中身が透けて見える
不思議な箱を前にして
おれとおまえは
向き合う形で
その箱を見ている


おまえには
三本の矢が見えるらしい
だけども
おれからは
りんごが二つ
お ....
眩しくて照れくさくて
思わず顔を背けたくなる
輝かしい朝の陽光が
ぼくの背中に降り注ぐ
その足元には
最早自分の言葉を
紡いでいくことが出来なくなった
明後日の方角を見つめる
 ....
友よ
あれから何年の月日が流れたのだろう
砲弾のスコールが
いつ止むとも知れない
湿気のうねりにうんざりする
熱帯雨林の中で
笑顔交じりの涙をこぼしながら
手を取り合って硬く誓い ....
今日も
大地の上で生きているモノ
すべてを殺戮するために
にじりよる朝の光
表面を輝かせて
自らの酷薄な薄ら笑いを
その下にうまく隠したつもりで
偽りの微笑を地上に降り注ぐ太陽を
頭上 ....
きれいなあおいそらね


きみがそう漏らして
仰向けになったまま
ぼくにさよならした日から
どれくらいの凍えた昼と
背中合わせの温い夜を
ぼくはいったい通り抜けてきたのだろう
ベッド ....
まどろみの中
うつろな表情を隠さず
診察台の上で
恥ずかしげもなく
両足を広げるおまえの
肉襞をかき分けようと
クスコを無造作に突っ込んで
中を見るとそこには
無数に散らばる
光り輝 ....
眠くなって
土の毛布を被り
静かに横たわるきみの
物言わぬ墓石の前で
祈りを捧げる
すっかり春が過ぎてしまって
もう暑いくらいで
着ていたシャツの袖を捲り上げて
それでも額にに ....
新学期もだいぶ昔の話になった
はにかんだ太陽の
頬の赤さで温まった公園で
突き抜ける青さをどこまでも
視線で追いかけるぼくの
穏やかでない心を
春の風が忙しく通り抜けていく

 ....
ぼくの言葉が
発した時から
ぼくの元から
たくましく
しっかりと
旅立っていって
たくさんの人たちと
心の交流があって
すっかり
内面を磨き上げられて
結果
ぼくと再会し ....
交差点からあてもなく走っていく
駄々をこねるクラクションや
雑踏のアスレチックをクリアしながら
器用に行きかう明日の旅行話や
聞きたくもない喧騒の緩やかな渦が
オープンカフェのテラスで
 ....
悲しみで目から零れ落ちた
涙のしずくが
咲き誇る桜の花びらにも似た
きみの笑顔に生まれ変わるなら
ぼくはこれからも
きみを笑わせ続けようと思う
胸に矜持をしっかりと抱いて
手を伸ばせば近い
大きくなりすぎた夕陽が
染めあげた真紅の世界
家路を急ぐぼくは
ションベン臭い電信柱や
崩れ落ちそうな土塀や
いつの頃か実をつけなくなった
寂しげな柿の木や
いつ ....
青空が昨日までの
薄汚れて黒ずんだ
自らの皮膚を脱ぎ捨てて
新しい明日を迎えようと
両手をパノラマの
端から端まで伸ばしている


春になると一斉に
その体全身を花で包み
 ....
今日きみを失って
打ちひしがれて
涙が止め処なく流れる
そんなぼくの悲しみを
売店の陳列棚に
ほこりがかぶらないよう
そっと気付かれずに並べる


手にとってくれる人が
ぼ ....
生き残った耳に
今も聞こえてくるのは
見下ろした小さな林から
厳かに流れてくるリズム
目を覚ますと
ぼくは丘の上で
膝から下を切り取られて
地面に突き刺されて
両腕を磔になったイエ ....
自分が住む街の
ふぞろいな街並みを
見下ろす小高い丘で
今日の命が尽きる時を
まんじりともせずに
見つめるのが日課


そうやってもう
数え切れないくらいの
今日を見送り
 ....
ようやく決心がついた
顔に無数のしわが出来るほど
髪に無数の白髪が生えるほど
それくらいの時間をかけて
ようやくそうしようと思った


