居間に
恭しく飾られている
モノトーンの写真
声も仕草も知らない
かろうじて
自分と父親を繋ぎとめていた
血脈以上の何か
十代の頃
鏡に映る自分が
架空の登場人物めい ....
人の奥底に棲む狂気
解放したのは邪悪な利己心
不条理な嫉妬
陰惨な敵愾心
不可避な憎悪
縦横無尽に疾駆するナイフ
赤い血が狂気の ....
なんで、ひざ上にしちゃいけないの?
なんで、茶髪にしちゃいけないの?
なんで、化粧しちゃいけないの?
なんで、くつ下だらしなくしちゃいけないの?
あんたたちのリクツってわかんな ....
涙をもよおす
悲しい気持ちが嫌なら
喜怒哀楽を捨ててしまえばいい
他人の眼前で
恭しく跪くのが嫌なら
傲慢に人の背中を踏みつければいい
自己犠牲の果てに
全身から噴出す汗を流すの ....
昨日死んだ愛猫の
硬くなって冷たくなった
生前の柔らかさを失った
その朽ちていく体を前に
悲しみが目を通って
忙しく立ち去っていく
その一方で
航空機事故で亡くなった
大勢の日 ....
目をつぶれば
素敵なあなたと会えるのかな
誰にも邪魔されず
あなたのそばにいられるかな
鏡の前にいる私
………醜い!
写真の中で微笑む私
………汚い!
生まれて ....
親愛なるきみへ
一人で生きていくために
孤独に打ち勝とうと
強い信念に満ち溢れるきみへ
見えない自由を求めて
西へ東へ走り回って
泥水の中を這いずり回って
小粒のダイヤモンドを探 ....
そばにいる
おまえから漂う臭いを
おれは嗅ぎたい
手を伸ばしても
おまえの体に触れられないように
おまえの無臭な体は
おまえを不用意に遠ざける
冷蔵庫のボンレスハム
どぶ川 ....
僕は十何代も続いてきた
名門家系の跡取り
名誉も
富も
人々の尊敬も
手に余るくらい
人に分け与えられるくらい
だけど
本当の僕は
空っぽで
1セントの価値もない
....
よく晴れ上がった
小春日和の休日には
きみと手を繋いで
近所の小高い丘にある
小さな公園まで
ピクニックに行きたい
見晴らしのいい原っぱに
青ざめたビニールシートを
傍若無人に ....
煤けた化学工場が
汚い煙突から
スモッグを吐き出す
ねぇ
どうしてきみは
こんなところで歌ってるんだ?
アイツの歌は
明るいけど
どこか悲しい
笑いな ....
窓を閉めれば
肌を撫でる寒さは居留守を使われ
ガラスを通り抜けて
冷たくなった雰囲気を
盛り上げる穏やかな
秋の太陽に温まった教室
昨日までそばにいた
串刺しの的はもうい ....
大切な物を失った時
僕は失った物の価値
失った物の大きさを
切り刻まれた感情を
拾い上げながら心に
留め置くことになる
夕陽が沈んで消えた後
暗闇の蒼さを
恋人と別れた ....
桜色という言葉が良く似合う
満開の桜並木の下で
きれいねと呟くきみの言葉に
そうだねと頷くぼくの言葉
言葉がぼくの体から離れていった時
ぼくの頭は言葉が思っているほど
そうだねと思 ....
不満だ不満だと
愚痴をもらすあなたと
同じくらい
周りの人が
不満を抱えてる
そう考えたことはありませんか
抱えている不満は
あなたのものではない
かもしれない
人間なんて
言葉一つで
どうにでも出来る
それと同じくらい
いくら言葉を足しても
理解することが出来ない
そんな
訳のわからん生き物
オレは
うまい詩を書くより
うまいごはんが食べられれば
それでいい
オレは
詩に対する対する向上心より
人間性に対する向上心を持つことが出来れば
それでいい
見えなくなる薬をくれ
僕が飲んだら他人が
見えなくなる薬をくれ
嫌いな人間が透明に
見えなくなる薬をくれ
僕の大好きな彼女も
見えなくなる薬をくれ
息が詰まりそうだから
....
傷ついたふりをして
他人の心を踏みにじるのは
いつでもおまえの手口
被害者面して
本当に弱い人間を打ちのめす
見ていないで助けてくれ
座ったまま小さく呟くだけで
誰の心に ....
頭の中が暗闇で
街灯もなく
右を向いたり
左に走ったり
右往左往がユーモラス
黒く染まった時の中
大声で叫んだら
話を聞いてくれるかい
無視する人もいるけど
....
退屈かと聞かれれば
はい
とでも言おうか
いいえ
とでも言おうか
液晶TVの中
流れる映像を
リモコンでザッピング
見ているようで
見ていない
スイッチが切れても
....
ダイエットに成功したら
風呂場に行って
湯気に曇る鏡を見てごらん
ぼやけて見えるきみは
自分ではない気分だろう
人格を移植された
別人の体つきを目にする思いに
背中がかゆくなる
....
逃げ出していった幸福は
例えるなら手の平ですくった水
いつまでもそばに
いてくれる幸福が欲しい
幸福は自らの手でつかむものだ
ありもしない幻想に
洗脳されて這い回る人たちが
とて ....
大学時代
教授が授業中に言った
「600万個丸を書けばそのすごさがわかる」
家に帰ってやってみた
1つ、2つ、3つ、・・・・・・・・・
700個くらいで音をあげた
その時初 ....
Love & Peace
おれの腹を満たしてくれるのか?
Love & Peace
おれに仕事をくれるのか?
Love & Peace
おれを不死身にしてくれるのか? ....
誰にでも
素晴らしい時があった気がする
ただオレにとっては
その時がいったい
いつのことだったか
もう思い出せないだけ
オレはそうして
静かに目を閉じる
うそついてもいいぜ
その代わり
オレが安心出来るよう
上手にうそをついてくれ
夏の名残が残していった
焼け付いた風の香りが
鼻の奥からいなくなっていく頃
確かに消えてしまった人たちを
口から生み出す棘で
返す返す突き刺し続ける
酷薄な笑いのシルエット
....
僕は高杉修
名前はまだない
修やんと呼ばれて
どれくらい経っただろう
僕は高杉修
名前は知らない
随分長い間
この呼び名で覚えられている
僕は高杉修
名前は付 ....
人気のない夜道を
襟を立てて歩いていると
目の前で
地面がひっくり返っている
そんなことを妄想したり
要求しても
何もあげられない
三点倒立させても
何も出てこない
....
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