君の泣き声は ちいさくて きこえませんでした
つめたい雨のなか さがしていたのは ほんのちょっとの合図で
こころが 遠くにいってしまったのを悲しみながら またほかの事をおもっていました

本当 ....
とおく とおく
はなれた街にいる 膝を抱えた少女を迎えに行かねば


夢の中の少女は夕日の沈む部屋にいるだろう
そこでただ独り 膝を抱えているだろう
窓は少しだけ開かれているかもしれない
 ....
 こんなに辛いのに、悲しいのに何度も思い出すのは、大切だと思ったあの人がその記憶のなかにしか居ないからだ。また出会ったら同じことを繰り返すと思う。何度も好きになって嫌いになって離れていく。それでも私の .... 月のきれいな夜に ひとり帰る
金木犀の咲く季節はどうしてもうまく生きていけなくて
鞄の中のお守りを何度も確かめた

あまいあまい香りはわたしを狂わせる
満月の光にふるえながら 
まだ温かい ....
だれも 電話にでなかった

冷たい風は夏服のわたしを悲しくさせる
雨のにおいは記憶のなかにしか優しさをもたず
思いつく限りの番号を履歴にのこして
だれもだれも忙しいなかで一人だけ時間の空白を ....
小さなひかりに 記憶を混ぜて 
手のひらの感触をおもいだす
辿った道は短く 景色は春だった

横たわる体から流れるものは
赤くもなくただぼんやりとした脱力感だけで
遠くに消えた心は掴めば千 ....
あなたがくれた幸福は
とても優しく はかない
幸せの記憶よりも
一つの約束に固執する私は
あなたのくれる幸せよりも約束の方が大切でした

いまでもあの約束はわたしの支え。
あなたのなかに ....
 ずきずきとした痛みがこころにある

 いつからか消えない痛みは
 あなたが手を繋いでくれれば消えると
 そう思い込んでいたけれど
  
 あなたがいても こころはまだ痛いままでした
銀色の包みのチョコレイトを 
いつかあなたにあげたくて いつも鞄にいれています
優しいあなたを温める一粒は 日に日に形を変えて
この夏に溶けていくけれど
秋にはまた新しいのを用意しますね。
 ....
ああ

まるで

はいつくばる 虫


このように卑屈に生きていては
前を見ることすら叶いません

重い体を 
ぐぐぐ、伸ばして
足をそろえれば
あとひといき 
背筋を伸ば ....
空気を喉につまらせて
ぱくぱくと喘いだ
 
さらりとした風は
この喉につまるものと別物なのだろうか
何に喘ぐのかも解からずに
ただ この違和感を追い出したいだけ
右手で触れてみても
な ....
優しい手に言葉は潰され

汚れたような日々は拭えば溶ける

ひとつの言葉を持たないわたしは 
凍りついた喉を震わせ
通じることのない音を立てる

お話にならない文字はだれにも伝わらない ....
逃水の向こうに君の姿を見つけ
マボロシと気付くのに3秒かかった

ホースの水が作る虹を
君に見せたいなと

君のマボロシもう一度みたいと

手に取れない愛おしさに指先だけで触れたいのだ ....
やさしいやさしい言葉はわたしの水面に波紋をたて

底へと小石はとどく

あなたの小石でわたしのなかが一杯になったら

わたしのせかいはあなたのものです
痛みを知ることがなかったら
この愛おしさに気付くこともなかった。

ありがとう
私を好きになってくれて
おしまいは 急にやってくる

きのうが終わりだったことにも気付かないで

のうのうと呼吸する わたし

気のぬけたサイダーが知らせる時間の経過

にがいにがい泥水を飲み干して

終 ....
ぱきん ぱきん
音を立てて踏む足元の枝は
まるで昨日の骨のように
もろく、音は耳に響く

痩せ細った片腕は
傘も支えれぬ衰え
どこかに落とし、捨て、忘れたのは何か


雨に濡れ落ち ....
土のにおい
湿る地を掘りかえし
葉桜の下に約束を

ぬかるみに足を入れ
虫の這う手を雨が流す
汚れても 汚れても
流される季節に
約束すら消えてしまうのかと
深く掘り虫を潰し
緑の ....
秤の林檎にくちびるを寄せ
カリ、と音を立てて齧れば
金色に光る果実から赤い石がおちる

