咳が止まらない
咳をするたびに
砂を吐く
新型のインフルエンザだという

汗ばんだ 熱を孕む額が
妙にかさつく
少しずつ
崩れてきているのだろうか

それが現れたとき
随分と騒が ....
海月が波に流されて浜辺へ打ち寄せられた
今年も何かが終わってゆく
めぐりめぐる喪失の流れ

ぶよぶよとした透明な塊は
逢瀬と誕生の名残り

てのひらに白い貝殻をのせ
息吹の痕跡を確かめ ....
僕は薬がないと正気が保てない
いわゆる非定型のメジャートランキライザーを
飲み続けている

ある日 声が聴こえたんだ
皆、死んだよ と

僕にはわからなかった
生きているじゃないか み ....
 いつの間にか捨てられていた 僕の渡したピアス

 何の予告もなく
   前触れもなく
 いつから途切れたのか 君の送信が

 
 何度 受信を選択しても

   新着なし   と表 ....
 意味不明なことをわめき続けることに疲れた



幼い頃、ぐずっていると「言わんとわからんがい」と言われ
言わなくても分かる関係に憧れたけど
やっぱり黙っていては何も伝わらないことに失望し ....
累々とした孤独に石を投げる
 
 カラン 

と音を立てて、転がり落ちたのは

 いつかの嘆き

降り積もる塵芥に 深き静寂の痕跡を読み取る

 動かなくなった時計

指し示し ....
もう何がリアルで何がフィクションか
わからないくらい
嘘をついてきた

嘘で満たしたプールの中に泳ぐ魚たち
本当のことを言うと誰にも相手にされないから
作り笑いを浮かべて 話を作るのがうま ....
真夜中に目が覚めて
お腹が減ってきたのだが
2日前から朝バナナダイエットを始めたから
食べるわけには行かない

とりあえず真夜中とはいえ
今が朝だろう

バナナで我慢しなくちゃ

 ....
    

 草叢に横たわっていると、朝の草露がわたしの頬に滴り落ち、がらんどうの身体は血も通ってないのにどくんどくんと脈を打っている。
「そんなところにいては寒いだろう」
と父さんがわたしを ....
真っ白な空白を
何かしらで埋めていくのは
それはそれで楽しいが
少し勿体ない気もする

雪の日の最初の一歩のようなものだよね

と微笑む君のキャンバスに
僕が描いていいものか
少し悩 ....
匂い/におい/おもいだす
におい/乾いた/照りつける
風のない/ひりひりとした/蒸発してゆく
粒子/記憶/おもいだす
海馬/カラスアゲハ/舞う
ひざし/におう/生/性
生まれた/おもいだす ....
iPodから流れる
リロンのさわやか会社員を聴きながら
雨雲の去った青空を見上げてると
心も伸びやかに 
どこまでも泳いでいける気がする

いつか親友と走った道
うぶだけど どこかませて ....
猥雑な人の群がりを かき分けて
もう黄昏も過ぎ 日の落ちた道を
母と歩き続ける


露店の賑わいに 目を奪われながら
境内を目指し 参道を歩き続ける


子供の頃は 参ることよりも
 ....
夏の光を受けて 
蜘蛛の巣が
ガラス細工のようにきらめき
萎れた蜘蛛が
捕らわれた羽虫のように
ぶらさがっていた

コントレックスで
乾いた喉を潤し
灼けるような暑気に身をまかせ
 ....
輪ゴムを弄んでいたら
ぱちんッと弾けて切れた

がまんして がまんして
耐え切れなくなって
もうやめたッ

自分だけの ひとりよがりを抱え込んで
苛むのは やめにした

閉じていた ....
今日も月が出ていない

夢の中で迷わないように
照らしてくれる
君がいない

ぼくの願いをいつも黙って聞いてくれる
無口な君だけど
そっとあの子に伝えてくれる
ほんとは気のいいやつな ....
七夕なのに 今日は曇り この部屋の光の具合もあるだろうが 其の皮は重く

赤みは幾分黒ずんでいるように見受けられる

産毛のようなものが軸の窪みのあたりに白くうっすらと生えている

以上からしても 其の林檎は若々 ....
視点の定まらない太陽が見ている

青い海に沈んでいく

穴という穴から泡が立ち どんどん息が苦しくなる

助けて 手で水を掻きむしる 苦しい

苦しいよ 声にならない嗚咽が泡となって消 ....
すれ違う時 ハッとしてしまう
もうあなたが あらわれることはないのに
ほんの少し 面影が似てるだけで
赤の他人を 追いかけてしまう

