たとえば、庭に米粒を撒くこと
集まる鳥たちの名前をよく知らない
色、とりどりに、鳥
天空から降ってくる音
羽ばたく、空
それさえ分かれば、自分のどこかで
満足している誰かが在る
遠い ....
空の下には雨中がある
大勢の僕らは包まれながら
漂うばかり
支えるものは見つからなくて
あちらこちらへ、くすぶりながら
時々にはぶつかったりする
足跡ばかりが目立つ夜は
いつだって水 ....
寒がりな午後は日差しもゆるいので
あなたの肩にかける言葉も
引っ掛かりがなくて
滑り落ちてしまう
コートをかける場所を
内面の、深いところの
フックはまだ見つからない
確認するまでも ....
24番目の駅で
赤いきれいな花を買う
枯れないうちに帰れればいい
ここより、どこかへ
帰れればいい
車窓は空を飛ぶ
すべる、すべる、寝息の上を
寝息に夜が積み重なって
もう、こんな ....
時計のゆるり止まるところ
消え行くことが決まりのように
今、ひとつの言葉が終わる
さよならから
さよならで
始まることがあるとして
遠くなっていくことに
手を振ります
僕らの
....
その暗がりの
垣根の曲がり角
街灯の忘れた、深いところで
新しい
を待ち焦がれ
いつだって、夢に泳ぐ
暮れては明けて
それが僕らに与えられた規則で
夕焼けには耳の奥で
明日が開く ....
螺旋の風
吹きつける明かり
扉が開いて、あなたが降りていく
螺旋階段の先に繋がる平静を
高い音を響かせて
どん
ノックするドア
いつまでも起き上がらないのは
まだ眠って ....
一つではない音が
低空で飛行して
私まで押し上げていく
地面すれすれの
振り返れない朝は
きっと、昨日の
覚めない夢を残したまま
ここは水の集まる
ような、そんな場所
沈んで ....
満月の空
循環、円を歩きます
振り返れば影がゆがむので
進むことを
渡されています
街道の名前は不明
集まる人達は群れ
大きな坂道と階段
鐘の音が、ひとつ
進んでみる、今日に ....
我家は回転している
円く伸びた廊下
振り返っても、そうでなくても
伸びていく先は同じこと
春夏秋冬
西側の窓からは
明るさが注がれます
真ん中では居間が
ごうんごうんと音を立て ....
朝が注がれている
遠心力に張り付くようにして
坂道が、下るバスの下で
行き先を隠している
畑の向こう、隠された朝日が
ここが今日だと示している
繋がりのない誰かと
肩を並べて揺れ ....
フラスコの底
丸底の
光がたまって
揺らいでいること
誰も覚えていないから
朝焼けの色にも出会えない
そんな窓際の
暖められている
アルコールランプの触れる
沸騰直前の光が
ぼ ....
よく風邪をひいた子供時代に
待合室はゆがんでいた
大通り沿いの小児科で
トラックが通るたび、がたがたと揺れた
松の並木の奥で待っていた
古ぼけた洋館のような建物は
いつだって静まり ....
榊が揺れて鳥が鳴いた
庭の隅
雨粒が降りてきた気がする
雨音が聞こえた気がする
冬模様の服を着ようとする頃
紙の上を走らないペンの先で
言葉にならない
遠くの音を待っていた
本 ....
晴れ、のち
そこで途切れてしまったので
新聞をひらいてみるけれど
晴れ、のち
そこから先が空欄になってしまう
捜索願
明日の空模様はどのあたりで行方不明でしょう
夜中
日付を越 ....
きょう、は
明るめの服を着て
ほのかに染まっていく
午後に立っています
炭酸飲料のはじけるビンの底
向こう側が、揺らいで
私の午後も揺れます
クロール、ビンの中を
眠り ....
明るく光る曇り空がある
一面の白さで空に張り付いて
いつまでも剥がれ落ちない
降るなら降るではっきりしろ、と
郵便受け一杯に愚痴をこぼして
傘を選ぶ
すっかりと
沈黙した窓辺を通り抜 ....
飛び出した街で
晴れない空が
灰色の夢に朝を待っている
電信柱の下の窓辺では
気象予報士が雨だというので
ブラウン管は沈黙したまま
喋らない
ここでは僕等の関係が希薄だというので
....
人の少ない下り電車で
少しずつあの日へ帰っていく
遠いことへ、遠いものへ
車窓の景色は少しずつ背丈が小さくなって
昼の下る頃に
誰もいない
四角い空間は
ただ、がたがたと響いた
それだ ....
目覚し時計の音がどこかで続いている
目覚めない夢の午後2時
中空、高い所
そろそろと昇り始める頃
開かない遮断機が、重い腰を上げて
私はようやくで
通行していく
日暮れて
....
扉を閉めて、指先で弾ける静電気を
暫くそのままで見ていましょう
しなる電線の上で夜が、暗さを競い合うばかり
ヘッドライトでも事足りるうちに
ベッドに沈み込んで、内側に落ちましょう
見 ....
出て行くのです
朝早くの電車に乗って
霧の中のレールに乗せて
席は自由で
同じくらい不自由で
透明な朝に気付いてしまうと
そればかりを求めてしまう
ススキの群れる白い世界を
滑り込 ....
四角い壁掛け時計は、いつだってずれていく
誰よりも遅れて12時の合図を鳴らす頃
止まりかけのコンパスで、地図の上を迷っていた
地球儀はもう回らない、僕の中では使えない
新しく覚えた近道では
....
いつか来た道を
なぞる度に消えてしまう
机の上のあの地図は
濡れたままでいる
一番と名前のついている街には
今もあなたが
住んでいることになっている
い、ろ、は、で振り分けら ....
夕暮れの後の雨はどこも優しい
平静な音が響いて
空間が深まっていく、窓の外
思い返すほどに
心落ち着いていく
世界は円になっている
そんな
額面通りにはいかないらしい
言葉が繰 ....
私が新しく作り替えられても
朝はいつでも同じ時間だ
野原の奥がくすぶっている
煙
伸びる
伸ばされる
空になって、消える
遠くでサイレンの音
迎え入れる朝は窓
コーヒーの黒
空 ....
ドアが開くような音がすると
誰かが勢いよく飛び出していく
真っ直ぐに見せている道は
静かに湾曲していて
遠くの方で反射して、光が
不透明な景色を作っている
霧に浮かんでいる街で
探し ....
森の中で月を見て
青さ静かに、目に染みていく
あるかないかのカーブを
そろり、ふわり、降りていく
静かに、選ぶ言葉に僕の
音はどこかで回り続けているか
泳いでいるのは、あなた
そ ....
そっと、暮れそうで
暮れない
一日はどうにも循環していて
頼りない電信柱
寄り掛ると揺れる、気がする
静かな平面の畑から
土の匂いがした
単調な起伏を
ごとごとと越えていく
浮き ....
遠いお話を
忘れないために
僕等は
指を折りながら
花の咲くのを待っている
寝返りの度に
蒸発してしまう夢を
朝のそばで
取り戻そうとしている
見つからないままでいる ....
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