ハンバーガーセットを注文すると
 工場のベルトコンベアに乗せられ
 出荷される電子レンジみたいな気分になった。
 ハンバーガーが出来上がるまで三分かかると
 店員の女 ....
 着込んだ老人が
 踏切りを渡りきれないうちに
 死んでしまうのは


 電車は通らなかった

 車は突っ込んでこなかった

 風は吹かなかった

 杖を玄関 ....
 13階建てのマンション
 焦茶色の非常階段
 オレンジ色のバスケットボールが
 弾んで落ちる



 送電塔の電線が
 切れて
 絡まり
 踊り場の縄跳びの少 ....
 
 朝
 おれはパンを食べながら新聞を逃がしてやろうと思う
 寒いというほどでもない朝だ
 黄色のニット帽の老人が
 今朝も部屋の前を通り過ぎた
 畳屋の隠居だがもう畳屋 ....
 俺は月を見ていた。
 月は俺を見なかった。


 おまえのことを
 思い出し
 夜はよく眠れる。
 朝に起きる。


 昼。
 ショートケーキの苺を ....
 




 裂けた肉から
 あふれだす血を
 忘れかけた酸味を思い出した
 壁時計の下で壊れてる
 置時計の針の行方は
 壊れてる壁時計の針の行く末
 通りの先で雨が傘に遮られ ....
  白い  白い  白い
 向い合ってない 十分に機能できない場所に放置された
 バスケットボールリングの 
 校庭の小学校
  垂れ下がるネットはなくて 空洞のわ ....
 コンビニで買ってきたポテトチップスをテーブルに撒き散らして
 両足で踏み散らすのが僕の恋人。
 それを食べるのが彼女の恋人の僕。
 僕は犬だから、彼女はショーペンハウエル。
 ....
 夜が終わる音を
 聴いてみたくて
 ふとんから顔だけ出して
 ひっぱった毛布の端で
 口元の辺りが隠れている
 暗い水槽の中で
 向きを変える熱帯魚の尾ひれは
 水を斜めに ....
 おれはいつもこうやって歯を磨く。どんなふうにかは教えない。みんなピッカピッカの歯でまぼろしの無人島を目指すから嫌になる。手を洗おうと思うんだけど、肝心の洗面所が部屋になくて隣の部 ....  グラスの底の穴からミルクがこぼれている
 おさえた手からミルクがこぼれている
 立ってる床の穴からミルクがこぼれている
 ミルクがこぼれている
 それ以上は何と言った ....
 寒空へ向かうシャボン玉の割れたさきで
 季節が変わる
 ふくらんだ嘘を削ぎ落とすようにきみは
 僕をたった一つにする
 やさしい指先に抗いましょう
 午後の上機嫌なチーズスフレ ....
 




 男の部屋なんて
 臭くてオナニー三昧だ
 自分ではわからない臭い
 自分の臭いしか返ってこない毛布
 畳にころがった週刊プレイボーイ
 ビデオを借りに行くほど熱心じゃ ....
ストーブの前で
きみの姿が消える
水がほしくなる
透明の重さのない
思い出にならない水



こわれたばかりの
ろうそくの炎が
いなくなったきみの吐息を
 ....
 
 



 面接官は一重の目で
 おれを見つめ
 何も言わなかった
 机にある採用チェックシートの上の宙を
 ボールペンがせわしなく回転する
 肌寒い頃だったが
 秋だかまだ ....
 鳴らないように
 カスタネットをひきちぎった
 偶然なついて住み着いた
 一匹の猫を私はふいに暴力した
 頭の中が真空状態になり
 私は一方的に傷ついた
 風で車 ....
 彼は助けを求める声さえうまく出せなかった。


 雨の中、傘を差して立っていた。
 温かみのある灰色の海が暗闇に変わるまでそこに立っていた。
 服の色は変わって ....
 誰でもいい誰かを轢き殺す視線で
 先の尖った送電塔におれの欲望をからませ
 なしくずしの洪水を頭上に照らす
 頭をなくしたやつらで埋め尽くされる隙間のない街が
 いつ ....
 ぼくの手のひらにお皿があってずっと回ってる
 切れ目のついた流れ星が
 次から次へと不時着を繰り返す
 どうしてぼくは逃げ出したりしないのか
 紺色と茶色のあぶくで ....
カスタネットの鳴るほうへ
落ち葉が泳いでいった
開かれた世界
忘れてた呼吸のリズムを思い出すような
覚えたての九九を妻が口ずさむ
大切なものは奪われても
忘れなければいいのよと妻が歌う
夕暮れ前に一瞬空が明るくなり
テーブルのりんごやみかんやバナナが色を手に入れた
頬杖つきながら
文 ....
 チューインガムが巨大過ぎて
 おれは駐車場に車を停めることができなかった
 とにかく巨大だった
 このチューインガムは巨大だった
 噛まれることを拒否するチューインガムだ ....
   




