側頭部に
ふたつの穴が
バラのはなびらのようにあり
話しかけると
何が愉快なのか
痙攣する
掌に百円玉を握らせる
揺れる液体が
入ってきた栄養を
音もなく溶かしていく
その ....
ひとりにしてください
綺麗にカーテンを閉めた
皺ひとつ残さず閉じこもった途端
カンバスに降り注いでくる
ハッキリした
蛍光色の
わたし
なんて伝えやすい
ルビの振られた感情でし ....
しあわせ
ひとりひとりが
みんなでいっしょ
声は要らない
心地よい融合感
向かい合った頬の
熱く桃色に発光する
その点滅を伝える
ひとまわりの回路が
黒々とした睫から始まる
....
プランタで育てていた
紫と黄色のパンジー
久しぶりに目を向けたら
ぜんぶ乾涸びてた
さっき気が付いたの
可哀相な子
綺麗になった時間帯が
私の荒みきった日に
ちょうど重なったから
....
裏路地で
出会ったのは
脚を止めたからだ
彼の躰
見つめたら
急に止まったからだ
濁った空気
曇り空みたい
彼が灰色だからだ
その身体
彼が自分で
愛さないからだ
何 ....
海面の高さ及び海水温度の上昇により
オホーツク海を泳ぎまわる熱帯魚の姿が
沿岸部で相次いで確認されました
皆さん地理の教科書を開いてください
訂正があります
亜熱帯の部分を熱帯と同じ色に ....
淡灰色の木綿
胸元に縫われた
鉤針編みの
ほんの些細な花を
両肘の下で袖をとめる
小さなボタンを
白いタイツを履いた
二つのひざに触る
生成色のピコレースを
顎の下か ....
いつのことだったか
夜になると冷え込んでくるような
少しさびしい季節の
もっとさびしい時間
黒いドレスを着こんで
雛鳥のように歩いていた
白い脚のふくよかな
可愛らしいお人形さんに
軽 ....
魔法瓶の中
よく晴れた午後
温かいけど
紅茶色の空は
しだいに
濃密な
気圧の谷
ラヂオ予報から
傘を求める声
ややあって
息苦しくなる
喉が詰まりそう
見上げれば
腐っ ....
小鳥のハイネ
乳白色のあたまと
珊瑚色の瞳を持つ
ふっくら可愛い小鳥さん
とある乾いた冬の朝
お空に響いた破裂音が
両方の翼を持ち去った
ハイネは野原に降りてきて
ふっくら可愛い
う ....
蜂蜜ミルク
いつもどおり
布団に入ってから
胸の痛みを自覚した
翌朝のレントゲン
小さな亀裂は
ドクタには診えない
僕の肋骨の
悲鳴
必要以上に
生きるのが好き
擦り切れそう ....
点滅、点滅。
呼吸が止まっても
慌てなくて良い
大丈夫だから
背中を丸めて
次に膝を抱っこ
そうすれば
温めておきたいもの
冷たくせずに
すむんだよ
膝とおでこをくっ ....
君の眼が
風に合わせて揺れる
入道雲と一緒に膨らむ
夕立ちまで溜めておくの
たぶん、相当つらい
その濡れた眼を
見ていられないから
僕の視線は君を通り越す
背後に広がった空 ....
眼を閉じた
ボクの胸に
其れはポツリと灯る
肋骨の梯子ノボレ
海に還るものがたり
君の優しい相槌に
あやされて動いてた
心臓が在る
目蓋に澱む涙
引いては満ちる
潮の ....
幼い子供に生えた
二本の白い腕が
寂しくなって騒ぎ出す
持てるだけの空洞が
全部そこに集まるから
両方の肩の関節が
どんどん膨れ上がる
肘を伸ばす
突き出た骨が笛を吹く
掌をひら ....
ひとつ
ヒトつ
組み上げては
崩れていく
それを止められずに
四角い箱の中で
ずっと
ボクの材料を捜していた
現れたのは
異構造のキミ
欲しいものが違う
もうヒトり
何処 ....
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