雨上がりの
サッカースタジアムで
ボールを追いかける
夢遊病者
ゴール前に
ピンクの象がいて
ロングシュートが
決まらない
タンポポがゆれて
試合終了のホイッスル
パジャマ ....
明日さ、会社サボって
午前中から遊園地に行こうよ
おばけ屋敷で
朝ごはん食べてから
コーヒーカップの中で
午後まで昼寝して
メリーゴーランドの
馬を逃がして
観覧車に立てこもろう
....
僕が生まれた小さな町では
毎日が大停電の夜だった
プロレス中継がツーカウントで
中断してしまうことは
日常茶飯事だったし
髪が乾かぬうちに
ドライヤーの熱風が
消沈してしまうのを理由 ....
空にはしごが掛かっていた
消防車よりも
うんと長いはしごだ
足元には
きれいに綿布で包まれた
弁当箱が置いてある
きっと箸箱のように
明るい性格の奥さんが
毎朝持たせてくれるのだろ ....
片手に収まるていどの
小動物の脈拍に包まれながら
トライアングルを一度打ち鳴らし
凍て付いた冬の空気よりも鋭く
高純度な波形が痛覚を透過して行くと
いつのまにか僕はあなたの
やわらかい声帯 ....
恋人たちが
裸になる夜は
計算が合わない
数が音に
なってゆくから
建築物の息づかいも
聞こえてきたよ
スポンジみたいな
緻密なリズム
さびしさの背中に
スプーンを落として ....
テレビの音が消えた時間に
アイロンをかけている
母親のすがたを見るのが好きだった
折りたたんだ洋服を
きれいに積み上げてゆく
母はやさしくて
いろんな話を聞かせてくれた
母は成人式の ....
1 両手を前に差し出します。
2 人差指と親指でかぎかっこを作ります。
3 なるべく今のあなたに
素直な言葉を挿入します。
4 そのまま両手を中心に向かって近付け
長方形 ....
この世界では
声の大きい人が偉かった
悪声だろうと
美声だろうと
とにかくデカけりゃ良い
デカけりゃデカいほど
権力を持っていた
マイクを持てば
鬼に金棒ってもんで
スピーカーの ....
あなたが
折り鶴になった
折り紙セットの中に
たった一枚、封入された
金色を選んで
目を覚ますとあなたはすでに
きれいに折られていて
羽を広げてやると
テーブルの上で
くるく ....
君は週末になると
青い袋を提げて帰ってくる
シャワーを浴びて髪を乾かして
喉を鳴らしながら
何かを美味そうに飲み干すと
ふやけた足裏をぺたぺた言わせ
青い袋から取り出したのは
200 ....
街には雨が降り
明度と色合いの
均衡が崩れてゆく
すべてはモザイクがかり
街灯が路上で溺れている
色とりどりのパラソルが咲き
人はその中で足首を濡らす
少しずつ雨水を吸水してゆく
....
勤務地 地球
勤務曜日・時間 応相談
採用予定人数 一名
勤務期間 長期歓迎
待遇 交通費支給 社員登用あり 制服貸与
資格 未経験者 ....
あなたは教室で
いつも頬杖をついていた
窓から外の景色ばかりを眺め
それ以外はすべて
無関心のように
頬杖をつくあなたは
とても大人びて見えた
同い年ということが
信じられぬく ....
私は私という個人
私という集団
私という交差点の
私という雑踏
私の往来から
私を見つけ出そうと
私が手を伸ばせば
全ての私が邪魔をする
私の手は振り解かれる
やがて私の歩行 ....
あなたは
「&」という記号を
上手に書けない
あなたが「&」と何度書こうと
ただ紙上に首のひん曲った
醜いアヒルが出現し
不器用な水浴びと遊泳を始めるだけで
事物は結合も 強調も ....
平たい海
穏やか過ぎて
生きてることが
煩わしい
貨物船が
買ったばかりの
絵具を広げながら
弁当箱みたいに泳いでゆく
潮風のしょっぱさは
ゆで卵のようだ
茹ですぎたパスタ ....
思い出すだけでも赤面し
発狂してしまいそうになるような
過去の恥ずかしい記憶や
出来るならばあの日に戻り
もう一度やり直したいような
後悔に苛まれる記憶を
僕はウンコをしてるときにかぎって ....
私、瞼が無いから
眠れないんです
いつも夜は
虚空なのです
少女のころ
だったかしら
お花を摘んで
恋を占った
好き、嫌い、と
最後の一片
剥いだとき
私の瞼 ....
夜が僕の体の中に
あまりにもきれいな
罫線を引くもんだから
僕はついついキーボードを
叩いてしまう
天井から
季節はずれの雪みたいに
言葉が降ってきて
これもまたあまりにも
やさ ....
人と出会い
いずれ別れが訪れるのならば
少しでも多くの傷を
出会いと別れの間に残したい
驚きという銃傷
喜びという挫傷
悲しみという刺傷
憎しみという熱傷
もっと、深い傷と
....
瞬間は永遠。なんて
詐欺師のような言葉を
知ってしまったばかりに
僕は、日々の過ぎ去る風景の
夥しい原色を水で薄める
さみしい習慣病に
罹ってしまったのかもしれない
輝くばかりのもの ....
おめでとうございます。
永い道のりだったでしょう。大変ご苦労様でした。
この壮絶な死闘に見事、勝ち残ったあなた様には
新しい生命が授けられる権利を与えられました。
しかしまだそれが約束された訳 ....
駅から徒歩9分の帰り道を
僕はネクタイを弛めて歩く
商店街は今日もにぎやかで
電柱に括られたスピーカーから
童謡なんかが流れている
人が通りすがりに上を見た
僕もつられて空を見上げる
....
僕が机の上に
大きな地図を広げても
働き者の男たちは
こんなものただの古新聞じゃないか
と言ってバケツの水に漬けようとする
ほらここが
僕らの生まれ故郷だよ
そう指し示しても
男た ....
形あるものは消失し
形ないものだけが
取り残されたなら
宇宙はきっと
形ないものが
どうにか形になろうと
互いにぶつかり、削りあい
溶けだし、流れ
星々が生まれる前の
電子音 ....
閉館時間もとっくに十年過ぎて
ひとっこひとり見当たらない図書館
そこでは書物の重さも
なーんも知らない子どもが
本を積み上げ愉快に遊んでいる
言葉には危ないから近づいちゃ ....
お元気ですか?
過ごしやすい季節になってきましたね。
体の具合はいかがでしょうか。
僕はと言えば長年悩まされていた不眠症も改善に向かい
毎晩、ぐっすり眠れるようになりました。
僕は今、夢 ....
風が吹き
細い音を立てながら
僕の体が擦られる
鳥が大きく羽ばたく音
振り返ると
木葉のように舞い落ちる
一枚の羽
すでに鳥の姿はなく
もう空を優雅に
仰ぐことのない
一枚 ....
男は
働く
金を稼ぐために
男は
金を稼ぐ
遊ぶために
男は
遊ぶ
女を楽しませるために
男は
女を楽しませる
女を幸せにするために
男は
女を幸せにする
....
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