飴色の過去に浸る君に僕は言う
『ねぇ、果ての存在を信じる?』
ひび割れた壁を伝う光に手をのばして笑う
『ない、ないよ。そんなものただもとの位置に戻るだけだ』
背後から ....
緑色のクレヨンで世界地図を塗りつぶしたら
雲の轍が木々をざわめかせながらその緑を侵食していく。
カンヴァスの存在を知らない子供たちの
そのクレヨンを持つたどたどしさが、なんだか妬ましくて
私は ....
空が白んできたら、無数の糸がぼくをからめて
息苦しいくらいに涙を流させるんだ。
いつか、病室でママが言ってた。
「あなたは、恋人にあげた甘い蜜のかけらなの」
甘い、甘い、あまい めま ....
あなたの手首から、ふわりと香る香水が好きでした。
大人びたタバックレザーの香りは少年めいたあなたとの間に
危うい不均衡さを生み出して、不思議とあなたの存在を
空間に焼き付けました。
はい、 ....
小道でつぶれた猫をみて
泣いて弔う ふりを、した。
人々は、まるで聖女でも見るかのような顔で空を仰ぎ見たけれど
私はそれを嘲笑した。
ひしゃげた命を踏みつけて、私は鏡を得たので ....
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