深い色の底に
昔、こころの中に住んでいた少女を見つけ、
名前を呼ぼうとしたが思い出せない

彼女 ....
小さな箱に体は収まる
膝をかかえ頭を下げ
それは体に張り付くように
少しでも体を動かせば骨が軋む
箱から外れるな、と

箱が割れる日がくるときもある。
そのときは皮膚が外へ出るのを嫌うよ ....
きれいな箱のクッキーは
触れると
ぽろぽろ崩れる
シフオンケーキは
握り潰すと
小さくなる
薄荷のキャンディーは食べる気もしない。

お腹の中に収まった
お菓子は
もうお菓子じゃな ....
ひたひたと波
わたしの側を通りぬける雪
布一枚の盾で身を守り
声ひとつの剣を構え
この足はあなたの紡ぐ文字を踏み、
手は己の言葉を振り払う

籠の月は美しいのですか、
声はもろい剣のよ ....
紫陽花色のこんぺいとう
ゆびさきに光る珊瑚の欠片
ひとつ、ふたつ
舌にのせ、届く甘さ
がりがりと噛み砕き
喉を通る苦さ
 この身の重さは唯一の持ち物なのか
 引き摺る体は傷に塗れ
 手には見知らぬ荷が積まれ
 この身の重さは捨てても消せぬ

 ならば足を切れ腕を千切れ身を抉れ
 血は絞れ管を絶て
 
  ....
おもいおもいおもい重い、

髪の毛を切って体重をへらして食べたものは全部吐いて
爪は限界まで切れ涙は流し尽くせ
服は脱いで心の中身は叫んで喚いて追い出して

それでもまだ重い

軽くな ....
わたしは握りつぶしたあなたの手を
離れていかないうちにキスをして
目だけで愛しているのだと云うけれど
あなたの中で生きているのは耳だけ
本当は全身でわかろうとしていることを
知っているけれど ....
しんどいのはこれからです。

何度でも落ち込んで、またあたらしい話を聞いて、
立ち上がることができます。

ハッピーエンドで正しい道を選んだ主人公が
これからもずっと、話の終わったあとも
 ....
美しい双子を前にしてわたしは歌う

二人ともそれぞれ美しいのだが
左の少女の手はとくに美しい


わたしは右の少女の手を取り
左の少女の手を美しいと思うのだが

左の少女の手を取ると ....
青白い手のひらに紅色の月を透かし
斜めにそびえる塔への梯子を探せば
遠くに捨てた金の鍵が森の中できらりとひかる


朽ちた木のように横たわる老婆と少年の
永い恋は幕を閉じ
後に残るは少年 ....
月よ灯を
雪や雫を

白い夜に犬よ這い回れ

長き夢よりの無形の使者
跪けと唸る永劫の王
雪に埋まる娘は白銀の一滴

雨に声を
雲に土を

欠けた月を眼にうつし
一斉に呟く絶 ....
湖月(69)
タイトル カテゴリ Point 日付
銀木犀自由詩208/10/27 21:04
彼岸花自由詩308/10/26 23:35
朗読散文(批評 ...108/10/23 21:00
十月病自由詩408/10/19 22:20
電話自由詩108/9/18 23:34
きおく自由詩008/9/7 22:12
シロツメクサ自由詩008/8/30 23:13
胸に咲くトゲ自由詩208/8/29 21:05
こい自由詩108/8/12 22:52
ひとりごと自由詩108/8/8 21:40
金魚鉢の中のせかい自由詩308/8/7 22:44
もういちど前を向く自由詩408/7/30 23:56
自由詩208/7/19 16:35
波紋自由詩108/7/1 23:29
いとしい自由詩308/6/13 18:08
オープンエンド自由詩1*08/6/8 21:17
自由詩1*08/6/2 21:48
自由詩1*08/5/30 2:11
少女自由詩6*08/5/26 22:13
ハコ自由詩1*08/5/23 20:19
チョコレート自由詩2*08/5/20 15:52
自由詩2*08/5/16 23:29
自由詩4*08/5/15 18:32
重み自由詩2*08/5/14 23:23
重さ自由詩2*08/5/13 22:06
距離自由詩4*08/5/6 21:20
ハッピーエンド自由詩1*08/2/21 23:43
双子自由詩4*08/2/10 23:15
語り自由詩2*08/1/28 18:43
自由詩1*08/1/27 19:46

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