裏庭にシャベルで
出来るだけ大きく
土を掘り返 ....
汚れてしまったこころの生地
刺々しく右から左から
吹き付けあざ笑う風の行列に
隠しておいたはずのこころは
小さく大きく傷をつけられ
気がついたら
涙が滲んでしまうほど
表面がすっかり ....
もうすぐ今日が
地平線の向こうへと
まだ生きたかったと
怨念を残して去っていく
その時太陽の傍らで
道連れに消えていこうとする
今日をぼくと共に歩んだ
ちっぽけな気持ちの欠片
 ....
お互いの心を
ありもしない感情で
罵り傷つけ合い
次第に二人の間に
冷たい空気が
椅子を持ってきて
座り込む


空を見ると
大好きだったはずの
あなたの顔に似た
黒い ....
黄昏れた真夜中が
雲に紛れてついた
ため息の水蒸気に
ぼんやりと輪郭を滲ませた
水銀灯の下
ぽつんと佇んで
誰かが来るのを待ってる


寂しげで侘しい
心臓の奥底に潜む
 ....
白く染め上げられた
気持ちの上を
時には弾むように
時には踏みしめるように
右に左に歩いてみる
たまに後ろを
振り返ってみると
そこには
ぼくが無神経に動き回った
そのことを ....
できないことはやらない


けど


できることは胸を張って
ひとつひとつ確実に
募金箱に五円玉一枚しか
入れられなくても
やらないよりは
はるかにすばらしいはず

 ....
普段は感じることもないのに


きみが
はいつくばりながら
痛みに耐えて
立ち上がろうと
人々の冷酷さを映し出す
透き通った青空に向かって
手を伸ばした時
ぼくの心に潜む
奥底で ....
近所の映画館
レイトショーに一人
暗闇の中
映像で明らむスクリーンを
ひたすら二つの目で
半時間前には眠かったことを
すっかり忘れて


目の前で
ぼくの何十倍もの大きさな ....
足りないものを
埋め合わせるために
ぼくはきみと
折り重なって
土を被って
ゆっくりとひとつに
混ざり合う


きみに足りなかったものを
ぼくが持っていて
ぼくが望んだも ....
色鮮やかに陽光の筆が
街並みを描いていく
様々な悲しみや苦しみが
色づいて人々にのしかかることを
受け入れるのだと気付きながら
それでも力を緩めることもなく
すべてを受容する覚悟を ....
きみのこころが冷たくなった夜
横たわった気持ちを抱え込みながら
静かに目を閉じて仰向けなきみを
見下ろしてぼくは見ているはずの
きみの輪郭をおぼろげにしか
コピーすることが出来ない
 ....
おまえと言葉を交わすために
教典なんて必要ない
目を閉じれば
そこにはおまえの
輝く神々しさがある
おまえは静かに
おれの言葉を待っている


おまえと二人で語らうために
 ....
草原に降り始める雨
傘のない子供たちのため
世界に向けてそっと差し出す
そんな素振りで
行き場を失った
すっかり冷えて
寒さに震えるぼくたちの
気持ちを凍えさせたくなくて
きみ ....
寒雪(466)
タイトル カテゴリ Point 日付
箱の中身はなんだろな自由詩111/8/23 9:33
当たりくじ自由詩111/8/20 11:25
約束の地自由詩211/8/15 15:46
同じ空の下自由詩011/8/15 15:22
あおいそら自由詩111/7/30 14:19
生誕するもの自由詩0+11/7/17 11:51
祈りの在り処自由詩311/6/25 13:17
過ぎる季節自由詩311/5/29 7:53
ぼくの言葉が自由詩211/5/22 9:23
Loneliness自由詩011/5/17 5:44
ピエロ自由詩311/5/8 11:07
夕暮れ自由詩111/4/28 9:50
ぼくを捨てる朝自由詩211/4/24 10:21
「悲しみ」を売る自由詩111/4/22 6:48
願望自由詩211/4/20 9:28
丘の上から自由詩011/4/18 6:50
埋める自由詩011/4/16 13:08
汚れてしまった自由詩111/4/12 10:52
気がかり自由詩211/4/9 10:03
届け自由詩311/4/5 8:30
水銀灯の下自由詩211/3/29 7:29
気持ちの上自由詩211/3/23 11:34
負けない自由詩011/3/19 8:39
自由詩111/3/15 10:24
レイトショー自由詩111/3/11 10:02
混ざり合う自由詩211/3/7 10:23
太陽が見ている自由詩111/3/3 9:01
言い表せない自由詩211/3/1 9:38
Prayer自由詩111/2/26 10:46
自由詩111/2/23 11:14

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