焼け跡の町に響き渡る槌音
鋼鉄の爆ぜる音 クレーンが上下する音
再開なった船渠に 巨大な 鉄の フネが
進水を待っている
小学校の青空教室をこっそり抜け出して
造船所の裏山へ毎日通 ....
平成23年8月6日 
旧暦の七夕イベントでにぎわう鴨川
視界を遮る北辺の山々の
はるか上空まで入道雲が立った
3本ほど 並んで立った

昭和20年8月6日
「今日も暑いのぉ」 ....
若者 とは
めいわくを掛ける ことである

わざわざ 悩まねばならぬ
わざわざ 泣かねばならぬ
わざわざ 憤らねばならぬ
わざわざ 遠回りせねばならぬ
わざわざ 大きな荷を背 ....
京の街中に引っ越してきたのは
師走に入った頃でした
世間も僕も慌しい頃でした

東向きのベランダの彼方には
百年の風雪に耐えてきた
銀瓦の低い峰々が連なっていました
午後の北 ....
俺の空は 曇り
明日も 明後日も 一週間後も 曇り
1ヵ月後も 1年後も 10年後も 曇り
雨も降らねば 日も差さず
予報士要らず

「いい加減に国民年金払ってくださいよ」
 ....
雨が上がり
虹が出れば
人々は家から飛び出して
泥を捏ねて塑像を造ります
雲間から漏れる光で 塑像を乾かし
虹の絵の具で 自在に彩ります
そうして出来上がったものを
人々は ....
賑やかな桟敷から
夜の鴨川に淡い光が落ちていた
しっかりと握っていたあなたの腕には
かすかな傷跡があった
生まれ故郷の北陸の古都から 
ひとりで背負ってきたものだった
一緒に背 ....
売れ筋の人生論の本にある
「30代でやっておくべきこと」という言葉の裏には
「20代でやっておくべきこと」がある
「20代でやっておくべきこと」という言葉の裏には
「10代でやっておく ....
なけなしのお金をはたいて
選挙権を買った
一番かわいいと思う女の子に
一票を投じた

結果発表はテレビ放映された
もちろん かじりついた
名前を書いた女の子が
トップで当 ....
知り合いが
旅行のお土産を見せてくれた
腰のカーブが柔和で
咲き誇る冬牡丹があでやかな
九谷焼の小瓶だった
手のひらに載るぐらいの小ささだけども
存在感ははっとするほどで
 ....
わたしの名前は 今井麻依(いまいまい)
人事異動でやってきた 戸田貞人(とださだと)さんとの出会いは
月並みだけど運命としか言いようがなかった
嵐の日々も 酷暑の日々も 秋霜の日々も  
仮に ....
ただ 紺 としか言いようのない色の
ベニヤのようなうすっぺらい壁面の上に
サビだらけのトタン屋根がふわりと乗っけられている
建物そのものが 甘く針金で結わえられて
地球の上に ふわりと ....
古い連れに暴走族の集会に来いと誘われた
面白そうだから行ってみた
古い連れは十五の夜にバイクを盗み 補導された
僕は十五の夜に 他人の物は盗めそうになかったから
親父のワープロを盗んだ ....
憲法記念日に
僕は床を磨いた
ブルーハーツを聴きながら
せっせと床を磨いた

日本列島という
案外と大きな床も
そろそろきちんと磨く頃だったろう
佳しなはどこまでも 佳し ....
深緑まぶしい首都に
パレードの列が続く
国旗を振って喝采を叫び
国歌を高らかに朗じながら
パレードの列が続く

薄曇から時々日の差す首都に
パレードの列が続く
聖典を読む ....
我が国の
女は 懐胎を知ると
結わえられた何本もの糸が ぶちぶちと
引きちぎられていくのがわかる
やがて 星型をした陽だまりを我が手に抱き上げ
母となる喜びを知るのもつかの間
 ....
あの子にもらった 最初のメール
携帯電話を鞄の奥深くに沈めて
鞄を膝の上で固く抱きかかえて
午後十一時過ぎの 快速列車にもたれる

子供の頃に
家族みんなで大阪で遊んだときの   ....
兵隊さんは 戦った
鉄砲 シャベルに 持ち替えて
戦車を ユンボに 乗り換えて
瓦礫の山と 戦った
缶詰 乾パン かじりつつ
野戦テントで 仮眠して
泥深き野を 駆け回り
 ....
向こうで あなたが 
微笑みを浮かべていても
直ちに影響はないけども
そのたびごとに
僕には花の種が撒かれて
そしていつか
広々とした花畑ができる

