今現在のぼくと
理想のぼくと
ぼくはどっちを大切にすればいいんだろう
日出ずる国から
新しい太陽が打ち上げられる
球形状に落ちてくる
光のドームを合図に
地中から飛び出す
過去を捨てた子供たち
顔を洗って洗面台に向き直る
その間にも子供たち ....
川面のゆるやかな歩みに
目を潤ませるきみを
こらえきれず
背中越しに抱きしめた
おまえは今
高くそびえる岸壁を背に
なにかがやってくるのを
頼りなげな銃を手に待っている
そよ風がそっと
木の枝にキスする度に漏れる
葉の音に怯えて
意味も無く銃をぶっ放す
....
由緒ある家系に生を受けた
武勇に長けた
この上なく正しい勇者
矜持と威光を
両肩に乗せ
自信に満ち溢れた足取りで
歩き続ける
勇者の姿が見えると
人々は理由もなく
た ....
ふんべつは
ふんどうににてるから
まぎらわしくって
きらいだ
新聞を眺める
有名女優の妊娠報道が
紙面を大きく占拠してた
女優は独身でシングルマザー
彼女は前向きにコメントしたが
新聞の論調は
概ね彼女に批判的
その記事を読んでいる ....
頭の上
白い雲が溶けて混じる水色の空
三歩離れて仰ぎ見るきみは
真上で遠慮がちな小さい太陽が
空を赤く滲ませていると言う
言葉に釣られた瞳が捕まえるのは
少しだけ青色絵の具を足した ....
冷し中華に
マヨネーズがかかってなかった
だから
ぼくは自殺しようと思う
理由なんてどうだっていい
ぼくが自殺したいのだから
それに
世の中には
ぼくの同類項がたくさん
....
夜の路地裏に
立っている君
薄明かりの下
メンソールをくゆらせ
男どもに
色目を使う
今日も30ドル払って
彼女とホテル
一時間の逢瀬
肉欲は満たせた
だが
精神 ....
宵闇の空気を裂いて下りる遮断機
ドラム缶を叩く警報機の金切り声に
微かに怯える竹竿の震え
レールの向こうに蜃気楼を従えて
月色のショールを纏った女
ルージュを引いた唇を聞こうと
右 ....
紺碧の空が覗けない
陽気な窓が遁走した部屋
くすんで白いしめやかなリノリウムが
乾いたのどを締め上げる
がらんどうな空気の真ん中に
位置を決められたパイプ椅子
腰掛けながら一人
....
がらんどうなサーカステント
沈黙がひしめき合う中
黒いスポットライトの下
素顔のピエロが
裸のまま玉乗りで現れる
張り詰めたテントの裾
漂う緊張感を纏ったまま
まんじりと ....
誰がきみを愛してくれるのか
誰がきみを必要とするのか
誰がきみに近づくのか
誰がきみを気遣ってくれるのか
走り続けた青春
砕けた強化プラスチックは
叶えられないきみの夢
....
寒々しい棘が
いちいち目の端に溶け込もうとする
裸の地面を踏みしめて
遠くで頼りなげで
幽かに揺れる街の灯を見下ろす
生ぬるいそよ風が通り過ぎるたび
背中を抱えて連れていこうとする ....
夢にも出てこない日々が続いて
将来だとか希望だとか
とうの昔に自分から消えて
生きるため日銭を稼ぐ仕事に
悔しさを感じることもなく
工業機械が働く日常の
オイルまみれな日々が過ぎて ....
きみのために首を吊る
きみのために手首を切る
きみのために溺れ死ぬ
きみのために飛び降りる
きみのためにガスを吸う
きみのために
出来上がった
かつて僕であった死 ....
俺の腐った血で
皆に
ぬぐいようのない嫌悪感と
締め付けるような嘔吐感を
頭蓋骨の裏に
へばりついた剥がれない
俺の思念に
永遠に悩まされ続ける皆を
俺は白昼の死角から ....
四六時中そばにいて監視の目を光らせる
頼みもしないのに離れようとしない
憂鬱になるから
足下で無表情な影を切り離す
太陽が消えてしまうまで待てない
鋭く周囲を睨みつける
触 ....
酒を飲んで暴れる親父が嫌いだ
人の言うことを聞かずに
好き勝手放題
周りから忌み嫌われる
子供の頃から
こいつにだけはなりたくない
そう思って
自分を律して生きてきた
....
窓から忍び足で差し込む
不躾な月光に映し出される
三原色な部屋の中で
目を閉じると
白い影の男が気配なく
同じポーズで座っている
頭の引き出しをかき回して
口元に浮かぶ言 ....
しゃべりなやつにご用心
やつは料理の鉄人
うそ、という香辛料をたっぷり
真実にまぶして
フライパンで二三分
ほら、出来上がり
食べると
神経がうそに麻痺して
きみの真実 ....
仕事が忙しくて
体の疲れが取れなくて
人の顔を殴りたくなる
振り上げたこぶしを
見つからないよう
そっと下ろす
胃に穴が開いちまった
口からは血反吐しか出ない
女に振ら ....
秋が深まる頃に
音もなく舞い落ちる銀杏の葉
通りを行く人々は
無意識のうちに踏みにじる
懸命に生きれば生きるほど
他人に利用されて
手元には喀血しか残らない
長い間
繰り返し繰 ....
潮風が夜の帳を連れて去り
厳かな今日の光が
水平線を少しずつ露わにしていく
岩肌が頬を染め
砂浜が肌を隠そうと波にもぐる
生気と活気に風景が色づいていく中
僕だけが依然として黒い
....
愛してる
口に出せば
きみに言えば
そのフレーズがインフレを起こす
そんな気がして
きみに言えなくなっていく
おれが悪かったよ
おれが悪かったんだ
おれが悪いんだ
許してくれよ
おれが悪かったよ
おれが悪かったんだ
おれが悪いんだったら
頭を下げれば気がすむのか
そうさ ....
青白い顔をしたブラックライトの
にじみ出るフェロモンに誘われた羽虫が
情熱に身を焦がす臭いが鼻を突く
真夏の夜寂しがりやなコンビニに
主人の帰りを低くうなりながら待つ乗用車
迷わず二 ....
心の傷に苦しむあなた
退屈な毎日に飽きてるあなた
自分の存在を認められないあなた
あなたたちですよ
そんなふうに
自分のこと思ってるのなら
試しに
死んでみてはどう ....
赤色
青色
黄色
緑色
漆黒の闇に
浮かんでは消える
光の徒花
一緒に見上げていたきみが
光の洪水の中に
消え入りそうで
思わず
きみの手を握り締めた
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