人は悲しさをばねにするのですか。
そう女子型ロボットの峰子さんに言われたので、いいえ、と答えた、
峰子さんは不思議そうに、じゃあ何をばねにするの、と理由を求められたので、
悔しさです、と答えた。 ....
良心というものを売った日は、空には雲ひとつない晴天で、行楽日和というべき日であった。
そもそも、私は良心というものを必要とはしていなかった、
生きていていままで、ひがみやねたみしか覚えなかったし、 ....
あの人は言いました、
「あなたの帰ってくる場所はちゃんとある」と、
私の帰る場所は、たくさんの人が生活を営み、私のいた事実を呼吸と生活感で塗りつぶし、
いつか私を忘れてしまう、
私の帰る場所は ....
壊れやすいガラス細工を持つように、時間を持つ。
時間はゆっくりと流れて、下流へ、
そんな23時の憂鬱を誰か聞いてくれ、
僕は閉店間際のスーパーで買った天ぷらを食べる。
嘘で乾いた舌できれい ....
めちゃくちゃ文章を読むのがとてつもなくむなしい。
一文章の中にたくさんの句読点を見るのが悲しい、
その句読点がめちゃくちゃ愛おしい、
それは同情に似た感情かもしれない、
そんな感情はもういらな ....
手が汚れたら手を洗うのと同じように、君は身の回りのものを捨てる。
私はそれと同時に、美容院で夏に傷んだ毛先をケアしてもらう、
ある人はカラオケに行くのかもしれない、
またある人は衝動買いをするの ....
嘘を見抜こうと思い、双眼鏡を買いました。
あれは夏でした、高校野球の実況が心地よく聞こえて、
アイスキャンディーを持っているだけで溶けてしまう気温28度、
アスファルトの上に立つ。
双眼鏡 ....
木曜日の午後に神様が降りてきた。
たぶん神様は姿を消したつもりなんだろうけど、気配は残ってしまっていた、
その気配というのは、疲労感が煙の様に充満していた、
世界中の問題を抱えて、その問題を宇宙 ....
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