フィルムケースくらい
すっかり死語になってしまった
大きさで
文庫本のページがめくれる
広いままの建設予定地で
長い時間をかけてファインダーを覗いていた

空ではなく
空中が写り込むの ....
寒気を感じるほどのあつさが続いている
語られざる
おおぜいの屍がたてる衣擦れの音は
長い間やみそうに無いのだった
窓の外も中も
もう屍でいっぱいだった
ことに気づかない振りを決め込んだ周り ....
続きだけの道を歩く 方角は二十七個ある

なだらかな草原の坂 みんな自由になった
緑の夕日を待つだけ 幻燈機に集う少年達

何も見えないままだ 足音が聞こえてくる
大人はいなくなった 一つ ....
目は絶え間なく
開いているように見えた
拡がっていく穴に
ほどこす手をもたない
皆が
からすだ

羽がわずかに散る
つぎつぎと首を伸ばし
祈るようにくちばしを
鳴らした
雨の音だ ....
ぼくが終着駅の三つ先で降りた日にはもうそこら中が真っ白で
世界の終わりなんですと言われたらそのままそうですかと納得してしまいそうな光景だった。
錆びた二色刷りの看板を眺めたが大切な部分を示すはずの ....
 縦に長い大部屋の中
に、並べられた寝台、
おおぜいの男と女が寝
ている、昏々とねむり
に落ちている、灯って
いる照明はひとつもな
く、奥まで見渡せない、
暗闇よりあかるく、薄
闇より ....
僕がヤツカハギに出会ったのは
まだ子供のころだった
太陽がまだ高い時間に
あぜ道で一人になったりすると
山の向こうにぽよんと現れるなんだか大きいやつだ

1000メートルくらいある山なのに ....
汗をかかない速度であるいている
交通標識には
知らない地名が並ぶ
一方通行なのは車両だけだということだけ
当然知っているとばかりに

迷うためにあるいている
個人商店が
灯りを落としは ....
 区画整理された綺麗なニュータウンの公園には滅多に人が寄り付かない。今も当たり前
のように公園は無人で、手入れだけは充分な植え込みのツツジが褪めた色の花をつけてい
る。雨が降っていて、辺りは青い薄 ....
/水膜現象

 ざざあ、と音を立てて降る雨の中を走っていた。暗い。フロントガラスにぶつかり続ける雨は視界を著しく遮り、ライトの届くその先を見通すことはできない。ワイパーがぞんざいに動き、僅かな間だ ....
纏わりつく感触の群れに足を止め
アスファルトに革靴を叩きつける
ごぼごぼ夜が沸きたつ

燃え尽きる花火の匂いに
車が一台、点滅する信号
止まり、あるいは駆けて
生まれる空行と

なつ ....
猛禽がゆく
絞めつけるように羽ばたいて
海を捨て
空を切り分けた
陸に住めなかった
みずからのつばさこそが病

うしなった爪で
満ちるうつろを掴み
嗚、と
ひとこえを残して
猛禽 ....
でんしゃだった
ぼう、ぼう、と
隊列つくって
歩く目があわれと
気づいてしまった、
僕は

時よ止まれ、と
つぶやいて映すガラスのうすぐらい
鏡像が
伸ばした手/

 /こちら ....
 走らなくて良い。そう言った男は走っていた。雪の少ない地域であるということは、気
温の高い地域であるということとイコールではなく、早い日没を経てすっかり宇宙が透け
ている。星々の吸熱を、誰も止める ....
ちいさな頃書いた、日記のように
空を何度もみた
いそがしいんだ、私

匂ってくる
なにもない、があるよ
との言葉に
泣きたくなる
こんな、ありきたりで、

罵ってください
むかし ....
月見里司(45)
タイトル カテゴリ Point 日付
ノート、テクノ、デジタルカメラ自由詩507/9/15 23:30
透明自由詩007/8/31 23:08
粗末な笛自由詩207/8/29 23:21
からす自由詩2*07/8/22 23:58
しろ自由詩107/8/12 23:49
合わせ鏡自由詩207/8/11 22:46
ヤツカハギ自由詩3+*07/8/8 12:39
神隠し自由詩307/8/4 18:21
レインフォール自由詩107/8/1 21:37
あるいは、あめからの呼びごえ自由詩507/7/30 23:10
熱砂自由詩507/7/29 23:03
自戒の鳥自由詩707/7/28 21:54
みんなを呼ぶ雨雲のこえ自由詩407/7/26 13:31
げんとう自由詩207/7/25 13:22
さかさま電柱の海[group]自由詩907/7/24 13:06

Home 戻る 最新へ
1 2 
0.12sec.