夜明けのダイナーにはウエイトレスひとり
明るくならない大きな窓に消えきれない街灯が映り
昨日の夜の残像みたいに向かい合うカラダの
そぞろなタマシイふたつと
それぞれの眠れない夜を過ごしてきたお ....
 さよなら。ひとりぼっちで家にいたら、クーラーが熱い風を噴出して、私はなにもかもいやんなった。さよなら。町中が重い海風で湿っている夜になにかを考えるのはよそう。セイレーン、私は叫んだりしない。もう、二 .... ガレージに詰め込んだ昨日を
最果てのリサイクルセンターへ搬入する
オーライオーライ停止線ぎりぎりまで
車をバックさせて
昨日は永遠に昨日じゃないことを知るんだ
ハッチバックあけて
途方もな ....
月が話しかけてきそうな夜に君と森に行った
長袖のセーターの編み目から晩秋を感じ
ことさら淋しく侘しく森の音が響く夜
足元で君の足音どんなにか頼もしい
私が迷わなくてもいいように
君は歩く
 ....
鋼管通りで見上げた空は
なんとなく青くて
煙突を何本も飲み込んでいた
あんた女みたいだね
それに引き換え
あたしは日に焼けた肌と
にじんだ人生と
メンソールじゃない煙草
拾っていきやが ....
シナモンを入れすぎたカプチーノに顔をしかめ
煙草に火をつける
高層ビルディングの足元には
ほんとうに底みたいなデッキがあって
こんな午前中を過ごすにはちょうどよい
眺めているものとわたしの間 ....
お台所で
平目は五枚に下ろすのよって
ちょっと得意げにしているわたしも
豆鯵は指でおろすの
ほら、こういうふうにって
えらのところに親指をねじ込んで
躊躇なく{ルビ腸=はらわた}をひねくり ....
昭和44年3月、神田駿河台の山の上ホテルの一室で父とふたり。曇った窓ガラスを掌でふくと、夕闇の学生街に純白の椿が空から無数に落ちてきた。近所の氷室さんちのおじいさんが丹精込めた庭に咲く八重の、あの白い .... 「ロビン・グッドフェローを探せ」


悪を憎む男
ロビン・グッドフェローを探せ
晩秋の森の奥深くに隠れている
弓の使い手を探せ
見えない未来とさかさまな世の中
逆転の力学を背負って迷っ ....
山崎くんは六年生
いつもサッカーボール蹴っていた
放課後鉄棒見ないふり
スカート回りで前回りくるりと回ると
山崎くんもくるり

仰げば尊し三色菫
手渡せず見送った

山崎くんはセンタ ....
子供の頃からその駅前には大きな百貨店があって、今は再開発かなんかで、まわりの高いビルに埋もれるようになってしまったけれど、私にとってその百貨店は世界で一番すばらしいところだった。百貨店の正面玄関のすぐ .... 言ってはいけないことに
なりつつある言葉があって
もしくは
彼らには意味を理解できない言葉であると
言いなおしたほうがいいかもしれないが
その言葉について
僕は、毎日、考えている、と
 ....
 昔、横堀さんというおじいさんとお話しするのが好きだった。横堀さんは南極にいったことがあるみたいで、オーロラの話とか、地吹雪の話とか、それから私をお膝に乗っけて「娘さん よく聞けよ 山男にゃ 惚れるな .... あたしのストローは
ほろ苦いジュースで
あたしを苦しめたり
悦ばせたりする
でも大好きだから
あたしはいっつも
ストローお口に含んで
運ばれてくる液体は
全部のみほしちゃう
たまに、 ....
わたしのキャンディーボックスは閉鎖的な雰囲気
零れ落ちるわたしの手のひらにはフェイク
あくまでアップルフレイバー
でも一粒舐めると甘い夢を遡上する
わたしの原始的回顧
エヴァは、何故、林檎を ....
台風が行き過ぎた
西南西へ
6号の進路とは逆に
青空は底なしのように突き抜けて
まっすぐ入道雲へ
ラジオからエルトン・ジョン
切ないじゃないか
そんなに簡単に手渡さないで
ハンドルを握 ....
梅雨が明ける
青空の隙間から熱い風が吹く
素足を焼けた砂に投げ出せば
背中や肩や胸元に焼きついた記憶と
砂塵とともに行方を知らせない記憶たちが
行き来する
だから
こうやってここで
生 ....
その美意識の中では美しいとされているのか
目のない魚たちは見たことのない光など求めない
もしかしたら、その静寂は、ほんのひとかけらで
そのかけらさえ理解できない未来は過去になっていく
このまま ....
高校二年生の冬、谷川岳で幼馴染が遭難した。きっと、眠っちゃいけないと眠っちゃいけないと思っていただろう。その日の朝刊で捜索が打ち切られたことを知った。

