夕涼み
縁側で
冷えたスイカを食べながら
きみがしゃがんで
線香花火をしてるのを見てる
薄暗い中
静かに燃える火花が
儚げで切なげで
今こうしてるぼくらは
い ....
また道に迷ってしまった
これで何回目だろう
行きたい場所はわかってるのに
気がつくと
目的地とは違う
見たこともない景色の只中に
ぽつんと一人
子供の頃から
こんな風な ....
きみと別れた日
涙まじりに眺めた夕日の
猛々しい茜色が
ぼくの脳裏に溶け込んで
きみがいなくなった夜
透き通る星たちの
無表情な青白さが
ぼくの心を塗りつぶして
....
なかなか思うように
時代は明るくなってくれない
閉塞感が身に染みる世の中
貫くようなつむじ風を
コートの襟を立てて
かろうじて避けながら生きてる
誰にとっても辛い時
自分一人 ....
気がつけばいつも
おれはみんなの輪の中から
弾き出されて
尻餅ついたおれを
半笑いで見下すやつら
おまえたちの考えは
たくさんの人たちが喜ぶ
口当たりのいいワイン
甘ったるいも ....
ビルの屋上で靴を脱いで
飛び降りることが出来るなら
樹齢百年の木の枝に
縄をかけて首を吊ることが出来るなら
富士の樹海に目印なしで
足を踏み入れ迷い彷徨うことが出来るなら
実行する ....
みんな時々思うことがあるだろ
なんで自分は生きているのか
理由を求めて
東へ走ってゴミ箱を漁り
南へ泳いでアンコウと戦い
自分が何者であるかを
手帳に書き込むため探し求める
....
ある時きみの
痛ましくてささくれだった心に
不意に素手で触れた時
指先からかすかに流れる
白い血液
ぼくの心には
まっさらな無垢の心が足りないのが
よくわかった
ある時 ....
みんな背中に
対になる両翼を携えて
空を飛んでいるのに
ぼくだけ
左側にだけしか翼がない
幼い頃には
確かに右側にも翼があったはずなのに
みんなぼくの背中を見て
かわい ....
子供の頃から
誰かと比べられながら
持たない自分に腹を立て
誰かの個性に激しい炎を燃やす
そんなことよくあるだろ
逃れたいと思うことも
よくあること
誰かと比較されず
....
いつも同じ場所を捲るので
擦り切れてぼけてしまったアルバムを
暇さえあれば眺めてる
夏に妻と子供の三人で出かけた海水浴の
真夏の太陽に負けないほどまぶしい
みんなの笑顔
桜が舞い散 ....
子供の頃
ひとかどの人間になれると
心の底から信じていた
そこには確かに
光り輝く未来への
道程を示す道標が
目の前に現れていたはずだった
けれども
大きくなるにつれて ....
輪の中には入ろうともせず
ただ外側から
人々の行列を
心の奥底にあるファインダーを通して
脳裏に刻み付ける
鬼の面を付けて歩く集団は
夕闇の薄暗さに溶け込んで
浮き上がって空中遊 ....
仕事から帰ると
夕涼みがてら
バルコニーのテーブルに
紅茶を二人分用意して
薄暗い街並みを眺めるのが
ぼくの日課
休みの日は朝からずっと
雨の日も
雪の日も
出来る限 ....
きみが死んでしまった夜
ぼくはまんじりともせず
ただきみの
白く死化粧を施された
美しい寝顔を
ただ目の中に入れていた
ほんの数時間前
きみはすっかりかすれてしまった声で
ぼく ....
今のおまえは
暗闇の中に一人ぼっちで
なにをすればいいかわからずに
その場にうずくまりたくなる
そんな気持ちを抱えているんだろう
わかるさ
みんな
多かれ少なかれ
暗闇を見つめ ....
周囲を菜食主義者に囲まれた
異様な雰囲気の中
屠殺場では
今日おいしい肉になる予定の
何も知らない牛が
屠殺人にひもを引っ張られて
おずおずと場の中心に現れる
説明することもなく ....
朝早くから祖父が死んだ
葬式の準備に追われながら
仏壇の前に寝かされた
小さく硬く冷たくなった
祖父の姿が目に入る
子供の頃
遊び疲れて歩くのを嫌がったおれを
毎日のようにおぶっ ....
やつが通りを行くと
すれ違う人すべてが
やつの背姿に釘付けになる
アヴァンギャルドなファッションセンスに
やつのファンは熱狂する
やつはみんなのファッションリーダー
そんな ....
今日も僕のテレビには
あなたの姿が満ち溢れている
ワイドショーの自称コメンテーターたちは
こぞって
あなたが犯した行状を
面白おかしく読み上げる
だけど
そんなことは
僕にとっ ....
ある日突然
メディアから垂れ流された
大量の殺戮報道が
おれたちを
一瞬にして
世界のならず者に変えちまった
殺人鬼と
呼ぶ女もいる
テロリストと
叫ぶ男もいる
気 ....
鏡に映るおまえの顔
おまえは自分と気付かずに
あまりの醜さに
直視出来ず顔を背ける
鏡の中にいる醜い自分を
作り出したのはおまえの心
記憶もないのだろう
おまえが昨日
....
道のない
草木が生い茂る密林を
ただひたすら進む
穏やかな清流のせせらぎや
沈みゆく夕日の紅さや
心を落ち着かせてくれる
清涼剤もなく
目の前に広がる
絶望にも似た密林を
進 ....
海岸線を走って
ぼくはまた
この海にやってきた
きみの大好きだった海に
誰もいない海は
穏やかな水面を湛えて
ぼくが来るのを歓迎している
チャンネル争いに負けて
ふぐよ ....
積み重なる日常
怠惰な瞳を凝らして見ても
モノトーンな色彩が
おまえの心を締め付ける
何も変わらない
おまえはそう呟いて
何事もなかったように
うつむいたまま家路につく
....
大通りを歩いていると
反対側にいたおまえが
大声でおれを呼び止めた
振り向いておまえを見ると
おまえは大きな声で
おれに向かって身振り手振りを交えて
なにか懸命に伝えようとしてる
....
仲間面して
左手の銃をぶっ放す
撃ち抜かれた心臓から
どす黒い血液が
・・・・・・おれが
人間だって
わかったか?
裏切られた右脳が
風に吹かれて
泣いてた
あなたは今
この手紙をどんな気持ちで読んでいるのでしょうか
ぼくには想像がつきません
でも
あなたがこの手紙を読み終わった時
ぼくの想い伝わっていると嬉しいです
始まりがな ....
地上に神話が生まれた頃
言葉は同じだったかもしれない
大陸が地球のいたずらで
いろんな形に変わっていくと
みんなの言葉も
いろんな表現に変わっていって
気がつくと百メートル先に立っ ....
友が喜んでる
望むものを手に入れた友が
俺の手を握って笑いかける
これほどの憎しみは思い付かない
何もかも
全てあいつに奪われて
俺にはカスすら残さない
友が語り ....
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