あなたが自らの正義を
拠り所に雷のとんかちを
振りかざしている時
それを目の当たりにしたぼくは
自分の心が間違っていないと
土ぼこりが舞い上がる砂漠の
泣き叫ぶ子供たちを前に
た ....
TVから放たれる
善意の矢が
ぼくらの心に突き刺さって
傷口からどす黒い
裏腹な悪意が流れ出したら
心の中には
触れることのない暖かい涙が
満ち溢れていくのか
そうだとすれば
 ....
月から吐き出される
柔らかな光の束さえ
拒絶して佇む暗闇の中
ぼくときみは息を押し殺して
その場にじっとうずくまる
暗闇というからには
ふたの開いた墨汁を
半紙にぶちまけたくらい ....
心の中で温められた息が白い
手袋をせずに裸のまま
引き締まる寒気の中
さらけ出された手のひらを擦り
黒い闇の隙間に
吸い込まれそうになるのを堪えて
神々しく光り続ける
最近では珍 ....
無責任な白い雲が
好き勝手に形を変えて
地表で緩やかに流れる風の上に
身を任せて漂うのを見て
雲の背中に跨ろうと
飛び出してしまいそうになる
ぼくの気持ちが
遊び飽きてぼくの体へ ....
風が力強く吐き出した
産声が耳に痛い冬の午後
暖房のよく利いたカフェで
木目が美しいテーブルに
所在なさげに周囲を見回す
白いコーヒーカップ
黒い水面にゆらゆら映る
瞳の輪郭にな ....
弾けてしまいそうな静寂の中で

ぼくに言葉を編み続けるきみの

柔らかな視線の上をぼくは踊る

心電図が奏でる脆弱な心臓の色

駅前のロータリーを何周も走る

同じ場所に留まらない ....
珍しく晴れ渡った青空の
ぼくから見てちょうど真ん中に
白く浮かんだ月の色を
穴があくほど見ていたら
こころが腐って
口から外へと零れ落ちていく


地面に散らばったこころを
 ....
肌色の闇をゆっくりと
黒から藍へと
藍から茜へと
溶かしていく明けの陽光
暗闇が
艶やかにヴェールを脱ぎ
露になる裸の街


底冷えする蒼さと
柔らかな白さが
街のシルエ ....
騒がしすぎる街角の雑踏を
見渡せる場所にあるベンチから
晴れやかな薄曇りの下を
右に左に行き交う人を見てる
たくさんの方向から浴びせられる会話
待ち合わせの時刻を気にして先を急ぐクラ ....
きみがぼくのそばを離れてから
もうずいぶんの時間が
現れては立ち去っていったのに
未だにぼくの心は喪失感が
スコップで掘った穴を
埋められないままで


みんないつまでも悲しむ ....
きみと一緒に
これから目の前に現れてくる
たくさんの障害を
手を取り合って
乗り越えていきたい
簡単じゃないことはわかってる
時間の長さと記憶の短さに抗うのは
時にはぼくたちの距離が
 ....
昨日
音もなく降り積もる積雪と同じくらい
静かに息を引き取った
きみの死体を前に
ぼくの口元から漏れる呼吸の音だけが
雑踏の騒々しさを伴って
ぼくの耳に聞こえてくる


死ん ....
雑草もいなくなって
剥き出しの岩肌を
木枯らしにさらけ出して
底冷えする意地悪さに耐える
荒れ果てた大地の上に
白く化粧を施した
柔らかな新雪が
みんなで手を携えて
降り積もってい ....
人々の不幸を暴き立てるために
睥睨し荘厳に昇る太陽の光を
紅い白目の中に取り入れ
嘆き悲しむきみの背後で
ぼくは聞こえないような小さい声で
きみの悲しみを言葉に置き換える
今まで生 ....
いつものように
窓を脱獄してぼくのまぶたまで
たどり着いて騒ぎまわる
陽の光を感じて
ゆっくりと起き上がる
庭の木が激しく揺れるのを見て
普段より冬の風が
機嫌を悪くしているのに ....
黒になりたい
白い隙間の欠片もなく
闇に溶かすと
綺麗に混ざり合ってしまう
何者も恐れないほどの
強い黒になりたい


