わたしが子供だったころ
誰かと一緒に居たいと願ったのは
寂しさからだった。
今わたしは寂しくはないのに
あなたと一緒にいたいと願っている。

私たちがみんなまだ小さかったころ
もっとたく ....
彼らは死に慣れてしまった。だが
校庭で炊いた焚火に身体を当て、燃え上がる
湿った潮風が鼻を擽る中で心が揺れた時、死そのものが、
何故生きているのか問い掛けてくる。彼らは死に祈りを捧げた、

 ....
かいすいのなかのつぶは
ひとつとしておぼれてはいない



小さな子供が、星の矢に射られ、
浜辺の町の大人が、
空を向いて祈り始めた、

(その間にも子供の胸は砕かれ、
背 ....
わたしはもう本当に眠りたいんです。お母さん、あなたはまだ湿った布団で眠っていますか。えいえんを手放してしまいました。えいえんが狭すぎるから。血を流さなくても痛いのに血の流れる描写だけが流れていきます。 .... 飢えた。中身が蒸発して底にこびり付いた消化不良のカスが、見える。水ではちっとも、うるけない。親指の皮に見えるカスが胃に張り付いていてピロリ菌も息が、出来ない。消化不良。消化不良で飢えた。飢えは続い .... OTOKO
この奪われた町には、もう本当になにも残っていないのさ。ああ、巷ではそれをサードインパクト、学者の連中はね、シンだって噂している。もし、悲しみや喜びが、実際にいるって言うなら信じるよ。 ....
土は乾いていて、サラサラと。
女の手より柔らかい風が、表面を削っていた。
粒と粒が懸命に腕組みをしている。
もう少し湿った深い所は、虫の墓場であった。
背中を下にして、動いているカナブン、
 ....
オホホホホホ、
マアこんな時間だワ!
帰らなくっちゃ
帰らなくっちゃ
帰らなくっちゃ

日焼けした夫が
冬になる前の、今日のような、
黄色い夕方に、
うんと、沢山の、
栗やら、芋、 ....
母に盗られた心臓を
奪い返そうと
鋭い刃の青春を掴み
わなわなと震える声で
もう愛してください
もう愛してくださいと
猛暑日に冷たい汗を流して
泣きついている
その腕は簡単に解かれ
 ....
アハアハアハアハ
人間ったら
夏は暑い暑いって
毎年繰り返していやね
そのうちまた
冬は寒い寒いって
騒ぎ立てるのよ
飽きもせずに
繰り返し繰り返し
アハアハアハアハ
繰り返し ....
トンネルを走る車が
滲んでは跳ねかえりながら
そこに胎動を生み出しては
ただ次々に表れる安堵
耳はそれだけを聞いていたい
反響したエンジンの音が
体の端にしがみついている

臍から ....
三途の川が、氾濫する程の、
雨が、
家やら船やらを、
あの世へ送っていく、
人間は、何で渡るのかしら、
木が折れる、雨で
骨が、折れる
土が転がる、雨で
息が、転がる
自然が自然 ....
眠る隣人、
或は起きている隣人、
大体は同じように生きて、
人間を取り巻いた朝が、
いよいよ始まる
もっとも盲目的な自由へ
順番に抜けていく魂、
もの言うことなく開かれた
濃厚とさえ呼 ....
また泣くのか
また泣くのかと
母が問う

今日こそは泣くまいと
幼い私は唇を噛む
妹が隣で笑っている

痩せた身体には
いくつもの痣
それというのは母が
私のことを嫌いだった ....
千代千代と鳥が鳴く。冬には朱色だった夕方がもはや黄色である。子宮が死んだ。かの様な月がまだ暮れない空に浮かぶ。女。隣に住む奥さんが産まれたばかりの赤子を連れて庭園散歩から帰って来た。其れを見た女は .... 熱の少ない太陽が顔を照らし
濃い色をした海が
波の音もせずにサヨリの群れを映す
バケツに汲んだ海に
人差指を入れて吸いあげて
塩の味を確かめるのが好きだった
いつもより濃い人差指が
 ....
星星の会話 インターネットの戯曲

新‐いたずらに過去を追うべきでなく
新‐またいたずらに未来に憧れるべきではない
A‐(入室)
新‐覚えていますか?
新‐過去の理想も未来の理想も三世なり ....
大人が泣くのは、
羽根が生えたからだろうか。



少女だった私は、ピンクの空を眺めながら、右手で頬杖をついてコーヒーが冷めるのを待っていた。夏から秋に変わる黄色の夕方が終わって、少し夏に戻 ....
孤独のうちに
倦怠があらわれる

