曇天の空より明(さや)か薔薇の花

五月雨や雫一つも世界かな

梅雨寒や長袖一枚はおる朝

五月雨や踏み石黒く閑(しずか)なり

外は雨燕の雛は餌を待ち

稲またぐ鷺の白さや五月晴 ....
ある者は明日の天気ばかりを気に掛け
ある者は日常を吉凶で決め付け
ある者は社会の抑圧に負けて自らを失い
ある者は生を誤魔化すための金に執着し
ある者は惰性で一日一日を遣り過ごす

空っぽな ....
雨の止み間に
雀は求愛のダンスを踊る

雄はたたんだ羽と尾羽を震わせ
ぴいぴい鳴いて
切実に請い願う

しかし雌は植木鉢の中の草の実を
ついばむばかり

興味がないよ ....
しりしりと親待つ雛の声微か

初夏の空木の間隠れの青さかな

麦秋や燕飛び交う二羽三羽

水田や空の広さを写し取り
私の生活が
思惑が
願いや祈りが
喜びや悲しみが
虚ろな無知が
不断なる憎しみが
この雨に
濡れそぼる

外で飼われている
年寄りの秋田犬が
人の通り掛かるのを
眺めている
 ....
キビタキが鳴く
森の中の梢で
黄と黒と白と
震える喉の橙が
新緑を溶け入らせ
森は内側から喜びの歌を聴いている
そして私も
オオルリが鳴く
川のほとりに立つ
高い高い木の頂きで
空よりも
水よりも
深く青く清澄なる色から出る音色に
森が統一されてゆく
樅の木の側を通る時
風が傍らを過ぎて行った
針葉樹の若葉もやはり若葉らしく柔らかい
初夏の午前の空は広く
雲は脇に浮かぶ
鳥逹はそろそろ繁殖を迎える
生命あるものは躍動感に溢れ
この季節 ....
線路脇に
薄紫の花が群れ咲く
春はこういうところから
姿を見せる
和らぐ風に揺れ
待ちかねた日を浴びている

「我等この花以上に何を知るというのか?」

花以上でもなく ....
人の世のど真ん中で

花は笑う

自信に満ち

私を見よと
君知るや

曇天の向こう

青空広がり

日が輝くことを
この陽だまりに
花は咲く
私は微笑(えま)う
日が差せば
誰もが等しく
享受出来る
何時でも
何処でも
この陽だまりに
悲しみはない
幸せ、不幸せ
善、悪
喜び、悲しみ
生、死

