夜中にテレビを
消音にして見ていると
隣室から
パチッ。
という何かのスイッチの
音が聞こえた
5分後
バラエティ番組を映す
テレビ画面の上部に
速報がながれた
ひとり死ん ....
ランドセルを
つまらない教科書だけで
ぎゅうぎゅうにしちゃあ
イケナイよ
空の一粒と
海の一滴分の隙間に
遊びと闇を詰め込んで
毒とケーキを弁当箱へ
筆箱を開けば
尖った魔法 ....
電源 誕生
再生 生活
早送り 倦怠
一時停止 岐路
スロー 苦悩
巻戻し 懐古
停止 病身
録画 愛する人
電源 死
....
経験値が足りない
敵を倒せない
経験値が足りない
呪文を唱えられない
経験値が足りない
宝箱が開かない
経験値が足りない
海を渡れない
経験値が足りない
あなたを守れない
....
皆とサッカーをして遊んだ
ボールをまともに蹴ることなんて
高校の体育の授業以来のことだ
息をぜいぜい荒げながら
俺は必死に土の上を駈ける
全力疾走でボールを追う
だが日頃の運動不足 ....
ことばに
すくわれたかった
だから
ほんをひらいた
けれど
ほんのことばに
こころはなかった
ことばに
ころされたかった
そんなときも
ほんをひらいた
けれど
ほんのことば ....
逞しい声を持つあなたの
輪郭の確かな言葉
私のか細い声も存在も
綿毛の如く吹きとばし
私の頼りは土の温もりだけとなった
私に備わっていないものを
自然に身に付けているあなたを
私は心 ....
1 詩人の恋
詩人には愛する女性がいた
詩人は二回目のデートで
その美しい女性に告白をした
彼女の答えはこうだった
臭いセリフ吐かないで。
落胆している詩人はその ....
何かを諦め
何かを得たと勘違いし
満足している
大人たち
夢見がちで
未熟なまま社会に飛び込み
大人ごっこに興じる
大人づらした
子どもたち
小さな大人と
大きな子どもが
....
ここは美しい星、地球。日本‐東京に在る、とあるマンションの一室。間断なく聞こえるシャワーの音。しかしガラス窓が曇ってはいるがバスルーム内に人影はなく、ただ虚しくタイルへ温水が激しく叩きつけられている ....
まず盗んだのは
鎖骨だった
あなたは、まだ知らない
わたしに盗癖と
収集癖があることを
愛になんて興味はないの
わたしの目的は
あなたの、骨
わたしはあなたの骨を
そっと ....
僕は素人
死ぬまで素人
やる事はただひとつ
楽しむ
それだけ
批評なんてされない
とりわけ規制もない
そもそもルールを知らない
素人
格好から入ればいい
真似から入ってもい ....
君はその銀色のハサミで
何もかも容赦なく
切り抜いてしまう
また空がひとつ足りないと
カモメが嘆く
君のスカートに
貼りつけられた一片の空
今日も次々と
その鋭く冷たいハサミで ....
砂漠の真ん中で
ラクダが一頭
器用に足を折り曲げ
佇んでいる
背中には
大きな荷物と
大きなこぶ
そしてその谷間には
エジプト人の死体
ラクダは悩んでいる
自由を持て余し
....
ただ僕ひとりの身を
猛獣と寒い夜から
守るためだけに
僕は僕の命を
燃やし尽くしてしまった
でもこれから芽吹く
僕の命は君のために
火を放とう
湿気た僕の命じゃ
小気味良い音 ....
唾液の海に日が沈み
骨が口笛を吹く
また今夜も身体の音楽が
震える後肢で
下手にミュートされ
味覚の恋人は
錆びた鉄棒に愛されている
電車が駅に止まると
外国人の男女が乗車した
二人の素振りを見るからに
おそらく恋人同士だろう
二人は母国語で仲良く
楽しそうに会話をしている
僕には何を話しているかなんて
さっぱり解 ....
世界の殆どは
僕の知らないこと
世界の殆どは
僕には理解不可能なこと
だけど
世界の全てを知る必要も
全てを理解する必要もないんだ
世界のほんのひとつまみさえ ....
深夜、道路に沿い
一定の間隔を空け
点在している電柱
備え付けられた電灯は
足下を夜毎、照らし続けている
その灯りは何を照らしているわけでもなく
何を明るみに晒しているわけでもなく
....
僕と踊りませんか?
産まれたての死人が言った
もう一度、聞き直そうとしたが
既に腐り始めていたので
棒でつついてそれきりにした
でも本当はすごく嬉しかった
素敵な言葉だなと思った
だ ....
僕は宇宙を持っている
体の中に宇宙を秘めている
其処には地球があり
空があり 大地が広がっている
季節が巡り
花が咲いては散る
風が吹いては止み
波が荒れては穏やかになる
川が ....
僕には血が流れている
妻を残して死んだ人の血が
憎しみを腹に据えたまま死んだ人の血が
消化できない思いを残したまま
死んでいった数千、数万人の血が
マンホールから洩れてくる
地下街の音 ....
もしも言葉に
羽が付いていたら
君に届けた言葉の羽を
ハサミでチョッキン。
そして
君の一番太い枝に
縄でグルグル括っちまおう。
高層ビルから
突き落とされたようなドラムで
僕の心臓を叩きつけてくれ
通り魔にグサリと
殺られたみたいなギターで
僕の鼓膜をつんざいてくれ
教室で散弾銃を
乱射したような言葉で
....
真っ白になりたいから
ゴシゴシゴシゴシ
汚いものを洗い流した
真っ白になりたいから
ゲロゲロゲロゲロ
汚いものを吐き出した
真っ白になりたいから
プースカプースカ
汚いものを放 ....
僕は椅子に腰かけ
四階の窓から
町の景色を見下ろしていた
窓枠の中では人や車が
あらゆる方角へ規則通りに行き来する
木々の枝葉は透明な風に揺られ
ビルは巨大な存在感で立ち尽くしている
....
どこにあるの?
あっちらへん。
どっちらへん?
あっち。
どっち?
こっち。
そっち?
こっち。
どこ?
あそこ。
どこ?
そこ。
ここ?
ここ。
....
与えられても与えられても
子は愛情に飢えている
与えても与えても
母親の愛情は湧き出るもの
僕が小さかった頃
全ての愛情を飲み干す事は出来ませんでした
その殆どを床に捨てていました
....
家族を作ることは
新しい歴史を創ること
新しい部族の
新しい人類史が始まる
僕らはスニーカーを履いた原始人
訳もわからないまま抱き合った
傷は柔軟な肌触りになり
錆付いた蝶々は
散 ....
瑞々しい裸体を
武装した少女
その眼差しは
凛々しく 強か
おどけた拍子に
合わせて踊り
毬のように
飛んだり跳ねたり
そして猫のように
慎ましく
笑う
墨書 ....
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