浮き立つ五月
あたたかくなる君の手に
僕の手を重ねて
どこまで行けるか試してみよう
とりあえずは
あの月まで
くわえ煙草で歩いていると
道の先で
ぼんやりひかるお月さまが
うずくまっていた
最近のお月さまは
情緒不安定だと専らのうわさ
ひとりぼっちは寂しいと泣くそうだ
関わりたくないので ....
泣いている君の写真をとった
大きな額にいれて
大切に大切にかざる
もう二度と見ることはないのだから
地下鉄の窓から月が見えたら
君と会えるって
教えてくれた人は
ずっと
ひとりぼっちで泣いている人だった
大切なひとは
もう遠く遥かに
56億年の孤独はいっそう君を愛しくさせた
名残惜しく雪の降るころ
きれいに脚色された君
こころのなかのブラウン管には
ドラマのようにしか
写らなかった
真実の君を見るために
もう一度会いたいな
なんてね
宙をまった
ぼくのこころが
おちて
おちて
おち
て
お
ち
....
「さて、問題です。」
「はい。」
「この世でいちばん大切なものは?」
「...チョコレイト!」
「正解。」
金魚すくい
きらきらひかる夏祭り
君の手がはなれて
とおく
とおく
とおく
泣きながら僕の名を呼ぶ君を
心から
愛おしいと思うのです
....
25時30分
ねむれないんだ
僕のこころが
うるさくて
君に会いたいって
いつまでも
泣いてるんだ
初恋の人を
月にとられた。
にこにこわらって
「さようなら!」
だってさ。
君の目を見て
嘘をついた
その日の夢の中で
君が泣いていて
君も嘘をついていたことを
知った
かなしい
そういったきり
うごかないきみ
ネジがきれたのだと
せんせいがいっていた
牡丹雪ふわり
君が舞う
見とれているうちに
悴んだ僕の手
のそりと進む冬の雲
嘘つきが居るの
貴方かわたしの
どちらかなんだけど…
月のかけらをひろった
まだ
あたたかかったので
タバコをおしつけたら
火が着いた
肺まで吸い込んだが
いつもと何も変わらなかった
なんだ、つまらない!
蝉が死んで
夏が終わる
君の残像
ゆらゆら消えなくて
僕は恐怖する
ある時
古い本を膝に開いたまま
うとうとしておりますと
天井から
大きな蜘蛛が
するすると降りて参りました
そのまま眺めておりますと
その蜘蛛めは
わたくしの
本の上に降りまして ....
ある夜
金平糖を舐めながら
階段を上っていると
月がけらけら笑うので
気分を損ねた僕は
ふっ!っと金平糖を月にむかって
吐き出した
すると金平糖は鉄砲玉のように
月を貫いた
ぎゃ!っ ....
はじめて
シガレットを買った
手慣れたふうを装って
マッチをする
深い呼吸
煙のせいで涙が流れた
一度きりで
手に持ったまま
燃え尽きた
足元に落ちた灰が
恨めしそうに
僕を ....
死にゆく春の中で
居眠る君の
スカートを手繰って
見た夢
むかし
落ちていた石ころが
月になりたい
と泣いていたので
僕は
星にならなれるよ
と笑った
石ころをつかみあげて
力いっぱい遠くへほおる
すると
涙が尾を引いて
石ころは帚 ....
回送電車
通り過ぎる硝子
虚像の僕は
微笑みながら
手を振った
月と同じシステムで
遠くに行った君
金平糖とシガレット
僕に残ったのはそれだけ
悲しいだなんて
努々思うまい
トンネルの中
何処からともなく
ー 光が通り過ぎるのは
一瞬だ
見逃すな −
その時
眩い光の矢
声は聞こえなくなった
夢を見ていたようだ
坂のてっぺん
背伸びをして
月にきすをした
照れた月は
少し赤くなって
フェードアウトしていった
僕はそれがおかしくて
チョコレートをかじりながら
鼻歌を歌った
月のお面を
かぶっていた友達は
星になったそうだ
愚図りだす
空
泣き出した
僕
哀しい
雨霰
海の青さが
空を染めるのか
空の青さが
海を染めるのか
議論する
青虫たちは
次々に蛹になって
議題のことは忘れて
空を飛び海に沈んだ
想いと言葉は
いつも
正反対なのです。
それというのも
月の光が
太陽の光の反射によるもの
だからだそうですよ。
だから、
新月の夜には
あんなにも
悲しくなるのでしょう。
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