向こうで あなたが  ....
朝早く起きて背筋を伸ばし
人の嫌がる重荷を背負い
嫌味にも笑顔で応えて
困難にすら感謝して生きる

あいつはいいやつだな 
一言目には みんなの口から出る
でも ただそれだけ ....
止まったままの 時がある
針が曲がってベルトをなくした
金時計の中に
とどまっている

休まず刻んだ針が
不意に歩みを止めた
大地の奥深くから轟音が猛然と駆け上がり
アス ....
魚(とと)屋の裏の
軒先伝い
いつもの三毛が
銀渋屋根から
三軒向かいの
土蔵の屋根まで
尻尾引きずり
のそりのそり

土蔵の屋根は
少し高くて
いつもはそこ ....
京(みやこ)の雪は
帰省の翌日
天気予報にあったとはいえ
数年来の大雪で
暮れの街が大混乱
テレビのニュースでのみ見る
京の冬らしい姿に
立ち会えなかった

呑んでは ....
晴れの日を迎えたふたり
彩る花は 少し数が少なかったけど
補って有り余る仲間達が
若いふたりの前に 代わる代わる現れては
シャンパングラスに 祝福を注いだ
まだ 始まったばかりなの ....
日本製の電化製品?
別にいらないよ
電化製品なら
ウチでいくらでも作れる

日本製の車?
別にいらないよ
車ぐらいなら
ウチでいくらでも作れる

日本製のファッション?
別にいら ....
落ち着かない ざわめきばかりの都会(まち)に
今年も また クリスマスがやってきた
しけた ビル街の 四辻に出来た吹き溜まりから
流れる イルミネージョン 眺めてひとつ 吐息する

 ....
新興住宅街 新興住宅街 俺は大っ嫌いだ
見通しがいい 見通しがいい やたらと見通しがいい
人影がねぇ 人影がねぇ 昼間は人の臭いがねぇ
公園から続く 緩やかな坂道
バットを担いで 自転車乗った ....
日本人は
源氏物語を禽獣の所業とは言わない
日本人は
赤穂浪士をテロリストとは言わない

日本人にも思想というのは
一応 存在はするのだけども
思想が規範となることは
原 ....
なごやかな席で
「あのときは大変だったねえ」 と
しみじみと 目を細めて振り返る くるしみは
あなたがあなたゆえに 与えられたものであって
それは言い換えれば権利に等しいものだ
故 ....
終わりの見えない森の
奥の奥の方に
澄んだ水を湛えた泉があって
木漏れ日が緩やかに落ちる中に
光を放つ石がひとつ沈んでいた

分け入って 分け入ってたどり着いた少年が
泉の中に精一杯手を ....
yumekyo(48)
タイトル カテゴリ Point 日付
フネ自由詩211/8/17 22:34
雲の立つ自由詩3*11/8/7 10:05
若者自由詩2*11/7/30 23:26
お日さま色の猫自由詩8*11/7/25 23:40
俺の空自由詩5*11/7/24 23:15
自由詩4*11/7/23 22:21
最愛自由詩4*11/6/13 23:42
影踏み遊び自由詩6*11/6/11 23:14
総選挙自由詩2*11/6/10 23:45
小瓶自由詩3*11/6/7 22:38
マリッジブルー自由詩2*11/6/4 1:32
あまみずの 水化粧自由詩10+*11/5/31 21:16
キレイゴト自由詩3*11/5/15 15:58
憲法記念日自由詩3*11/5/3 18:27
パレード自由詩1*11/5/3 18:24
parents fascism自由詩111/5/1 22:18
夜行自由詩211/4/26 0:05
兵隊さん自由詩211/4/6 22:58
ただちに影響はない自由詩411/4/3 23:57
灯火(あかり)自由詩511/3/3 23:41
なゐ自由詩1011/1/24 0:05
三毛猫自由詩511/1/15 0:28
綾(あや)自由詩11*11/1/8 22:59
貯金自由詩310/12/28 1:26
中国様のお買い物自由詩3*10/12/23 14:56
当たり前のクリスマス自由詩7*10/12/21 22:40
旅路の果て自由詩510/12/20 23:34
1214 討入の日の夜に自由詩4*10/12/14 23:37
くるしみ自由詩7*10/12/4 1:11
御伽噺自由詩2*10/12/2 22:52

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