九月の風に脅かされ
腐った林檎のような下顎は
コロンと落ちる

母体はもはや語る術もなく
問いかけ半ばの下顎は
無言の{ルビ骸=むくろ}さながら積み重なり

悲嘆に暮れる人々はそれでも ....
スパンコールひとつ
頬につけたきみが好きでした

スパンコールふたつ
スパンコールみっつ―――――

やがてきみは見えなくなって
スパンコールになりました

スパンコールひとつ
頬 ....
舞台の緞帳はいよいよあがり

しかしその舞台のうちで更なる幕は開かれる

改革は合わせ鏡

今や幾重にも続く世紀の幕開けに

観客は右に左に首をかしげ

出演者達は台本を忘れ

 ....
私の中の音楽達は皆
荷を詰め込んだトランクをもって出ていきました
だから今は
産まれたてのように静かです

ただ目に映る春をのぞいては
苺味の苺
琥珀色の琥珀
とても人間らしい人
そんなものはどれもありません

それでは出口はどちらに
そんなものはありませんよ
だって入り口さえなかったでしょう、此処には
白以外の精神で安定した毎日を

森は隠れるのに適している

しかし七人の人殺しが現れて

かつての白雪姫が息を吹き返したのだと伝えると

木々の色は頼りなく薄れ

ああ、私はまた別 ....
あらゆる情念は鳥のように去りゆき、今やもう海の彼方
きみの温めた卵はもう何処にも見当たらない
いづれ粉砕されるのを知りながら体温を分かち
最後まで希望と名付けることはなかった
そんなきみの熱情 ....
先天的な性質
どんなに抗おうとも
それはシーツの上での舞踏に過ぎない
反響する命の別名を半分だけ受け継ぎ
残りの半分は空気との親和にくれてやる

後天的な性質
魂である影を捨ててまで欲す ....
眩く目を瞑ってしまうほど金色のメッキ
林檎の赤を恐れ隠そうとするファントム
時の雨は降り剥がれゆくあなた達よ
今度は水を金にして流れゆく行進を

既にあるものの存在を誰が否定できよう
目覚 ....
金属を叩く音が
全部で三つ

離れすぎず
また、求めすぎない間
充分で理想的な関係

重要なのは音色
振動する空気も
重すぎないのがいい

単純な規則性と
各々は直に影響し合う ....
君は落ちながら音もなく
決して誰も音楽などではないのだと
落ちてゆく場所が君の望んだ場所なのか
光はひかりであってそれ以外の何ものでもない
誰かの願いをその身に受けながら否定も肯定もしない
 ....
お望みとあれば
私の鏡を
君にあげよう
ただしお忘れなく
君が手にした時から
それはもう
共有はできない
君のものなのだから
何故なら
映るものが
同じだとは
限らないのだよ
 ....
背中に羽がついていますよ

あなた見えないのですね

忙しすぎて 首が回らないみたい


熱心に遠眼鏡を 見てらっしゃるのね

天使が見える?

それは地球を一周して あなた自身 ....
別に空が切り取られた訳じゃない
むしろ高層ビルの群れは空を望んだ形だろう
人が地上に建設した願望の手
その指先に立って手を伸ばしてもまだ届かない
屋上でも地上でも
見上げることしかできない
 ....
パンと珈琲と絶妙な目玉焼き―
それだけで

眼差しと沈黙と即席の悪意―
それだけで

唇と両腕とベッドの上で呼ぶ名前―
それだけで

朝と昼と自分だけの夜―
それだけで、十分だなん ....
ひとつ花のアンビバレンス

嫉妬を誘うアマリリス

物憂気なアピアランス

砂漠のようなアンビエンス

夜に潜むアンタレス

群れる羊はアクイエス

耳打ちしたのはアスタロス
 ....
やたらと動きのよい男は
チーフを取り出して涙を拭う
そして顔を傾けて囁く
女は台本通りに今宵二度目の愛を誓い
嗚呼、悲劇などないのだ、と


そして舞台袖の暗がりでは
黒髪を撫でつけた ....
君の揺らすスカートの長さが
ゆったりとして安心する
二年前もその前も同じように揺らす
服の趣味の変わらない君が
錯覚させる、僕をひとりの頃に
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ

