思い出はお金では買えない
そんなの嘘だね
君と異国での思い出が欲しかった僕は
うどんをすすりながら
旅番組を見て羨んでいるこの夜に
愛情はお金では示されない
そんなの嘘だね
言葉だけ ....
私は殺されたい
あなたのこの尊い気配の
寿命がいつか果てるのを
恐々としながら
夜を明かすくらいなら
何もかもやがて衰え
劣化しながら滅んでゆくのが
私にはくるおしい
命が、
風 ....
さようなら、
夏の日の空のした
遠く旅立つ君の後ろ姿に。
何度もさようならを
繰り返してきたけれど、
このさようならが最後なんだね。
いつか、また会える日があるなら
馬鹿みたいな一言を言 ....
夜の遠くから
僕を引き寄せる引力が
静かなおしゃべりのようで
ひとりぼっちの空に誘い出す
誰もいないはずの
夜の遠くへ
メッセージを僕は返信している
夜の遠くから
ほんのりと吹 ....
開きかけた、その唇の奥の闇の中に
あなたは何を押し止めたのだろう
流星群を期待してベランダで見上げた夜空の下で
私は見つけられなかったね、と
それしか言えなかった
夏の湿り気をおびた ....
あなたは誰になろうとしてるのか
振る舞いに他人を感じる時がある
あなたに与えられた名前
その意味をさぐるように
敬愛をこめて、あなたを呼びたい
素のままのあなたを
あなたは誰にな ....
薄雲る空のおかげで
暑さもほどよい今日の昼下がりに
僕はリルケを買いにくり出した
風はゆるやかに吹いて
立ち枯れる紫陽花の儚さに
詩のような匂いを吸いながら
夏は光の浸透を細や ....
俺はくしゃみをする
人混みのなかで誰も気付かない
ひっそりと雲の間に間に
太陽だけが俺をみてる
それは確かに沈黙に語りながら
俺はあくびをする
退屈な演説の聴衆の中で ....
このまま
私は朝日を記憶して
今朝のコーンスープを味わい
日差しをスペクトルに縁取る
一杯の水に潤いながら
このまま
私は子供たちのこだまする
無邪気な朝の空気を吸い
街路 ....
僕は遠い昔に生まれ
すでに死んでいてしまいたかったな
神話は失なわれ
青空はなんにもない
空虚な哀しみに
剥げ落ちてしまった
今日の空を見上げると
夜の美しい闇も
ざわめきのライト ....
何だかしくしくと
両手がさみしくてしかたない
ずっと手に馴染んだ鞄を
どこかに置き忘れてしまった時から
どこに置き忘れたのかも思いだせない
ゆらゆらと漂う霧のように
ぼんやりと ....
深夜の地球はよく見えるから
光の一筋で弧を描いて
じっと待ってる
ここへ降りておいでよ
見知らぬ神様
真昼の地球はキラキラし過ぎて
僕の居場所が紛れちゃうけど
ひとりぼっ ....
失われてゆくのは
流れ去る時だけではない
人の姿も知らぬ間に失われてゆく
まるで風の吹き抜けてゆくかのように
私の目の前にあなたがいることに
慣れすぎてしまっているから
....
ふっと
名前を消失してしまっていた
空の真ん中に視線を
漂わせていると
風が舞い上がる一瞬の間に
重力に括り繋がれていると
名前さえ肩に重い日がある
真っさらな空への
ひとひら ....
寂しさのあまりに
祈りたくなる
夜空の朧げな雲が
誰のためでもなく消えて行くのを
見つめていると
なんだか帰るあてもなく
どこまでも道が続いてゆくようで
騒ぎすぎたあまりに
祈 ....
この命は
何度目の命だろう
輪廻を繰り返しているのなら
干からびた海馬を
海に帰せば
思い出せるだろうか…
あなたとの出会いは
何度目かの再会かもしれない
縁と言うものに繋 ....
「 」
無言が心地いい
こんな雨の夜には
余計な音はいらない
閉ざされた部屋は
雨に流動されながら
箱舟のように
境を揺らぐ
だんまりと
時はつらなる
記憶が ....
朝が
着替えたての空気で
おはようを言う
駆け抜ける風に
またがりながら
颯爽と
何だかうれしいね
恥ずかしがりの窓に
朝がきた
赤く染まりながら
朝に連れられ ....
伝えたいことが
沢山ありすぎて
どうでもいい事ばかりが
出てきてしまう
いつか偶然に
会うことがあったなら
もっと気楽に話せると
思っていたのに
冬の終わりを待つこともなく
....
夕暮れに雑踏の影が行き交う
ビルの窓に
バスの車窓に
黄昏れの輝きが溢れだす
すれ違う人の視界にも
夕暮れの雑踏の影に紛れて
何だか行く先を忘れてしまったよ
そっと見上げていたら
....
カーテンごしに
季節の光りが
まだ眠い瞼をひらかせる
毛布にくるまりながら
仄めく始まりに
今朝の最初の深呼吸をする
窓をあけると
冬の空気に空は澄んでいる
日 ....
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