やわらかすぎる窓辺で
まだ未来を知らない
不安を覚えるよりも
呼吸するのに忙しいと

しなやかで軽い繊維
気持ちばかりが走る夜
時間と季節を一足飛び
白いスニーカーに風

戻れるな ....
青黒いかなしみは
ようよう光の中で
薄かわをはぐ様に
透明度を増しており

痛む足を庇いながら
長い螺旋階段を登る
週末にはなめらかな
音楽が不在らしい

緊密に並べられた
物事 ....
さむいひなたで
パンをかじる

厚みはパンを
計る指標ではない
なぜなら
それはスライスされた枚数の逆数の比率だから
みごとにボクの日曜日の朝は
敗残の呈で横になる

土曜日は枯れ ....
飢えているのかもしれず
もって生まれた悲しみを
あなたがたは口にしない

島を取り囲んでいる
水のような白き砂を
波紋が渡っていくのを
凝っとみつめている

辛い塩水はもうない
考 ....
「愛している」という
忘れられたくない
だから

「愛している」という
レゾン・デ・エートルに敬礼

「愛している」という
静脈が動脈になる

「愛している」という
こんな ....
いい加減な気持ちで
好きだとか好きじゃないとか
そう口にするのなら
熱されて爆ぜる
種子のように気持ちが

重く澱む リノリウムに
真夜中 澱む バリウム

一回りして夏 そして
 ....
素敵な朝ごはん

ねえ、今朝はとってもすてきな朝で
あなたがいたらと思ったわ
僕も同じ事を考えた
君と同じことを思った

窓から射す冬の日差しに僕は
カーテン越しに目を伏せ
君と同じ ....
beauty in the library

長い黒髪を微かに揺らして
あなたは笑った 僕の目を見ずに
「私はそれほど若くはないの」と
時の隔たりをグラスに溶かして
夢など見ないという素振 ....
日差し浴びて笑う
こんなにも暑い夏

大人の特権で
毎日のようにアイス食べる

昔ほどスイカが好きでない
葉月

流星雨降る
缶ビールそっちのけで

セミの羽が直立行進 ....
パチパチと散る
砕け散る
線香花火
それよりも
音無く夜に
消えていく
無音の夜に
消えていく
悲しい人の
戯言と
可愛い人の
独り言

パチパチ空は
水溜り
水音高く
 ....
アケノさんはくたびれた

周囲に気配りの出来るアケノさんは
人のケアをされることに長けているが
はたしてケアされることに有能かというと
そうではないらしい

アフリカに住むマングースの子 ....
猫なで声で獣
あわてて走り出すうてな
月読みで野原
さざめく葉ずれの音

清浄と月
見境なく神話
地面が繋がる限り
物語は途切れず

細かな螺旋行
君の耳元まで
石ころを蹴りな ....
世界に花びら 石の花
未曾有のからたち くちなし 丁子
緑を足に踏みしめて
五十歩百歩の旅枕

歩行鍵盤 飛行鍵盤
ツイスト踊るよ キャンディが
スノッブ女が映画の話
スノッブ男が英語 ....
学生を叱るというのは
当世流行らない

人気商売
客商売ですから

それでも時に教壇で
膝が震える教壇で

こんなに居心地の良い場所で
僕に逆らっても そして
僕に対してさえも
 ....
オーガスト来る前に
心 思い 切る
全然論理的じゃない

プレカリオはそういうふうに歩んで
いくものではないでしょうに

全然非論理的ではない
風孕み舞い上がるカイト
急行電車から眺めては

折り重なるシフォンのドレス ....
*

ささくれ立った夏の雨
君と遠くまで歩く

**

皿いっぱいに生ハムを盛り
ビール飲む

***

アルルカンでケーキセットで3時間
鉄の繊維に水滴る
明け方に激しく呻き
瑣末な棘と澱を具して
しのび足で階段を登る

声はどこからやってくるのだろう
有意義さは何にやどるのだろう
街が簡素な光に満たされて
ベランダから ....
脆弱を守る 固い鎧ではなく
進入を許さない 壁ではなく
触れられることに 道を開く
強くて弱い フォルムを纏う

メロディやリズムが脱臼され
何も 残らなかったと して
視覚的に 心地よ ....
腐乱した七色の海と空色の暗愚
本当に悲しいことは
言葉にならないという
詩の真実に耳を貸せ

