あなたの無言は
あなたの背骨を通って
わたしの角膜を刺激する
まな板の上で切り刻まれる玉葱が
まるであなたのようで
思わず手を止める
せめて責め ....
なにごとにも正直でありたい
その気持ちに真正面から向き合うと
わたしはまず真っ先に
姉の子供が不美人であることを
告白しなければならなくなる
矛盾や横暴を背負う
小学生 ....
陥没した心の中でくだを巻く
ある程度成長をすると
人は途端に行き詰るのか
岐路という岐路を乗り越えて
果てていくならば
出来る限り穏や ....
充足させるけれど
後腐れない
都合のいい場所には
都合のいい関係が出来上がる
手と手を取り合って行く
吉祥寺あたりのラブホテル
目指していた楽園も
朝にな ....
共有出来ない秘密があれば
知らないことは減ってはいかない
誰かを傷つけないための嘘であれば
共有出来ないのも当たり前
秘密を隠すための嘘や
嘘を秘密にする真意 ....
昨日まで屋根が崩れ落ちそうな
廃屋があった場所が
今日は空き地になっていた
祖母が住んでいた石川のあの家も
父が建てた仙台のあの家も
今は私たちではない誰 ....
夢中になるのも
手放すのも
いつもいつの間にか
だからこの場所にいることに
必然や偶然を思わせる理由はなく
1年後もあなたとわたしは
わざわざ確認せずとも
き ....
あの空に降ったのは
雪だったか、雨だったか
それはもう遠い昔のこと
だれかと手を繋いで
河川敷で空を見ていた
ただ何となく見ているだけで
そこに鳥はいなかっ ....
なるべく
わざとらしくないように
コートの襟を整えながら
誰でもないきみを待っていて
少しだけ小走りで
誰でもないぼくに駆け寄って来る
帰り道をひとりじめ
....
不思議ね、
悲しいことは平等なのに
嬉しいことは不平等
優劣が避けられない
年齢を重ねても
自然と大人にもなれないし
誰にも優しくなれないの
ただ道を歩いているだ ....
宇宙の真ん中で砕けた石が
杉並区を直撃すれば
わたしは死ぬ
だからあなたを救えない
運ばれたキール・ロワイヤルの中に
毒が混ぜてあっても
わたしは見分けがつ ....
私たちは耳打ちをするように
果たせない約束をして
背中越しに指切りをする
誰にも言えない思いの
完璧な答えは
それぞれの傍らに這いつくばっている
& ....
時々、人の目を臆することなく
甘えてみたくなる
鼻をあなたの背中に押し付けて
思いっきり
人の匂いを吸い込んでみたくなる
ひなたに寝転んで
雲の形に一喜 ....
私の隣
右腕がほんの少し
触れる距離
胸をくすぐる
その意外性や
時々見せる、悪い顔
手帳に並ぶ
今日のあなたの靴下の色
一昨日はグ ....
気が向いた時にだけ
分け与えられるビスケットは
とりわけ甘いことを知っているからか
三文小説のような歯の浮く台詞で
多少の喜びも味あわせてくれない
医者と ....
人を愛する恐ろしさ
それは太陽の日差しに負けず
走り続けるランナーのようで
粘り強く、重い
あなたはそれを与えられ
求めることを強要される
ごめんねと頭 ....
交錯してはじけ飛ぶ
星と星が互いを結び合っても
会いたい人に会えないのは通例
国土は狭い
されど東京は広い
偶像や願望を石に見立てて
斜 ....
練り香水の種類が増えるのは
誰のせいでもない
ただ私があなたに気付かれたいと
簡潔に言えば
そういうこと
あなたの視線が横切る
無作為に ....
月が私を見てる
あなたが月を見てる
私はあなたを見てる
奇妙な三角関係
猫が横切る
白いソファーに寝転んで、
あくび
静か過ぎる
日付が変わるま ....
たいていの嘘に理由はないので
存在しない自由に絡まるのは
あなたの残したアンダーヘアぐらい
生きることの基本にもっと忠実だったら
楽になれるのかしら
....
腹の中で成熟する生き物は
愛おしさと脅威に満ちて
その者たちの全てを
いとも簡単に奪ってしまうのだ
私は知っている
愛情を踏みつけるという行為は
....
神様を信じていたのは
私が実に4歳の頃
親の見栄と意地で入れられた
白人がうろつく幼稚舎で
馬に乗せられ、ピンクのドレスを着せられ
ミンチン先生のようなマニュアル教師に
と ....
見て、見ぬふり
敢えて、口にしない
知っているけれど、知らぬ顔
なんて静かな世界なのでしょう
今日もとても平和です。
その大地に立った時、私達には理由があった
けれど、その理由はまるで仮初のような
良く言えば柔らかく、形のないものだった
ただ深く、ただ青いだけの私が乗る
ゆらゆらと揺れ ....
指を折り数えた
波がない
気付き難いしあわせ
遠い場所に行けば
すぐに人は見えなくなり
空はもっと遠い
ふてくされた約束を
取り戻す
からくりのない場所で
....
青白い空に浮かぶ月は
境界線を見つけられないまま佇んで
何処ともなく
向き合わずに消えて行く
酷くひっそりと
動き始めた世田谷
バナルじゃな ....
燃える空は急かせない
そこに生まれる黒い鳥
連れ去るもの
連れ去られるもの
何もかもを後ろ背に
窓辺からのささやかな風が
ゆっく ....
理論的な彼と感情的な彼女の奇妙な毎日は、
ある意味婚姻関係という圧力で結ばれている。
面白いとは面白くないの裏返しで
面白くないは面白いの裏返しであるという
....
人から人へ渡す問題は
根本の涙を簡単に片付ける
大きな欠片が手垢でこすれて
小さな小さな石ころになって
最終的には影際に追いやられてしまう
日々の課題が見 ....
あの風に乗って
君に届くといい
愛しているという
事実ではなくて
こんなにも愛しいという
ただの感情が
何者にも混ざらないで
ただただ
届くといいのに
....
1 2 3
0.19sec.