初恋の人は学校を辞めて谷川岳に彼を探しに行 ....
わたしの身体は三日月の野原です
このなだらかなカーブは
どのみち受け入れるための
情報を得る手段であり
触角のようなものです
屹立と振動が描く
幾重にも連なる波状のはしっこを
数千億もあ ....
「10月 」


少女だったころ
それは青空と同等で
わたしは生きる喜びを持っていた
埋もれていたものを
そのたび拾いあげても
掌から滑り落ちていく
昼間の悪魔は友人といい
夜中の ....
みんなヤサシイ
わたしにヤサシイ
タイリョウノオクスリ飲む
飲まれるタイリョウノオクスリ
サヨナラ今日こそサヨナラ
元気が出るとリストカット
ご飯を食べれば
オネーサン指とオニーサン指が ....
少女の頃の恋は夏とともに
終わってしまうものなの
その恋は
秋は嫌いなんだよって言った
彼の夏休みの一部であって
砂浜の足跡みたいなもん
それでも馬鹿みたいに
求めあった身体には
きっ ....
ねぇ、知らないうちに

ねぇ、正確なリズム

ねぇ、心臓も

ねぇ、わたしのからだ
海みたい
潮の満ち引き
お月様と一緒
28日周期で
満月のわたしは血だらけ
新月のわたしは眠 ....
昔の知り合いから電話があって
ちょっと帰ってこないかって
ナンデって聞いたら
亀ちゃんが死んだよって

久しぶりに海に下りた
なんにでもなれるような気がして
なんにもなれないジレンマ感じ ....
僕は飲んだくれて
恵比寿の裏通りで、げろはいてた
何もかも上手くいってないのに
何もかも上手くいってるように
取り繕って
でも、今夜は酒を飲みすぎて
げろはいている僕
そんな僕をじっと見 ....
「あとにのこされたもの」

雲の隙間から
羽毛がこぼれおち
風にのる
海峡を渡り
山脈を越え
遥かかなたの砂漠まで
幌馬車が届けられない
あの砂漠まで

「月は地球の衛星である前 ....
ひとりでいるということは
どういうことなのかしら
慣れていたはずなのに
いったんふたりを知ってしまうと
すごく怖いことのような気がして
若葉さす あのやまなみが
ひときわ美しいから
ごま ....
私が小さな頃、ママが作ってくれたキャベツいっぱいのチキンヌードゥルスウプ。それは簡単なインスタントスウプでパッケージには英語でテイストグットって書いてあった。もう、ママもそのインスタントスウプも見当 .... {ルビ西御門=にしみかど}のフレンチレストランで女友達と、春野菜のソテー、小鳩のロースト、ワインもまぁまぁ、早めに戦線離脱したわたしはデザートのメニュー。ルバーブのパイ。そういえば、今朝、谷川俊太郎詩 ....
芳賀梨花子(30)
タイトル カテゴリ Point 日付
Burn.自由詩1*09/6/4 12:25
雨季自由詩4*09/5/31 22:27
Nothing's gonna change my worl ...自由詩4*09/5/30 22:23
愛犬自由詩1*09/5/29 15:34
Dutchman's pipe cactus.自由詩3*09/5/25 22:15
Rainy Monday 9:30am自由詩0*09/5/24 21:15
さかな自由詩8*07/4/6 11:11
美しい朝についての記述自由詩5*07/4/4 12:29
Nobember Tales.自由詩9*07/1/21 10:57
山崎くん自由詩4*07/1/19 13:44
R自由詩3*07/1/11 10:27
アレン・ギンズバークとクリスマス、そして僕のこと自由詩3*06/12/31 14:43
昔、横堀さんというおじいさんと自由詩7*06/12/30 15:48
ストロー自由詩5*06/9/2 1:41
根源的な私的リビドーとアップルフレイバーのキャンディー自由詩8*05/9/13 22:23
午後、西南西へ自由詩6*05/9/8 14:27
凪の素描自由詩10*05/9/1 23:31
深海魚自由詩8*05/9/1 0:09
早春歌自由詩11*05/8/30 22:54
女体についてのオマージュ自由詩19*05/8/29 21:53
小詩篇 「砂浜」自由詩10*05/8/27 23:19
感謝自由詩9*05/8/27 0:07
鵠沼橋自由詩4*05/8/26 10:11
体内ファシズムとレジスタントなわたし自由詩6*05/8/24 23:52
ウミガメ自由詩13*05/8/24 0:14
子猫のシビット自由詩4+*05/8/23 9:00
Saudade.自由詩14*05/8/22 1:14
小鳥自由詩8*03/5/7 23:59
Is it good or not?自由詩10*03/4/11 10:16
Die Forelle D550 Etwas Lebhaft自由詩4*03/4/11 2:44

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