  くしゃなまはるごらいあすおるどらん ....
しろう(100)
タイトル カテゴリ Point 日付
街の鳥葬自由詩108/5/28 22:39
炭素の道程自由詩508/5/28 1:21
ペチュニア[group]自由詩108/5/14 23:55
サラマンダー自由詩008/5/12 15:23
紫陽花を待つ自由詩2*08/5/10 18:51
星座をつなぐもの自由詩4*08/5/6 15:26
詩猫の独白自由詩0*08/3/4 18:52
テーゼ×アンチテーゼ=バウムクーヘン自由詩208/2/29 18:04
吹き抜けた冬。自由詩008/2/27 20:26
ヌード[group]自由詩108/2/4 14:05
あかねこ[group]自由詩108/2/4 13:07
砂漠のリンゴ[group]自由詩208/1/30 16:57
音符の降る道[group]自由詩108/1/10 20:52
オルソクロマティック自由詩1*08/1/7 20:02
「Ein〜」自由詩3*08/1/6 21:04
祈りのうた俳句108/1/6 19:24
「絵描きの真実」[group]自由詩308/1/6 19:15
祈り自由詩308/1/1 23:21
高架下のスキャット[group]自由詩108/1/1 11:16
X'mas[group]自由詩0*07/12/25 21:37
カリカチュア・『X'mas』自由詩3*07/12/23 1:02
素敵にしてやる自由詩107/12/22 23:16
Fragmental Journey[group]自由詩007/12/20 19:06
果てしないわけでもなく夕暮れ[group]自由詩3*07/12/19 21:06
おひさま自由詩3*07/12/17 1:18
'07秋・句集俳句4*07/12/9 0:03
積雪の手紙[group]自由詩207/12/8 20:06
片眼(ODD EYE)[group]自由詩207/12/8 19:29
渦を巻いてみせろよ自由詩307/11/27 20:37
あいねくらいねなはと自由詩107/11/26 19:09

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