しばらく考え込んでいた瞳が
そっと滑らかにスライドして
氷漬けの彼を見やった
今では
愛していた感情すら
冷たく凍り
わずかな雫を溢すのみ
再会の日はもう訪れず
電子の螺旋だけ ....
つまらない嘘、付き合うような
関係になりたく無いって
私言ったよね?
つまらない花束が目前
花に罪はない
あなたの罪の行方は何処
被害者面して
差し出すなら
こんな花束
今す ....
荒れ狂う波のように
激しい彼女が
今日は一言も発さずに
まつ毛を伏せた
この恐ろしくも静かな時間のどこに
荒波が潜むのか
鼓動は脈打ち
浅い息を繰り返す
瞳に宿る粒の気配が ....
春の日の雨みたいに
落ちたものを覚えている
隙間なく並ぶ群れを見た
背表紙の厚みに恋をしながら
引き摺り出して
また君の頬をなぞろう
この指先は
その為に生まれてきた
物理的接触不可です
この音声は無機質に告げて
その人の温度がもうどこにもないことを意味していた
そんなことはないと何度アクセスしても
エラーコード 0
温め直す工程は思った以上に遠くて
....
ーーー時々
昼下がりに君と眠る
まだ産まれて数ヶ月だというのに
すさまじく速い成長スピードに
瞬きすら許されない
全てを焼き付けたいの
ある日突然知らない声で叫んで
泣き ....
歌を歌っている
歌詞なんてなくていい
鼻歌でいい
抱きしめた昼下がり
音はそれしかない
風はさらりと撫でるだけでいい
自身の体はゆらゆらと揺らすだけでいい
一本指を力強く握ってく ....
ねぇ
知らないとは思うけど
いつもの笑顔じゃなくて
ふとした時にだけ見せる
相手を本当に慈しんでいる表情が
あたしは好きなの。
ねぇ
知ってると思うけど
....
暁の魔女との契約
どちらかが朽ち果てるときは
身も心も壊してほしいと
電波時計の正確な日時
流れ出す世界から放り出されるときが
必ず来ることを
僕も彼女も分かっていた
深夜零時と ....
その屍を持っていても
二人にはなれない
慟哭の空
突き落とされた最後の日
足元の白い砂がささやかな風に飛ばされていく。
『あぁ、珊瑚の死骸だね』
ここが砂浜ならそうだろ ....
未だ見えない光の先で
君が泣くのを待っていた
密かに、ひそやかに。
独りきりではとうてい
飲み下せないだろうから
何が悲しいとか
どうでもいい愚問より
秘かな涙の粒が
....
投げ出したチェリーパイ
散乱したキッチン
崩れ落ちた何か
衝動的に飛び出した
立ちすくむ君を残したまま
罪悪感の欠片も無い
だってもうイヤなの
サクランボにはウンザリしてたの
....
不可思議な理論を思いついては
窓辺の君に押し付けた
紙媒体のレポートなんて
古過ぎると君は呆れたが
速度に追われたキーボードを見ると
理論すら何処かへ逃げてしまうから
骨董屋で買った万 ....
音速を超えて
今、僕らが立つ世界が
静かに終わっていくのを見た
本当に欲しいものなんて
何一つ転がっては居ない
さっきまであった体温
37度5分
掌より優しくなりたい
一つ ....
朝靄の泣き声でした
窓の外のまどろみは綺麗すぎて泣きそうでした
君はこうやって
人工の明かりさえ美しく引き立たせるの
才能だよね
本物と似て非なるものとの対比率
定義など成り立つものか
目を覚ませば ....
桃の味なんてしないわ
紅茶に潜ませた桃色が匂うだけ
真っ赤なソファが拒絶
白いシーツの群れが
羊に見えたのは内緒
絡めた指から零れたのは
夜粒の欠片だとあなたは言うけど
違う ....
伝わらなかった思いがいつも胸の中で燻っている
平気、平気、大丈夫
そんな言葉はもう要らない
強がりと我が侭は紙一重
貴方の手に繋がりたかった
願いなんて安易な言葉で片付けてたの
だって、夢 ....
漆黒の闇の中で
何処までも願うの
此処にまだ、この体、あるように
真っ白な雲抜けて
気まぐれな嵐に遭遇
祈りじゃなくていい、
此処にまだ、この心、あるように
水面を走り抜ける ....
「自由」って言葉ほど魅力的なものは無かったけれど
それを手にして振りかざして生きてきたけど
本当は誰の手中にも納まっていない
そんなちっぽけじゃないんだ、じゆう。
何にも縛られない世界で息 ....
触れた先からもろく崩れた
中途半端な温もりは私を追い詰めるだけだって
君は知ってて触れたのでしょう?
触れたいと思っていた手が
私の恋の終焉を告げるなんて
想像しなかったわ、今まで、 ....
明日また現実に戻るんだ
オフィスレディの宿命みたいに
あのチェアーの回転具合の悪さ
どうにかしてよ
勤務歴1年
もう慣れ親しんだ仲みたいに
言わなくても分かるを合言葉に
書類を投げる ....
知っていたよ
その言葉が嫌いです
私の事全て分かったように言わないで
知っていました
ごめんなさい
私も貴方の事を分かった気で居たのです
どんな貴方を見ても
好きでい ....
誰かのテリトリーで踊っている気分
手の平の上とかそんなちっぽけな場所ではないよ
もっと狭くて悲しい世界
一喜一憂の原理を利用して息をする
苦しくなったら吐いて
嬉しくなったら全てを飲み込んで ....
安易な言葉に祈りを込めた
僕の声に意味など無い
無邪気な瞳には光が無い
錆びついたスコール
死を待つだけの人々
走り去る小さな
足でも腕でも
掴んだのなら
放してはいけなかった
....
囚われて、捕らわれて みずうみ
蒼を重ねたら君になるの
遠くでひっくり返って
白い足すら放り投げて
グラスグリーンの波の中で
傷だらけで笑わないで
膝に乗った小象が悲鳴をあげてるよ
聞こ ....
其処は涙の果ての果て
触れるに遠い透明の
蒼と呼ぶには幼すぎ
海と呼ぶには儚すぎる
睫の旅路を邪魔したら
慟哭の瞳の奥で回る歯車
螺子の行方を黙って見てる
辛いことなんて何も無い
....
足を踏み入れたら其処は夜の繁華街みたいだ
真夜中の地下鉄、暗闇に溶けてく車両
所々ポツポツとある灯りの一つ一つが
異世界に迷い込んだような錯覚を呼び起こす
(まわったアルコールのせいではな ....
人の欲には果てが無いとはよく言ったもの
限界ギリギリライン突破していても気づかないのは
脈打つ心臓一つ手に入れてないからかもしれない・・・
僕は、泣きながら
踏出した足に「いい子、 ....
一杯泣いて
傷ついて
それでも立ち上がる
そんな残酷さは
時に私を救ってくれる
誰も同じにはなれない
もしかしたら
一ナノだって
貴方に触れられないかもしれない
保守派な私が ....
張り付いた顔でお絵かき
その指についているジャムは食べたくないよ
甘く赤いのは誰のせい?
君はいつも笑って言っていたね
ふわふわのベッドに包まれて
夢を見ているよ
白くて透明で何に ....
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