 呼び鈴を押さずに聞こえたドアの向こうの声を辿って私
 水槽のある風景に赤いインクを落としました
 この世に存在するすべての平行線が美しい、と
 ずいぶん暮らした街から ....
 時計の針がなくて困っていた
 数字が並んでいた過去を溶かして
 花咲いた空洞の黒蜜に
 楽しみにしていたパイと
 ビスケットで調和を取った
 残りあと数秒ということ
 それが ....
 少しだけのしあわせなら正解です
 屋上の端っこで見上げる夜空の月は
 名もなき白い花の花弁がめくれるほど
 唐突にこわいのです
 こわさの延長線上にすでに伏せ字になって
 しま ....
 俺には何もわからない。
 水道の蛇口をひねる。おまえの体液が心地いい。
 ずっとたゆたっていたい。
 かるく海の匂いがするそこに、ずっといたい。
 ずっといたい。
 傾 ....
 行ったことないけれど海の家のかき氷ののれんを突然思い出したわけで
 砂浜に置いてった夏にしか笑えないジョークを
 水道の水が冷たくなりかけのころ思い出す
 海になんか一度も行か ....
電車に乗ってるやつらの膝を砕き週刊プレイボーイの中吊り広告を見て勃起する
終電前の電車だ
吊り革の円がほんとに丸くて
消費者金融の広告の女のくどいほどの笑顔とホームの青葱まじりの大量のゲロ
役 ....
 ぐったりのびた豚の死体を担ぎ上げて
 好きな方角に向かって投げる
 車の後輪タイヤは空気が抜けてて
 地面にホイルがめり込む
 大切な約束をしたはずが
 赤 ....
 
 改札を抜けた人びとの足元に散らばった夕日の残骸を
 数えきれないうちに死は桝目の地面を漂い始め
 人びとは疲れ切った無表情で
 詰め込まれた電車の中と何も変わらな ....
カンチェルスキス(260)
タイトル カテゴリ Point 日付
平衡自由詩1205/4/11 16:53
深爪自由詩405/4/6 17:07
着地点自由詩705/4/6 17:05
ユニットバスで肩まで浸かろうとする。自由詩705/4/6 17:00
俺はショートケーキの苺がつぶれ落ちるさまを眺めおまえの心臓の ...自由詩605/3/25 20:24
自由詩205/3/8 11:07
白い白い白い自由詩10*05/1/15 16:15
僕らの『凹凸』。自由詩805/1/12 19:38
夜が終わる音を聴いてみたくて自由詩1205/1/7 19:52
博愛テニスラケット主義散文(批評 ...2*04/12/28 20:58
ミルクがこぼれている自由詩404/12/28 19:41
灰色ゼリー自由詩504/12/28 16:08
コブラツイストガール自由詩1104/12/26 20:50
前へすすまない水自由詩4*04/12/25 20:52
セプテンバー山男自由詩6*04/12/25 19:21
恐れ/屠られたカスタ自由詩604/12/23 20:55
ハンカチ一枚自由詩4*04/12/23 17:15
衝突自由詩104/12/22 21:36
ぼくの手のひらにお皿があってずっと回ってる自由詩304/12/21 14:57
カスタネット自由詩3*04/12/18 18:06
九九自由詩1104/12/14 23:34
早慶戦コンドミニアムチューインガムQ自由詩104/12/7 11:20
ムーヴィング・自転車自由詩404/12/7 11:17
数秒自由詩304/12/7 11:16
自由詩804/12/3 16:57
責任逃れの太陽自由詩504/11/25 20:47
台風スプレー自由詩4*04/10/20 16:28
ハズバンドの処刑自由詩5*04/10/18 22:14
視覚神経[group]自由詩4*04/10/18 16:06
夕日の残骸自由詩3*04/10/17 19:01

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