寝た子を起こすように
揺さぶられるあちこちの
色の白い悲しみが
溶けだしては染み入る
墨色だろうとか
下水だろうとか
ついぞそんな色の悲しみを
 ....
鬼には非ず
母の背に
握りこぶしを
つくりて仕舞う
ズーズクズーズ
ズーズクズーズ
ズーズクズーズと鳴く夜に

光る原っぱ飛ばずにおいで

ズーズクズーズ
ズーズクズーズ
ズーズクズーズと鳴く夜に

沈まぬ池から昇っておいで
 ....
腹が鳴っていた
腹が鳴っていた
私は舌舐めずりして
昔から知っていた通り
指先を剣にして
そうやって人を
刺していたのだ

腹が鳴っていた
腹が鳴っていた
死んだ人はちっとも
 ....
悲しみは蒸発する。
悲しみは乾いた空気に弱い。
悲しみは降る。
雨のように。
雪のように。
悲しみは太陽で乾く。
そして空気の中に溶け込む。
悲しみは降る。
水が繰り返し降るように ....
パンツの上から
下半身の匂いを嗅いで
一日の終わりを
ゆっくりと感じるのでした
仁王立ちの尻に押し付けられ
わざと熱くなるように
息をかけてやります
まるでケロロ軍曹のような尻は
 ....
戦うために、
青年は武器を持つ、
背中には、
十字架を負う、
張りつけられてはじめて、
罪となる誰かの、
背中に乗せられた、
たった一つの都市すら
発する言葉を
失ってしまった
 ....
夜の国分町の道路は汚くて/ヒールを履かないと歩けない/アルコホールより/香水の匂いがしている/香水よりもタバコの匂いがしている/前を歩く人を/見失うような道ではないのに/◆/◆/◆/黒い点になって .... 朝早くのまだ太陽が有頂天でない時刻に、New zealandの片田舎の都会。裏路地の階段の下に住んでいる少年、足の裏が靴の底よりかたいのよ、サンダルを盗んでいったらいいんだ。虹色に騒がれた名画のよ .... 酔っ払った言葉に
含まれる独特の
熱を持ったアルコールが
次々と、
次々と次々と、
虚ろな目を横に
動かしていく
眠り込むあたりに
こぼれ落ちてしまう
転がる目玉を踏まないようにと
 ....
赤紙が家に貼られている
眇の老人が萎れた体を斜めに
ぽつねんと家を見詰めていた
少し離れた泥溜に立って
観察する事にした
男は死んだ祖父に似ていて
木から彫り起こしたかの様な
固く艶 ....
頬を殴ったのに
許された
私も母に似て
生きていくのか
殴られた男が
私の肩を抱く
力強く
殴った頬は赤く腫れ
力強く
私の体が腫れる
まだ生まれてもいない腹の中で
小さかっ ....
長押 新(55)
タイトル カテゴリ Point 日付
小さな手自由詩1*12/5/5 13:46
瞳に映る記憶自由詩8*12/5/4 19:03
砂浜の奥で自由詩7*12/5/4 11:11
見ている自由詩2*12/3/1 19:38
吾郎自由詩4*11/12/8 19:57
濡れた土地自由詩1*11/12/1 16:52
皿に乗せられた自由詩2*11/12/1 13:45
夫の夏自由詩0*11/11/25 18:49
二十一歳の夏自由詩3*11/11/23 20:48
鈴虫の会話自由詩0*11/11/23 17:02
前夜自由詩1*11/11/20 13:33
水害自由詩011/11/13 16:50
Sendai Huyu自由詩1*11/11/12 18:20
畜生自由詩1*11/11/3 13:39
嫉妬自由詩3*11/11/1 10:25
サヨリ美人自由詩3*11/10/24 20:29
星星の会話 インターネットの戯曲自由詩1*11/10/24 14:31
エンジェル自由詩0*11/9/26 20:40
夜更け自由詩0*11/9/23 19:30
自由詩1*11/9/13 20:52
時間通りに夜自由詩3*11/9/4 19:09
空腹殺人自由詩1*11/9/1 15:06
悲しみの行方自由詩1*11/8/30 19:34
毛の生えた尻自由詩1*11/8/29 10:44
武器を手にする自由詩0*11/8/28 18:40
天の川を踏みながら自由詩2*11/8/20 19:37
1872年 足の裏自由詩2*11/8/12 14:57
祝杯自由詩2*11/8/11 19:46
或男の家自由詩1*11/8/9 18:57
畏怖自由詩1*11/8/6 18:16

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