歪んだ視界を矯正するために 頭蓋に埋葬したチタンのボルト 冬が息を潜めたら ほじくりかえして 人肌で溶解させ
かたどった指輪 焦燥のにおいがする
(着払いで送ります)
部屋にはカーテンがなか ....
抗生物質のかたまりがカテーテルの空どうを密(み)たし ゆつくりと圧(お)し はいつてくる 音のようなもの 実感めいたもの 午前3時
ペンチで爪をはがれた老ばの 叫び声をきいたような きいていない ....
なべを煮詰めるじかん 不安で しぬじかん わたしは不安で
人工甘味料はわたしを疲弊させミミズはぜんどう運動にあきて
粘土のような空はむなしく 不登校児のからっぽの机のようで
湧水にの ....
関節をつなぐ潤滑油にはざらざらとひっ掻く黒砂糖がすべり、
じゅくした筋肉は冬のかわいた舌をもりあげ、
骨はすき間をありし日のミルクでみたす。
なついた野良犬に鼻をあま噛みされるよ ....
白髪ビン底めがねの厨房はきたなく はうつたは茶色く粘としていて カウンターにきりたつ壁のむこうは
ブラックボックスなんだ どんな方程式でもって 死化粧をほどこすのだろう
あら くろいのよ ....
捨てられた孤島の美術館を支える大理石の柱の気丈さ
黒くつつまれた肌は梅雨の泡立つため息をかたくなに拒み
妖しい香の静けさはシベリアの狡知を委縮させた わが世の春 素晴らしき家庭菜園
....
撲殺された梅雨はあわれ、道連れに死んだ少年はあわれ
灰色の涙がたまってできた池で少年は死んだ、塩素のにおいのする蚊が飛び交った
マザーは胃をバケツにして、黒くながい髪をスポンジにして、もく ....
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