黒になりたい
パレットに佇む
すべての絵の具と
交 ....
暗闇を切り裂く
鼻先の照明に浮かび上がる
寂れたプラットフォーム
ぼくの降りる駅
冷ややかなコンクリートに
足を下ろすと
確認したように電車のドアが閉まる
振り返るとぼくの存在を ....
きみを失った悲しみは
繰り返し緩やかに昇る太陽のようで
朝焼けに照らし出された街の
塗り潰された悲しみを
毎日毎日目の当たりにするたび
ぼくの心も
悲しみに染められていく


 ....
木枯らしが子豚のレンガを
吹き飛ばしてしまおうと
肺活量一杯に呼吸をぶつけてくる
その風の強さを外壁に浴びて
小さくくしゃみを繰り返す家の中
テーブルを囲んで家族で鍋
大した具は入って ....
きみの友人が
公私共々調子がいい
友人の周りは
あやかろうとする人間が
手土産を片手に列をなす
きみも
同じように列に並びたいだろう
その時
たまたまだけど
友人の履く
穴 ....
遠く遠く
長く長く
いつたどり着くか見当もつかない
心の目的地を目指して
ぼくは頼りなげな月明かりの下を
覚束ない足取りで歩く


出発の時
周りにいた仲間たちは
気が付い ....
みんなの心の中に
等しく白い雪が降る
クリスマスの日
みんな空を見上げる
今日はクリスマス
何もあげられないけど
みんなのクリスマス


仕事をしている人も
手を止めて
 ....
降り積もる雪は
誰の目にも白く
天空のイルミネーションは
誰の目にも煌めく


寒い夜には
愛する人のそばに
寒い夜には
愛する人の笑顔を


遠い夢じゃなくて
手に ....
手の平に抱え上げた
慣れない風景に落ち着かず
表情を揺らす
一すくいの水
水面に映るぼくの顔が
広がったり狭まったり
本当のぼくになかなか近づかないのは
物理的なもののせいだけで ....
生死は問わないから
おれの眼前に
「幸せ」
と呼ばれるものを
差し出してくれないか
輝いているものなのか
食べると旨いものなのか
今まで生きてて
一度も目の前に
現れたりしな ....
きみとぼくが
冬の体温に冷やされた
剥き出しになったコンクリートの
痛々しい街角で出会った時
心の引き出しには
確かに出会いの感動が
喜びの記憶と共に
大切にしまわれたはずだった ....
遠い島の語りべよ
のびやかで、ゆるやかな
民族のうたを聴かせておくれ


たとえ
ぼくらの耳が難聴で
そのうたを聴き取れなくても
心をこめてうたっておくれ


その悲しみ ....
冬の寒さに
地肌が荒れてしまって
無精ひげだらけになった
荒涼とした大地に立って
寒空の下
何かに追い立てられ
右から左へと駆け抜けていく
凛としたつむじ風を見ている
留まるこ ....
何も手の平に
つかむことが出来ずに
毎日の生活を
走り回っていると
写真の中で自分の姿が
小さくなっていく


それに気付くと
自分の存在がちっぽけに思えて
正しさとか強さ ....
寒雪(466)
タイトル カテゴリ Point 日付
正義自由詩111/2/20 8:39
善意自由詩111/2/18 10:18
暗闇の中自由詩011/2/14 8:49
星の煌きの下自由詩011/2/12 13:07
気持ちの行く先自由詩011/2/8 10:40
珈琲自由詩011/2/3 10:46
会話自由詩111/2/1 11:57
こころ自由詩111/1/28 8:24
冬の朝自由詩111/1/23 9:30
Solitude自由詩311/1/18 7:36
ポジネガ自由詩111/1/17 9:33
プロポーズ自由詩111/1/10 8:53
再会の鍵自由詩011/1/8 12:51
大地自由詩311/1/3 9:29
役立たずな自由詩311/1/2 11:20
新年自由詩011/1/1 10:32
黒になりたい自由詩310/12/31 10:56
プラットフォーム自由詩210/12/30 11:43
悲しみの記憶自由詩010/12/29 11:30
自由詩110/12/28 8:09
選択自由詩110/12/27 10:38
マイペース自由詩010/12/26 8:15
Happy Christmas 〜Equal Romanc ...自由詩010/12/25 11:16
X'mas Song自由詩010/12/24 9:24
自由詩010/12/23 9:31
Dead Or Alive自由詩010/12/22 11:31
引き出し自由詩210/12/21 8:51
しまうた自由詩110/12/20 9:02
準備自由詩010/12/19 9:55
矜持自由詩110/12/18 8:50

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