今でも 泣きたくなる
夏は命の賛歌を歌っているのに
 ....
僕は僕の皮を剥いてゆく

そろり そろり 

痛くしないように ゆっくりと

不安 欺瞞 恍惚

嘘に包まれた僕を ゆっくりと剥いでゆく

随分痩せっぽちだったのに 今じゃメタボリ ....
朝、晴れた日に空き缶を洗っていると
庭に群生する雑草の命の横溢に圧倒され
水遊びをしながら裸で駆け巡る稚児たちの嬌声に
私の心も浮き立ち
自らの空白を忘れてしまう

先程まで生きていた彼ら ....
 もうやけっぱちだった。仕事も棒に振り、ここで金を借りることができなければ娑婆を捨てるか首をくくるしかない。ほんの少し、ほんの少しの種銭さえあれば取り戻せる、きっと。

 仁王の睨む山門をくぐると ....
梅雨の中休み
夏に急かされることもなく
冷房の効いた部屋で
午睡に委ねようかと欠伸をする

いつもよりほんの数ニュートンだけ重力が大きくて
明日また雨雲が訪れたなら
雨粒の重みで紫陽花の ....
僕はためらっている
この線を踏み越えれば
新たな自由と新しいルールが
一塊の石礫ほどの重みとともに
待っている

逃走の線からも逃れ
逸脱を繰り返し
棄てられるものは全て棄て

も ....
項垂れる人
黙々と続く葬列

いくつもの首が転がり
腐肉を烏がつつき
蛆がわき 蠅が生まれた

悲しみはなく
残された者は墓を掘る

坊主の読経が独り彷徨う
手向けられた花は枯れ ....
冬だからと言いわけして
ぬるい布団に潜っている
風が冷たいから外に出る気も何もしない
小さい頃から怠けていたから
今になっても億劫で
稼ぎも無いのに働かない

インスタントで食事を済まし ....
今でもあなたのことを夢に見る
そして暗澹たる気持ちになる
まだ僕がうぶで
人の気持ちに応えられなかった頃のことだから
あの頃に帰れないのなら
残してきたものを全て捨て去りたいのに
あの頃を ....
アスファルトから芽吹いた花を
あなたにそっと教えてあげる

春の柔らかな日向の内で
摘み取らないで包んであげる

厳しい冬を耐え抜いたから
思う存分咲くがいい
within(209)
タイトル カテゴリ Point 日付
新型自由詩2*09/8/21 12:53
いつか子宮に還る日に自由詩24*09/8/17 15:41
きこえる自由詩4*09/8/13 21:22
残された部屋のなか自由詩8*09/8/12 11:39
積み上げられた石自由詩9*09/8/7 19:16
澱(おり)自由詩5*09/8/6 5:43
フィクションに泳ぐ魚たち自由詩7*09/8/4 17:26
真夜中のおかわり自由詩8*09/7/31 3:08
幻人形散文(批評 ...309/7/27 14:13
漂白自由詩809/7/24 17:34
匂いの記憶自由詩409/7/23 18:54
13歳をレヴュー自由詩13*09/7/21 19:23
夏祭り自由詩10*09/7/18 21:54
初夏のコントレックス自由詩9*09/7/14 18:14
もう戻れない自由詩5*09/7/12 17:31
今日も月が出ていない自由詩10*09/7/9 20:33
行方知れず自由詩6*09/7/7 18:13
真空林檎についての考察自由詩6*09/6/30 19:19
自由詩2*09/6/28 11:06
面影自由詩4+*09/6/26 18:45
存在論自由詩609/6/25 7:58
夏の陰自由詩7*09/6/24 11:57
地蔵菩薩散文(批評 ...4*09/6/23 5:33
前をゆく人自由詩409/6/19 15:06
亡命前夜自由詩309/6/17 20:28
慰霊自由詩2+*09/3/30 23:49
薄明自由詩608/11/30 16:22
春の日の欠片自由詩108/11/27 21:25
暖かな自由詩2+*08/11/26 14:25

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