得意げにまわってる
あの子は
何も話せないから
おどけてるだけなんだよ
水色の音楽の真ん中
はしゃぎ過ぎて
黄色のスカーフが
ほどけて
落ちた ....
揺れるカーテンなんぞに感傷を重ねて
俺はマンホールの世界にしがみついている
堤防の下の壊れた冷蔵庫の中から生まれた
有刺鉄線に刺さったアゲハ蝶を見上げている
役割を終えた ....
炎天下の国道で生まれた俺は本能的に四つ足で生きる
燃える街路樹は火力を増して
国道を走る車の後部座席を焼き払う
揺らぐアスファルトの先で生まれた幻影を打ち破る視力を
....
口笛するけど音が出ない
きみはうつくしい食器を洗った手で
一枚の銀紙を折り畳む
訊ねようとしたことを
思い出すために
つらい過去も思い出し泣いた
カレンダ ....
ぼくたちの見えるところ見えないところ
繰り返される欲望の衝突のおかげで
ぼくたちはもぬけの殻になってしまった
風鈴がチリンと一つだけ鳴る
意味を終えた紙吹雪のように
....
月曜日とにかく光射すバスの窓際に座って
手のひらのにぶい氷が溶けてゆく
仮死状態でありながら
勃起する
なくした心臓の空白
暗闇からきわだつ白い幹を
幼虫 ....
人間の体のつくりを真似て話しながら
どこにもいない人間になれたらいいのに
ぼくらは作られたもの
あと一秒で生まれ変われると日常的に信じて
浮遊するゼリー
いつでも ....
湿ったマンホールの中でひしめきあった豚たちが
悲鳴を上げている
チカチカする電灯の合間に
血走った目が光って見える
だからどうしようぼくたちは白い粉の洗剤を飲 ....
深夜のプールに
腹を裂いた犬の死体を浮かべた
悪いことしてない
したいからした
細切れにされた僕が
立ち尽くし
一つしかない空の星を
噛み砕いた
通り魔が居眠りする路上で
おれは通り魔を殺した
こわくない
おれはたった一人の人間だ
心臓と肺を持つ
たった一人きりの人間だ
長い長い
疲労感と倦怠感、頭 ....
井戸水の表面に映った三日月の先が
赤みどろに染まった
折り重なった葉の上で
崩壊をたずさえた少女の落涙
狂いはじめた
鈴虫の羽に
つぶやきのような雨しずくが
....
散弾銃の響きを聞きながら
今日も眠る
僕は殺されるかもしれない
マンホールの下に
うずくまっている
谷底に沈んでいる
フタをかぶされて
沸騰 ....
結びかけた靴の紐が
切れた瞬間に
砂時計の砂は
落ちきった
海が燃える
紙飛行機の上で
くしゃみする
ひっかき傷のせいで
墜落す ....
内気な髪の毛を燃やす
心臓の底で
なめらかな顎の先に
惑星がある
両腕の付け根のドアを開く
傷ついた銃声
ビルの角の一点に光があつまる
ぼくの身体は痙攣してまるでお笑い種だ
霧のように漂う亡霊のような人たちが
ぼくを捕まえにくる
できそこないの死!と
叫びながら
おまえら ....
傘の下で笑う
あふれる殺意で
階段を流れて落ちる
雨に
気がふれる
ゆがんで見える
横断歩道の白線が
濡れた足元のしみの
曲線が
....
ていねいな言葉をかさねて
だれがぼくの心を知るだろう
ひからびたぼくの腕の中で
目を覚ました人が
夢を見るのはもういやだ
と言いました
さめたぼく ....
頭の中で泡がたまる
一匹の猫を虐待したくなるほどの頭痛
一匹の魚を手の中で殺したくなるほどの頭痛
ガラスケースに入った心臓
を破る
窓のわきに立った一人の
....
雨に濡れて光る電車の中の床が
消えそうになるほど
綺麗に見えた/
弾丸
車窓を撃ち破って
黒塗りの天使の額を
貫通する
後頭部くだけた
液体の ....
手首の傷 生き永らえた人類の証
滑り台を滑った後の靴に入った砂の数をかぞえて
もう自分に残された物は少ないと知る
顎から発達する上向きの旋律
ちぎれた雲からのぞく太陽
あれだっていつか消滅 ....
さっきからおれは気が狂ってる
生き抜くことしか考えつかない
コップの底に残ってる最後の水を
飲み干して
ベッドで眠る
カーテンを燃やし尽くす
握りしめた太陽を ....
ブランコの鎖が切れた
鏡のような水溜りに落ちて
空は割れた
足音が聞こえる
葉脈の裏側を
呼吸のしずくが這う
下敷きになった機械が
果 ....
毎日の時刻を時計から知る
象徴的な出来事は
何層ものモノクロとカラーフィルムでできている
片腕を通したままちぎれた
ジャケットの裾が吊るされている杭の落とした影
射殺 ....
ガソリンスタンドの光が
日曜日の朝の教会みたいに見えた
おれは神様なんか信じてないけど
仏頂面して
お気に入りの歌もなくて
交差点をすり抜ける
自 ....
押し黙る夜の堤防の下をおれは黙って歩き
明滅する観覧車の明かりを地面で確かめる
全部知ってる色だから
おれはとくに何も言わない
地面に食い込んだおれの影が
近 ....
ほのかなピンクの縁取りが似合うものを
とりあえずキボーと名づけて
ドアが閉まらなくなった冷蔵庫に保管する
陥没したテレビ画面からヒーローが
助けを乞うて手を伸ばしてい ....
バスルームで遂げた自殺の
記憶が
洗面所の流しっぱなしの 水道から
流れてくる
畳まれた膝の空気
見つめるガスコンロの炎と炎の間に
両眼を投げ入れ ....
手のひらで潰した花弁の名を
知らない
消えた指紋の一部と
渦を巻き
波打つ
消えた以外の指紋
彼方の太陽が
今日も近づいてきた
....
そこらにある緑色の影が
だんだん薄まっていく
悲しみに染まる十字架は
どこかで売っていた
夜更けに遠ざかるダンスの
ステップに翼が生える
ゆるいカーブ ....
堤防の途切れたところ
銀の自転車が一台
サドルの向こうには
丸石でできた人工海岸
波打際に座った二人
明かりを落とした観覧車
駐車場のオレン ....
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