それは深い谷間に架けられた
蔓の一本橋のよう

渡るには十分に丈夫
切れてしまえば落ちる

確かに強いが
危うく ....
まだ春が来ない山
夜が明けた静かな土を霜が押し上げる
傍らで小鳥が動き始め
冬枯れの落ち葉をひっくり返す

左手は日の光に溢れ
右手は陰に沈み黙す
私はその中の尾根を行く
 ....
アホの子のカーコは

ほじくった鼻クソを食いながら

「オレ、雪好きや」と言った

なぜ好きなんだと聞いたら

人を小馬鹿にするような顔をして

「お前、みんなカキ氷だら ....
花散る郷に住む君は
夢見る頃も葬り去りて
ただただ路傍の石の如く
硬くなり逝く

木枯らし吹き曝す郷に住む君は
昔日の彼方に迷い込み
失くしたものを
いざり漁る

 ....
私の部屋にスミレが咲く

不本意な場所で時季外れのスミレが咲く

その限られた土の小さな鉢の中

踏み躙られようとも

暑さ寒さに打たれようとも

大地の上が望ましいだろ ....
糞を拭く手

飯を喰う手

子を撫でる手

水を掬う手

土を掘り起こす手

倒れ行く者を支える手

人と人、握手をする手

何かを摑む手
 ....
小さな世界で完結し

目は何も見えず

音は地に堕ちた

意識ある錯乱は

あまりにも幼稚な自慰として足りない指がまさぐる

明日の夢があるならば

それは七夕の笹 ....
駅前のベンチに腰掛けていたら

左足の潰れた鳩が寄って来て

餌をねだり辺りをちょこちょこ歩く

気の毒だが私はお前にあげる餌を持っていないのだよ

あげたい気持ちが無い訳では ....
どれだけ手を伸ばしてみても

手に取れぬ明星は

東の空に輝く

私は諦める事も出来ず

更に手を伸ばそうとし

つんのめり倒れ伏す

涙が流れ地に落ちるとも
 ....
誰とも話したくない

一人にしてくれないか

疲れている

ひどく物憂い

沈む夕陽を眺め

深い紫の空に思いを馳せたい

皆、何処かへ行ってくれないか

言 ....
青に溶ければ血が滲む

砕けた石をかじかみの触角で探り当てた

夢…

青に溶ける

青く溶ける

青は溶ける

全ては

万感・脆弱・憔悴・権化

花 ....
東京という首都は

田舎者が寄ってたかって

作り上げた理想の街だ

好き勝手に恥知らずに

過ごせるところ

電灯の明かりを

何時までも灯す為

人のわざ ....
そのナイフを取れ

そいつで俺を突き刺せ

深く深く臓物に叩き込み

えぐりえぐり俺を世間へブチまけろ

生も超え

死も過ぎ去った

俺の躍動する腕が血をはき出す ....
笑え

生きる愚かさを

怒れ

生きる惨めさを

泣け

生きる辛さを

歌え

生きるお前を

喜怒哀楽

地に足踏ん張って

お前が生 ....
陽が落ちた後

安堵感を湛える

紫色の時が好きだ

その中を君と二人で歩く

永遠なんざ

詰まんねェもんだ

そんなもんクソ喰らえ

そう思いながら
 ....
何処までも遠く青い青い空

樹々の緑は深く濃く憩いの影を落とす

白き雲が流れ行く

太陽の輝きは計り知れぬ

私は滋味多き土の上に立ち

涙を落とす

涙はあまり ....
彼岸の郷に咲く花を

忘れられぬ男が

夢の中より盗み出し

気付かれぬように植え付けた

時期来れば

あらぬ処より

燃ゆる命を現わし

気付かぬ者にも気 ....
闘え

怠惰なる精神と

闘え

限り無い抑圧と

闘え

無知なる言語と

目に見えぬ陰に

敵は潜み隠れる

気附かぬ意識の中で

死神が手を ....
蒲生万寿(136)
タイトル カテゴリ Point 日付
梅雨俳句1*11/7/4 18:50
真面目(しんめんもく)自由詩1*11/7/1 21:18
更新自由詩4*11/5/29 18:45
皐月俳句1*11/5/17 16:17
自由詩3*11/5/12 18:48
キビタキ自由詩1*11/5/5 20:45
オオルリ自由詩5*11/5/4 18:02
夏の始り自由詩0*11/4/28 14:57
諸葛菜(しょっかっさい)自由詩3*11/4/3 20:44
花見自由詩0*11/3/28 20:22
君知るや…自由詩1*11/3/20 19:44
陽だまり自由詩1*11/3/16 21:43
蔓(かずら)の橋自由詩0*11/3/15 18:26
尾根歩き自由詩1*11/3/2 21:07
自由詩2*11/2/12 12:00
惑乱自由詩1*11/1/31 18:53
菫(すみれ)自由詩1*11/1/29 19:20
自由詩0*11/1/11 11:22
卑屈自由詩010/6/21 21:22
日の暮れに自由詩0*10/6/17 21:31
明星自由詩0*10/6/13 16:46
静寂自由詩0*10/6/12 15:42
語りたきこと自由詩010/6/11 17:51
首都自由詩010/6/8 20:59
動静自由詩1*10/6/2 19:50
喜怒哀楽自由詩1*10/5/31 22:44
好き自由詩2*10/5/28 17:41
内省自由詩1*10/5/26 19:30
彼岸花自由詩2*10/5/24 20:56
闘え自由詩1*10/5/23 21:10

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 
0.42sec.