お気に入りの本を
また読み終えた頃

窓の外が明るかったので
誘われて出掛けた


見慣れた景色の中で
繰り返している僕は
深く染まった緑の道に
違う景色を探している

繰り返 ....
その路線の終着駅は海沿いで
寂しい駅舎には
潮風が染み付いていた

流れている景色が
ゆっくりと落ち着いて
溶けていた車窓の奥で
海が空にゆれている

向かい側の席から
ゆっくりと ....
僕等は思いがけず忘れ物をしてしまう

それはひとつふたつ みっつよっつと
歩く振動でぽろぽろと零れて
最後には僕もぽろりと
なんて

雑踏の中で落としたものは
あちこちから持ち寄られた ....
寝室の窓を開けて
目の前の林の
緑色の香りを
一番に吸い込む

休日の朝の夢は
のんきな天気に溶けていった
笑えるものだったと思う

今ここにあるこんな普通を
今ここだけのものとし ....
曇り空だった
白い灯台は
空に混ざっていた

5月も終わりだというのに
南の端は寒かった
電線に海鳥がゆれる
風がびゅうっと 鳴った

こんな景色に
あなたを連れてこなくてよかった ....
ごうごうと響かせる飛行機と
大小不揃いの草むらの間
用途不明の建物が
誰かに忘れられてそこに居た

穴だらけの屋根はもう屋根じゃなく
その上でロケットみたいな煙突が出っ張っていて
いつか ....
雨に煙る国道は
遠く空との境が曖昧で
その上を僕等は はぐれないように
線を引きながら

雨に迷うのはここでもあなたで
いつのまにか迷っているのは僕だったりして
ここまで迷ってしまうのは ....
からころと音のする
そんな欠片が散らばっていて
拾い上げると色とりどり
思い思いに光を反射している

広い砂浜
両手を広げても足りない
誰もいない静けさは
ただ波音を響かせる


 ....
海沿いに走る防砂林を抜けると
右手に岬が見える
あの岬へ行こう
いつか交わした約束みたいなものだった



続いてる道は防砂林の中を
くねくねと曲がって上って下りて
右手に見えない海 ....
薄曇の中途半端な昼下がりです


どうにかなるとつぶやいたあなたと
なんとかなると空を仰いだ僕と
いかがお過しでしょう
青混じりの雲は風に流れて
それでも僕等の真上です

少しずつ足 ....
ベッドの中の暗闇で
心音を聞いていた
果てのない連続だと
考えが浮かんでは消えた


かちゃり
どこかで開いた音がする
流れてくる朝の匂いを
あくびのついでに吸い込む

ざわざわ ....
ひらひらと
白い羽根が飛んでいた
どこから放れて
どこへ行くんだろう

緑一面の麦畑と
鉄塔に挟まれた空を
ゆれてゆれて飛んでいく
蝶々なのかもしれない

遠く遠く遠く
離れてい ....
かちかちと
音を投げる時計に
埋め込まれた私達
いつもためらいがちになってしまうから
いつまでも流れに乗れなくなってしまうね


間違ってないなんて
そんな言葉は難しくて
傾いて見え ....
開いた空に手をかざす
高い太陽からの光線が
透き通る
通過


在り来りなものに
ときに目をとめてしまうから
歩みは加速しない いつまでも

初夏の影がちらつき始めた
散らばった ....
夕暮れ発 明日行き
手をすり抜けた紙飛行機は
いつまでも落ちない


深まる緑の季節も
夕焼けを背景に影になる
傾いていく時刻に
明日を見ながら祈って
紙飛行機を折る

飛ばした ....
きっと
気付いているのに
気付かない振りでいたんだろう
そこにあるのに
そこにはないと

雨上がりの夕暮れに
乱反射する光と
湿気を含んだ風が
張り付いて
剥がれない

雨に濡 ....
あちこちに光を反射する海と
緩やかに登っていく山の斜面とに
張り付くような町を
通り過ぎる

ざあざあと
長い波間を
滑り込むようにして
通り過ぎる

穏やかと
それ以外に言いよ ....
とんがり帽子を私はかぶって
今日も街に乗り込んでいく
とがった先端は威嚇のためで守るためで
つんと伸びたその向こうでは
空が青に光っている


どうにも街は壁だらけで
いろんなとこにぶ ....
気がつけばすべてがあの日に返っている
ポケットに突っ込んだままの右手を
思い出して引き抜くと
零れ落ちていく ぽろぽろと


