とっておきのチョコレートをつまんでも
アロマキャンドルの埃を払って火をつけてみても
アイスクリームみたいなコーヒーを飲みに行っても
花なんか買ってきたりしても 却って
気が晴れないときって ....
好きな色の花を好きなだけ集めて花壇を埋め尽くすと
使わなかった色が急に気にかかってくる
流行なんてそんなもの
好きな色と思っていたものは
そのとき売り場で売られていた流行で
そのときの欠落と ....
どんてん曇天
ときどき雨がぱらついて
深夜の暗さに似て
出かけなければという強迫観念からも赦されて
こんな日は
ひとり自分をかきまわす
昨日の君の笑顔
メールの返事もよこさなかっ ....
午前2時
乙な時間
深々と暗闇に腰かけ
背もたれから闇の奥へと沈み込んでいく
詩と視とシーッとCと死の 詩の時間
君は誰かが仕組んだゲームの中
右へ左へ上へ下へ
何かを見つけ ....
私のはピンクだったらしい
私が生まれたとき口に含んでいた石は
ピンクだったらしい
私の石を見て
大人たちは笑ったのだそうだ
女の子が
女の子らしく
ピンク色の石をくわえてきたというの ....
新井さんちの広い庭で
のびのびと広げた枝から
ぼたぼた落ちる柿
青いときも
赤いときも
ぼたぼたぼたぼた
旅の恥は柿捨て
ぴちぴちしてたからって
得したことなんか何も無かった
....
変わり果てたと言うけれど
仰向けのまま
目を閉じたそれは
はて
こんなにも鼻のてっぺんだけがかつての位置を保って
気高く見えるのは
胸が苦しいというよりも
ああ、この鼻の先から
もうあ ....
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