「滴るものはなに
あなたのために
わたしのために」
自らの根を知らない
風に散ったひとひらの木の葉
蝸牛の螺旋におちた
その銀河のかたち
ソーダ水にお月 ....
ちいさな岬に立っていたんだ
風が吹けば混ざってしまいそうな空と海
飛ぶのに翼なんていらないと
飛びもせずにうそぶいて
それで死んだってかまわないと
あなたを侮辱した
....
水のような想いを
胸に南に向かう
ショートケィキの上の苺
シロップで艶めく意味も
葉巻の煙に消えた
滴るものは血液
リストバンドで
拭うものは蔑視
長くて長い
マカ ....
夏の熟れた日 雨あがり
秋の風きく 鼻先に
音なく冬が ふりつもる
とろり睫毛に からみつき
視界かすめて 芽吹く草々
目蓋のうらの 星を負い
失われた ....
むかし、一匹だけ猫をかっていた。
この猫のことを思い出すとき、わたしはいつも胸骨に力を入れて鼻から息をつく。大泣きしたいきもちと切ないきもち-これらは全然違うきもちなのだ-がごちゃ混ぜになったよ ....
「好きになったばかりだもの。そんなに食べられない。」
そういってあなたは夕焼けを摘みとり口にほうる
鴉の濡れ羽色の髪が絡まり
毛細血管の包囲網を意味のないものにしている
歩いている ....
しぐさが好きだから付き合う
セックスしちゃったから付き合う
酔ったいきおいで付き合う
運命を感じて付き合う
おいしいごはんを食べさせてくれるから
付き合う
価値観が合わない ....
あなたの青は わたしの青ではないのだろう。
あのとき選んだコトバは わたしのものであって
そうではなかった。
水に水がとけてゆく
そのオトが 耳を塞ぐ。
沈んで沈んで沈んで ....
なべ底から泡の首飾りがたち昇る
素早く捕まえ自動で選択
あなたの指はベロアのクッションカバーの匂い
深い緑色の新しい
あなたの指
口に含んで音をきく
髪をひっぱって鎖骨に噛みつ ....
針葉に刺されたのはまつぼくりに触れた所為
松の位のあたしを挿した
一切れの時を過ごしたひと
嗚呼つぎがあるのなら
宿に収まりきらないほど
大きな線香を用意するわ
九州十 ....
舐めて顔がなくなったサンタクロースにさよならを言う。今日わたしがきちんと成し遂げたことといったらそれだけ。石油ストーブが空気を換えろとうるさいので窓を開けた。冷たい、冷たい空気。山茶花の薄いピンクに西 ....
起きしなにワインを飲む。目がさめたから起きた。9時間前に眠くなったからベッドにはいった。ちょっとセックスしたいななんて思いながらチョコレートを一粒食べる。「ひとり」になりすぎて誰とも目が合わないだろう ....
点々と染みのような息を散らしながら歩いている
大げさな心臓に塩でもかけてやりたいと思い逸らしたのは目だけ
「なにか得ないと生きていけないなんて馬鹿げてる」
親指を握るのはほんとうに四本の指 ....
そして雨が降りましたほんの少し
風にちって
睫毛も濡れないくらいだったけれど
指先を針で刺したような気分で歩いた
すごくひとり
どこまでも滲むくせにまざりたがらない
こんなから ....
「ほらまた闇が、」
背に生ったライムを捥ぎとり陽を弾く
背骨をつたって腿を濡らし爪先から滴った半透明の真実
どこにも堕ちない
どこにも堕ちない
黙すことで裏切って ....
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