雪の記憶は少ない。
桜の花びらより軽い雪が降るのを見てみたい。
電車に乗って、山々を抜けて、
おばあさんの一団がおしゃべりをするホームで乗り換えて、
長い乗車時間に退屈しながら、
....
重い眠気の網膜に映る景色に
君の目と母子の姿とシマウマの目
違う世界に生まれた僕を呼んでいる様に
耳鳴りが高く鳴り止まない
雨と雨と晴れ間と入り混じる
煌々と太陽の明かりは次々と映し出す
....
右手が滑らかな風を受けて心地よい気持ちがする
道端の葉が陽の光を反射して右手が暖かい気がした
猫がひょうと横切り
犬に見つめられ
自転車が身をかすめる
人の視線がこっちを見ないままで
....
「知らない世界で言葉が鳴っている」
そう思いながら重たく白い窓を開けた
風が吹き込んで外の空気と一緒に声が届く
どうやら階下では五六人の少年少女達がふざけ合っている
それぞれに口を ....
カッターナイフを握り締めて逃げていた
青々とした森林の中を
踏み外しては転びそうになり
木々の隙間を無理やり避けながら
射し込む太陽の光線が目を刺す時々
疲労を自覚した
休みなく進むしかな ....
鱗を詰めた反射
町は光を散りばめて
何もかも忘れ晩餐を始める
牛色の車が走り
ファンデーションの声が聴こえ
君の目にはレコードが挟まっている
何かこうやって来てはいないのか
....
木枯らしの鳴らす歌
コートを着込んだ人々は共鳴し続ける
了承もなく何も交信せずに。
軽やかに走り抜ける黒猫
車道の上でも華々しく在る黒猫
僕は間抜けに口ひげにお茶をこぼした
つむじ風の ....
手を伸ばしながら
肌色の陰影を儚く思って
昨日の出来事や
消えない火傷の跡を想って
逆さづりになったリスや
キスをしてくる犬や
無卵生を守っている卵の殻
なんかを次々に一緒く ....
夕陽が沈み
水面を揺らぐ水草みたいに
淀んだ空
何かが起こる気がしている
モネの絵を思い出したところに
彼女の目の中
には
何かが渦巻いていた
素晴らしいスピードのミュージック
....
掴みかかった二階建てのバスに
白子が汗をかいて座って
手をふりもせず故郷との別れを惜しみ
心臓の嘆きも三角巾の純白も
一緒に連れ添っていました
その速さ時速60キロ
真っ白なビーズクッ ....
ふわりとしたなかに
グワリと揺れていく内耳を
参拝
ね
泡が散らばる空中に
飛んでいける浮力は
いつも心臓で作り出されているね
白ゴマを口にいれ
たくさん喋りだす骸骨は
人類愛の ....
あの人はこの土砂降りが好きだろうか
あの人はこの土砂降りを聴いているだろうか
シーツをハサミで切り裂く間から
小さなカステイラがこぼれる
土砂降りの中では会話など要らないんだと思う
土砂 ....
住吉公園でボーっとしていて、
やはりこの公園に特別さを覚えた。
小川に見立てた水路から
湖に見立てた池に水が流れて、水流が起きる。
そこに風が吹き水面が水流の方向を乱す。
大きな鳥が池に悠然 ....
私は見た
花柄がらっと
ガラガラっと
花柄
がらっと
花柄
ガラガラっと
がラット
花がラット
花柄っと
柄がラット
花柄
ガラガラっと
がらっと
花がラット
がラッ ....
彼女は
真っ白なカーテンをヒラヒラさせながら
マルガリータの夢と
サンドイッチ伯爵の伝記と
ハイヒールを眺めながら
俺を白目の縁でやっつける
眠気がやってきて
窓辺の小鳥を呼びつけて
....
見 ない な朝 訪れ
ズレ 彼は けそうな気 ちを きなが
食をと
ア ファル の上を 速 ていく殺 ca が
に ーブする
空中 滑走 る硬 が 速で
シ ト る
懐 空 ....
オ のスベ を イジョ たい
レのスベ をハイ ョされ い
レ ス テ ハ ジ さ た
オレ スベテ ハ ジョ れたい
電光が一線走り
斜めに水溜りの上に視線が泳ぐ
手繰り寄せる繊毛は
見えたかい
水溜りの上に染み付いた獣の臭いで
やっと鼻が利いてきた
透明の折鶴を壊し
透明の結晶を壊し
拾った金槌 ....
夏バテの深海魚が
歩いている松の木に
君の手が植わっていた
それが非常に涼しく見えている
齧られた世界に
君の唾液が混じっているかと思うと
それだけで明日のことは考えなくて済むし
虫 ....
手の中で出来上がった砂山
ホクホクとした折鶴
積もる金箔
立ちはだかる君の影
渡していくバトンに
どんどんと課題が科せられていく
膨らんでいくコロモ
コテンコテン倒れていく将棋の ....
1
真夜中ですら
ザラザラとした
大通りの
卑猥な笑いが裏返り
囁き合い
頷きを忘れるほどの
原始に出会う
骨が抜かれ始め
誰かが忘れていた悲鳴を
高々と上げる
町中 ....
手紙を受け取った
封を切り
畳まれたわら半紙を開く
遠く隔たれた真夜中
何人もの死体を積み上げる
その羅列を殺すのだ
路上で横たわるネズミは
細菌という凶器と共に死んでいた
....
帰る 帰るよ
と言って
やっとで戻ってきたのは
二羽のアゲハチョウ
母は泣き続けて
二日後に命が崩れた
幾百のコバエが家屋から飛び去り
雨戸は裂傷し
静脈血を纏った鳩が2羽
黒ず ....
鉄筋の音が聞こえたなら青空だった
構築されていく巨大な塊は
恐怖と当然と意味世界に溢れている
砂漠に見える
置き去りのカメラは
捨てられたものか
ずっと名残を砂を噛むように味わいながら ....
カメラが置き去りにされていた
ウコン色の砂の中に
捨てられたように
置き去りだ
ずっと地面を見つめて
語りかけている
それを受けて砂がサラサラ応える
秘密の地下室が
永遠と機械を組 ....
洗濯機がぐるぐる渦を巻く
三角定規とおにぎりと三角ポールが遊んでいる
ぐるぐる
ぐるぐる ぐる
規則的な息継ぎかと思えば裏切る
裏切りを楽しむように遊んでいる
水面は影と光を映 ....
1
今朝から眼鏡の手入れをしている
透き通ったリンゴが
近づいては離れていった
明日から得た切符は
どことなく頼りなく
手元で伏せる
汽車に乗る
時間が乗客
会話が聞こえ ....
だだっ広い公園で
私は男の笑顔に手を突っ込む
零れるほどの濃度の渦が
ゆらり くらり
と囁き合う
紙風船が空高く飛ぶ
くしゃり くわり
私の手は一瞬の間で
木々をすり抜け
プ ....
葉隠れ
落下する青葉の陰から
伸びていくストローの筋が
妙に絡み付いて青筋が立つ
掃除機のゾウは女のような泣き声で
葉隠れ
世間が隠れていく
泡立つポリナンダァロウリンが
増殖していく ....
終日吉日
ずり落ちていく真っ黒い
ビリビリのカーテン
俺はやはりずっと座ったままだった
逃亡
の
記録を更新
し続けて ....
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