ありふれた困難とか
いつまでも続く分かれ道とか
乗り切るた ....
いつか いつか
笑えたらね
そんな頃に会いましょう

穏やかに 穏やかに
春は何度でも巡ってくるから
いつかゆっくり背伸びができたら


乗り越えるものが大きいので 今は
続いてる ....
窓を開け
飛んでいく空の
深いところの青

広がっていく五月の
高い高い記憶は
思い出せば浮かび上がる
ただ一面の青

遠く限りが無いような
遥か流れていくような
沈んでいけるな ....
連続していく

足元で繰り返していく季節
飛び越える音も聞き慣れた
回り続ける円の内側を
ただ一列に連続していく


繋がっていく

足元で連なっていく蟻の行列
長く長く終わりが ....
ざわざわと鳴り響く
変わらずに続いていく音
私の内側で広がっては消えていく
潮騒のようなもの


潮騒の降る
そんな街に出掛け
片耳で受止めながら
海沿いに伸びる道を歩いたりする
 ....
色々と大袈裟に語られることが多いから
一つを信じるにも力が必要で
惑わされないように見ないように
うつむきながら加速していく

こんな時代を
ゆっくりと流れていくのは
夕暮れくらいなのか ....
4月の空は霞んだ青
地面に張り付く僕等の上を
紋白蝶がひらひらと
縫い合わせていく

南向きの窓から
緑の塊に見える林の向こう
隠れるようにキャベツ畑があって
近づくと白い花びらが
 ....
某月某日 晴れ



あまり使わなかったシステム手帳の
中程のメモ欄には
ただ一言
それだけが残されていた

何か伝えたかったんだろうけど
それじゃ何にも伝わらないよ
相変わらず ....
夕暮れの寂しさを
ひらりひらりと切り抜ける
たまに当たるけど
ずっとずっとの儀式になってる

夕暮れはどこも一様に夕暮れなので
眩しくなくなった太陽を見つめる振りをして
薄いグレイの天辺 ....
所かまわず
一面にのどかな
そんな景色だったので
家と家とに挟まれた
小さいままの公園に出掛ける


左は小さい右は大きい
一列に背比べする鉄棒で
僕は右端お前は一つ下
ぶら下がる ....
潜り抜ける毎日です

ぎりぎりの所で飛び越えて
ときどき足を踏み外す
そんな時間の流れなので

僕らは包帯代わりに
ほんの少しの嘘で武装して
身をかがめて
ぶつからないように歩くので ....
たなびいていく
たなびいていく
淡紅色の欠片の群れが
空に向かってたなびいていく


たなびいていく
たなびいていく
思い出色の校門に
長いあなたの黒髪が
空に向かってたなびいてい ....
霜天(468)
タイトル カテゴリ Point 日付
散歩している自由詩504/6/6 2:22
終点自由詩604/6/4 18:41
忘れ物自由詩404/6/3 17:39
ありふれている自由詩704/5/31 11:17
南の端の灯台から自由詩404/5/30 15:39
廃墟ロケット自由詩804/5/26 2:03
雨の国道自由詩804/5/24 21:26
からころ自由詩2104/5/20 2:25
岬へ自由詩904/5/16 19:41
曇のち晴の世界自由詩1204/5/13 16:23
開いた朝に自由詩304/5/10 17:42
羽根自由詩804/5/9 18:30
バランス世界自由詩404/5/7 17:07
過ぎ去ってしまったものへ自由詩604/5/6 2:18
夕暮れ発自由詩1104/5/4 19:10
乱反射するあの頃の自由詩304/5/4 3:36
やまない音自由詩504/5/2 16:28
とんがり帽子の世界自由詩104/4/28 23:08
ポケット自由詩504/4/24 19:52
春永に自由詩404/4/23 17:09
五月の青自由詩404/4/21 17:45
光の先へ自由詩404/4/19 14:56
潮騒の降る自由詩404/4/16 17:26
暮れていく街角で自由詩604/4/13 17:40
白い花が飛んでいく自由詩404/4/12 15:27
某月某日 晴れ自由詩204/4/8 16:04
一瞬のグレイ自由詩604/4/8 15:11
波間自由詩604/4/6 16:45
裏表自由詩704/4/5 15:52
たなびいて自由詩304/4/2 16:12

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