この場所に留まれるか
呼吸することを忘れずに
鼓動することを忘れずに
眠れない夜をじっとや ....
空に そして風に
ひとり仲間はずれになった人のうた
掌に そして髪に
愛されなかった人のうた こぼれる

ゆるやかな夜のカーブ
時間をするするとほどく
リボンのように
冷たく光る夜のカ ....
いそいそと絶望へと駆け出す
海辺にて(砂を蹴り、ジャイロを傾けて)
つま先立ちでピルエット(革靴のまま)
肩でそろえられた髪に光降る

白い砂の一粒一粒に(印象によれば)
思いを託すような ....
シリアスな詩を書いてはいけない
空中に散種する植物の
いい加減さで哀しみを
伝播させてはいけない

難解な詩を書いてはいけない
ペダントリで行間を埋め尽くし
注釈が付くのを待つような
 ....
KIが死んで大騒ぎした連中は
MJにはそれほど食いつかない

でもね
社会に殺されたんだぜ
嫉妬に殺されたんだぜ
中傷に殺されたんだぜ
差別に殺されたんだぜ

詩人とうぬぼれて
空 ....
あらかじめ堕胎された革命の
水面にたわむれる残像
指先につまむことのできる
計測不能なオーピアムの胞子たち
溺れながら夢を見る
草原を走る深夜の列車の窓

音楽はいつもきまって理不尽
ブラウン管を埋め立てることは出来ない
それはあまりにも長らく視線にさらされて
人の毒を吸い込んでしまっているので
海洋生物にも良い影響を及ぼさない

月のない夜に路面をキュッと踏みしめて
 ....
カミソリの刃の上に
そおっと指を滑らせて怪我をする
バランスが危ういと学んで
いつか大人になり髭を剃るようになる

洗面台の三面鏡の戸棚の奥の
戸棚の奥の薬の箱のワセリンの瓶
そもそもこ ....
雨で滑りやすくなった階段を
気の遠くなりそうなヒールが歩く

授業に間に合おうなどと
考えて
階段で
転んでくれるな

決して

十八、十九のころ
僕は大変に不真面目な学生だっ ....
甘い息を吐いてあなたがわらう

雨をつれてくる雲が
窓ガラスからはみ出すほど

声と恋に似た響きで
名前の知らない鳥が
海のほうから逃げるように

今までが嘘だったとは
言いたくな ....
流星に穿たれて
君は人魚になった
まだ名前を持たない朝に
瑠璃色の鱗を散乱させながら

尖ったガラスの破片で
静脈をなぞると
霧に包まれていた避暑地の白樺の
腕から熱い血が流れ出した
 ....
瀬崎 虎彦(381)
タイトル カテゴリ Point 日付
それでも僕は自由詩409/8/2 22:13
八月に微笑自由詩209/8/1 20:54
さむいひなたで[group]自由詩309/8/1 12:03
深夜まで自由詩309/7/31 23:23
「愛している」という俳句109/7/31 23:21
夏の音自由詩309/7/31 6:21
素敵な朝ごはん自由詩209/7/28 7:32
beauty in the library自由詩209/7/27 22:43
夏/夏俳句009/7/26 11:05
パチパチ自由詩309/7/26 0:07
ケア、される能力自由詩309/7/25 0:01
NKND自由詩109/7/22 1:24
夏の夢自由詩109/7/21 6:19
最後の授業[group]自由詩2*09/7/16 20:22
八月が来る前に俳句209/7/14 7:22
スパーゼル・フォー・レッド・シアター自由詩209/7/12 10:11
そんな大学生俳句1*09/7/11 19:47
隠喩の肉体自由詩109/7/10 11:39
14行自由詩109/7/8 23:35
立ち止まれ自由詩009/7/8 19:19
生きてみた自由詩109/7/6 23:17
海辺にて自由詩209/7/5 19:33
シリアスな詩を書いてはいけない自由詩8*09/6/27 21:54
Deformation of the terror amon ...自由詩009/6/27 14:14
hS for the musique自由詩109/6/24 22:44
沈黙自由詩009/6/22 23:50
血液の流れる音を自由詩0+09/6/22 0:30
遅刻するにはわけがある[group]自由詩009/6/21 3:21
夕立ち自由詩109/6/20 21:48
おんなたちの朝自由詩5*09/5/20 4:44

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