不思議な気持ちで目が覚める
隣で眠る猫を押しどけて
その向こうの背中に手を添える
上下する体の動きで分かる
定期的な呼吸は
深い眠り、夢の果てで出逢う為であることを
私は密か ....
この足を縫い付ける影すら要らない
手を伸ばしてみても無駄
星になるには早すぎて
この闇の中を歩くのは怖すぎて
小気味よいステップの果て
高い高い空の上
雲も星も関係ない
私は辿り着く ....
泣かないで
その言葉を紡ぎ出す唇に恋をする
泣かないで
夢なら覚めるどんなことでも
泣かないで
その雫より綺麗なモノを僕は、知らない
『泣かないで、さようなら』
永遠 ....
手は何処かで繋がってしまっている
情報のやり取りに余念が無い
高速で伝う何か暖かいものを
人が温もりと呼ぶのなら
目に映るのはサーモグラフィー
あなたが暖かいか
そうでないかだけ
私 ....
何処かへ行く為の、手段を残したまま歩いていく
砂漠のバイクには置手紙を、水を探しに行ったままの貴方にお別れを
遥か遠いオアシスの果ては楽園
独りきりでは歩けなかった足も、歩けるように ....
生まれ変わりを実行して
失敗した腕を掴んだまま
落ちてゆくのは体だろう
時の流れに逆らって
闇の兎に魂を売り
わずかな時間を買う
逢いたい人がいるのかと
問われれば
そんな ....
バイオリンの響きみたいに繊細なのに
その糸は引き攣るような悲鳴を奏でていて
夜のノイズに勝つ事が出来ない
ネオン街の片隅で
歌を歌ってみても
からっぽのバイオリンケースには
1ドル ....
熱に浮かされた熱い体を持て余している
脳はもう溶けてしまったに違いない
そうでなければ
ぼやけた視界に誰も映ることが出来ない
助けてほしくて泣いてみた
この体に有り余るほどの痛みを吐き出 ....
小さな私よ
跳んで行って伝えるのよ
言葉では図れない何か
触れることで判る何か
大きなクローゼットが
いつも遊び場だったけど
誰かが私を見つける事は
そんな事は無か ....
片手のナイフは今日も光ってる
昨日のサーカス団の幻影を追って
赤いテントの中に入れども
その中には小象が一匹残っているだけで
置いていかれたのだろう
少しだけ鼻を揺らし ....
私達はこの国に生まれたんじゃない
そういう訳では決して無い
この大地と海は遥か遠く国境を越えて繋がっているのだから
誰かの決めた曖昧なアウトラインが何処にあるのか
私は知らないけ ....
「戦争は現実だけど、現実を見たら戦争なんて出来ないんだぜ」
そう言って奴はニヒルに笑って見せた
銜え煙草の煙が立ち昇るのを見送るように
もう何人も同志が死んで
それでも面影鮮やか
今 ....
落下してゆく世界の欠片を
拾い集めても足りないほど
争いの無い世界とやらを求めてたけど
僕は平和な世界を知らなかった
崩れた壁の向こうで
銃撃はいつも続いていたし
やめてくれと叫ぶだけで終 ....
熱帯夜
海の底を泳ぐ魚の夢を見る
深い蒼をさ迷い泳ぐ
色とりどりの魚と
変な足取りで海底を歩いてゆく軟体動物
煌く水面は遠く
まるで海の夜に迷い込んだみたいだ
光さえ ....
永遠の意味なんて知ることは無い
この先ずっと続く道を永遠と呼んでいたとしても
その道だっていつかは終わる
だから意味なんて、無い
言ってしまえば
終わらないものも
始まらないものも
....
曖昧な言葉の波に飲まれている
夏の陽炎、幻と思い出の中で
君を失くした日を消しゴムでランダムに消す
消し忘れた心の奥で
君がいつも笑うから
私はいつも不安になる
フェンス越しに ....
不確かな世界で死んだ振りの上手な彼女
笑い転げた青い日々の残骸
抱き寄せた透明な腕がひんやりと手に吸い付く
【愛してる】
けして言わない言葉を繰り返して歌を紡ごう
【そうね、 ....
深い闇の中にいるような猫
苦し紛れに愛を叫んでみても
空しいだけさ 悲しいだけさ
簡単なことなのに出来ないのは何故
君にただ振り向いてほしい
いつもそれは小さな祈り 小さな希望
....
あの頃
全ての流れ星を追いかけていた
水田に映し出される蒼い蒼い光の粒が
幾千もの時を越えて堕ちてくるのなら
山も川も空も海さえもそれを歓迎するだろう
光の螺旋を仰ぐ時
足元 ....
追いかけて、追いかけられて
たどり着く先、その先エデン?
緑の葉に宿る朝露を飲み干したくて
手を伸ばすならその先オーシャン?
いつでも触れられました
いつでも走ることは出来ました ....
痛みを伴って吐き出した言葉が
もし他の誰かを傷つけるものなら
僕はもう言葉は要らない
胸の内暖めた優しい言葉は使うことなく死んでゆく
それでも去ってゆく人達が振り向いてくれるなら
吐 ....
泣きながら読んだ絵本を覚えている
誰かが何かを失くす夢
とてもとても大切なものだったり人だったり
走って走って!あの海岸線の向こうまで
世界中飛び回って探したとしても
その大切なものはも ....
テンポの良い曲を聴いていると
自分も空へ飛べるような錯覚に陥ります
踊る歌声は何処までも空に舞い上がれるから
時々眩しくて目を細めます
さよならと
何度呟いた事でしょう
何もかも置き去 ....
すれ違う人の群れ
深い海の底のようなコバルトブルー
泡を吐き出せばエラ呼吸も必要ない
進化の過程で忘れたものは取り戻せないけれど
心の中に残された記憶はゆっくりと胸を焦がす
....
私達は同じようで同じではないので
笑ってしまいます
それを知っているのは
彼とその飼い犬だけ
私達は恋をします、彼にだけ
私達はそして離れ離れに
奪い去った恋の後味の悪さは否めません
お ....
何十通もの手紙の中に
届け先すら忘れられた手紙がいて
僕のカバンにずっと入っていた
先輩に聞いたら
俺の時から入ってるよ、それ。
軽く笑っていた
誰もその中身を知らないらしい
....
冷えた足で氷のダンス
水面を滑る滑らかさ
青い虚像とあの日の影
崩れ落ちる雪と心と
受け止めた欠片を掻き集めても
最期のピースは見つからない
あの子はいつも助けを求めてて
ずっとママを欲しがっていたけど
朝食のトーストとミルクに当たったりしなかった
赤いランドセルを背負って
玄関の扉からそっとママを振り返ったけど
....
テレビを見ていて思ったの
このニュースは誰のもの?
毎日誰かが死んで
毎日それを伝えるけれど
ねぇ
一体、どうして、誰が
感覚麻痺は著しく
この身に降り掛からなければ ....
一人きりで待っていた
朝が来るのを
夜明けが来るのを
カーテン越しの光はどんより鈍り
ダブルベッドの隅っこで
凍えて泣いた
流れていった何もかも
君のせいにして眠りに ....
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