平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ

平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ

平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ ....
{引用=先生、いかがお過ごしでしょうか。
こうして便りを書くのも久しぶりですね。
思えば立ち止まって振り返る度に、
僕はこうして先生へ手紙を書いている気がします。}


あの頃、先生がいな ....
笑うことが苦手な君は()の中で笑っている

掴んだ言葉や色を

悲しみの下地に上塗りする

黒の透けた白い肌が

本当の君から目を反らす

人々は摘んで食べては

口々においし ....
{引用=最後に}


本当は星なんて見えていなかった
ただ、そう思うことで
楽しんでいたかったんだ

そう

どんなに空虚な嘘でも
信じることでそれが扉になった

でも開くには ....
なんとも言えず素敵なお嬢さん方

夜が忘れていった
いたいけな娘逹

身分違いの憐れな男になど
目もくれないだろう
、と思っていたのに


思いがけず

目が

あってしま ....
今ならもう、誰もみてないからさ

安心して咲いてくれ

みんな毎年見てるはずなのに
忘れちまうんだとよ、お前らのこと

俺もお前だけは
忘れないよう覚えておくからさ

だから、また ....
適当な星をみっつ選んで
「あれが冬の大三角形だよ」

今では星の名前なんて忘れてしまった。
膨大な量の勝手な名前をつけて神様きどり。
適当に繋げることで好き勝手な形を描いている。
小さい頃 ....
それは黄昏れ時の一室                 夕、だった
蛇と蛇は見留め合い                  からまった
それは黄昏れ時の一室                 ふたり の ....
君がすっかり冷ましてくれた空は
ベルベットのように濃紺
余映がまだ少しオレンジがかっているけど
その独りよがりだった熱も
直に消えてしまうでしょう

どうかしていた、
どうかしていたんだ ....
肌を見せることへの羞恥心の欠乏だなんて

そんなに嘆くことはないでしょう

知恵の実の呪いが薄れてきたのなら

わたし達、楽園へ戻れるのでしょう?
待合い室で座っていると隣に「過去」が座っていた

反対側を見るとそこでは「未来」が新聞を読んでいた

「過去」はそわそわと落ち着かず何度も鏡を見ている

「未来」は老眼鏡をずらして ....
あなた、愛してやまない
あなた、そんなあなたに欠けているもの
どんなにあかい林檎でも
その甘さをもってしなければ
結末のないお話

あなた、愛してやまない
あなた、そんなあなたに欠けてい ....
瑠王(221)
タイトル カテゴリ Point 日付
さながら自由詩1*10/5/24 23:22
スパンコール自由詩2*10/5/21 14:10
緞帳はあがり自由詩4*10/5/21 13:01
代謝自由詩7*10/5/17 2:15
仮想現実自由詩2*10/5/16 0:36
白雪姫自由詩3*10/5/12 11:43
ほとり自由詩8*10/5/10 17:34
コーラルの森自由詩9*10/5/7 0:10
剥がれて尚も行進する金色の自由詩4*10/4/30 13:58
三つの音自由詩10*10/4/23 0:04
as you fall自由詩3*10/4/22 14:47
価値自由詩4*10/4/21 1:06
shall have wings.自由詩6*10/4/20 17:07
東京自由詩7*10/4/20 16:13
贅沢自由詩7*10/4/19 16:05
明日自由詩4*10/4/16 16:58
観劇自由詩9*10/4/14 23:51
結婚記念日自由詩5*10/4/14 23:01
群れから外れる反復自由詩6*10/4/11 13:34
こころについての手紙散文(批評 ...4+*10/4/8 16:00
いつも()の中で笑っている君が自由詩8*10/4/5 11:11
星の消えゆく朝より (4携帯写真+ ...4*10/4/3 6:40
星の消えゆく朝より (3携帯写真+ ...0*10/4/3 6:22
星の消えゆく朝より (2携帯写真+ ...1*10/4/3 6:09
星の消えゆく朝より自由詩2*10/4/3 5:29
金色のドアノブ、誰かがワルツを自由詩14*10/4/1 14:56
君がすっかり冷ましてくれた空は自由詩9*10/3/31 17:06
還楽園自由詩1*10/3/31 13:24
退屈自由詩8*10/3/29 17:03
未完成な林檎自由詩4*10/3/29 15:55

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 
0.32sec.