公園の水のほとりで
老人が自爆している
ソフトクリーム胸に突き刺しながら
芥子色のニット帽が
つぶれて落ちている
喘ぐ声は、聞こえない
だ ....
外から
窓を叩いている
さむかぜが吹いている
部屋のなかで
ふくらんだふうせんが
飛んでいる
鍵はかかっている
入れる扉もない
窓を叩き割ることも
思いつかなかった
ふうせ ....
チューブの歯磨き粉を踏んずけたときのような感覚が
この世をめぐりまわってめぐり殺人、故意による殺人
糞をした犬がアスファルトの上で砂もないのに砂をかけようとする
そのときの手持ち無沙 ....
石を投げたら
海に波紋ができた
ルーツ
無駄にして
深いところに落ちる
波紋を見上げて
できそこないの光に触れる
棒読みの辞書の中に
金字の注釈 ....
アスパラガスと中央のそれと
交わる
未分化の炎
わたしはまだ生まれてない
コンクリートを接着剤として
ボルトの取れかかった煙突の下で
黄色いペンキで塗った腕を
ぐるぐる回 ....
わたし、苺をいただこうと思って、近所の自動販売機まで出かけましたの、そしたらば、それは偶然、ペプシの自動販売機でございましたが、なんとも、苺は売ってませんのよ、懐疑という二 ....
ひどく髪が傷むのは
瓶詰めの中で
チェリーが
悲しんでいる
死にそうな動物を
殴る
歯間から漏れる
折れ曲がった
釘のような嗚咽
....
もうこうなりゃポカスカ日和だ
立っていると
足がくらげになってしまうほど
あったかかった
午後三時の図書館の屋上は
どの午後より
死んじゃってる、と
お ....
まるで八百屋から飛び出してきたような見事な赤い帽子をかぶり、
可能な限りじじいに近いボーダライン
ぎりぎりのおっさんは黒の長靴を回転させ、
操るのは、カゴの潰れた自転車 ....
もうオオカミは吠えない
寝静まった夜更け
窓の向こう
開かないパラシュート
地面で弾む音が
幾つも聞こえる
氷河期の時代
地球上には
愛がなかっ ....
路面が凍りそうなほど寒い朝
彼は社長を迎えに行った
自宅に着くと
リビングのソファで社長が
頭から血を流して倒れていた
頭の中身は
アンティークの柱時計に ....
こめかみが震える
ボタンを掛け間違えただけで
凍傷になった右腕を
いらなくなった左手でどかす
タバコの煙が
消えるのにじれだすと
地上では急に雨が降りはじめる
おれは終電 ....
うすら寒い尿道の奥地、
おれは(そこに)祝祭を感じる、
人びとは電気椅子に座って
小便を垂らし、いたいけな少女は
自分の陰毛をむしる、
のんびりと、おれは、
人びとの膝の皿を狙 ....
牛肉牛乳だよ
仏滅の次の日に訪れるのは
遠くガラパゴスで
腕のないパトロンが
待ってる
手提げ袋にいっぱいの
牛肉牛乳を詰めて
鳩胸をふくらま ....
布団から起き上がったおれは焼きそばと友達だ
喉に詰まった魚の骨は引越しを終えても魚の骨の形をしてる
みなのもの、ここは印度だ
桜が散る赤錆が浮かぶうわの空でいつも浴槽に浸かって
はにかんで ....
ひたひたに濡れたティッシュの国
エレベーターガールは手芸店に通い赤いセーターを編んだ
こわれた肉を
肩にのせて
塊のfish 俺は古い順から並べる
髪が燃える匂い
俺の ....
公衆便所の7階から飛び降りるとき
どっこいしょと
言ったか言わないかで揉めているのだ
(百万人に一人の確率で)
雷雲が発生し
キンモクセイがアッパーカッ ....
ボンネットの上で暮らしながら
おれは浮き輪の目立つ格好をしている
二酸化炭素が好きで
画鋲がきらいだった
クレヨンの先がつぶれて
壁にめりこんでゆく
....
なんて朝だ
頭が取れて落ちそうだ
二日酔いの後じゃ
はらわたえぐられた青魚のように
水面に浮かんで
早く消えてしまうことを
望むばかりだ
パ ....
人殺し
火星に送った手紙
燃えてる途中
心臓をなくした
ブロック塀の向こう側も
こっち側も
壊れている
川の流れに ....
洗剤の泡が
細胞みたいにまだ
残っている
流しの排水口に垂れ下がり
命乞いの甲斐なく
数秒後
消えてゆく
ネスカフェの紙のふたを
うまく破るこ ....
眠れる人魚は
海を失ったことを知らない
もつれた後ろ髪は砂になって
青白い街に降り積んだ
水になりながら
瞬きのほかは
宝石の泡に見惚れてた
かげる頬はい ....
いつの日も 青空は明るい
紅茶に溶けた 角砂糖
スプーンの渦が 止まる
こんなに悲しいのは なぜだろう
テーブルの光に カレンダーを描く
....
何度も潰れたハーモニカが
落ちている
鉄橋の下 毒殺された猫たちが
かきむしった 芝生の跡に
昨日からの雨が しみる
通過する電車は 歯並びのいい弾丸で
消える頃に ....
暗い海に 鏡のビルが倒れる
バラバラの光 二度映しになって
座礁した貨物船に降り注ぐ
叫び声が聞こえないのは
はじめから
人がいなかったから
ただ倒れて 倒れる
....
かきむしる午後には水の名残りがある
舌先でからめとる瞬間に
横殴りに七つの寓話が駆け巡る
床にまぶれた光の深度が増し
垂れ落ちた髪の中にうずくまる
渓谷の底から叫ぶ
氷河 ....
公園のブランコで、闇に光る涙があったとしても、
それは感傷ではない。墓地の猫が、白昼夢をよこぎる。
カラフルな通りの、裏返しは空白。
軽薄な口ぶりに、不整脈なリズム。
反 ....
Tシャツの背中をたどっていく
汗の粒が
落ち切る
急ブレーキのときの感触が、まだ消えない
喉でとまった騒音
頭痛の夜に
有効な腕の力を押し出して
短冊にさ ....
ちくわ
が好きだとしても
ぼくを獅子丸あつかいしないで
水でっぽうから
ミサイルを発射しても
ぶっしゅだとは思わないで
ぼくは下駄をはいて
まっすぐ ....
ハンカチを落とした 鶏の胸肉のような色
ペンギンが踵から剥ける
中身は大吾
繰り返し描かれるマジックの人面魚のひげ
さきほどは嘘だったのに
感動を呼ぶ映画にな ....
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