じいちゃんが
死んで
棺桶に入れられた顔を
じっとみては
安心していたけれど
触ってみる気には
なれなかった

じいちゃんを
火で焼いて
消す
ひどく惨い
ごおごおと
火 ....
観覧車が太陽と同じ様に空にへばり付いている。観覧車、観覧車の籠が、観覧車の車輪状の手足が、回転している。
辺りは太陽が燻っているかの様な厭な匂いがする。或はオレンジ空にありありと浮かぶ籠が燃えた後な ....
数学の教科書の端に
赤ん坊と女の子の絵を書いた
学校に通っていたころ
妊娠して学校を辞めた女の子が
頭の中を通ったみたいだった
次の日になって頁をめくると
白い女が赤ん坊を抱いて
昨 ....
地で眠り喰うかと思えば
鳥は空へ飛び込み
青々しい高みから
丸く形作られた眼光を
背骨が美しい私たちに
じっとりと向ける
その眼は私のそれと似て
真っすぐに輪を描く
土臭さを背負い ....
私は流木だった
唇の皹の上に小鳥がとまり
眠っている瞳を開けようと歌う
そして愛着のある皮膚を
剥ぎ取っていってしまう
もうわたしではない唇
しがみつく砂の粒を
数えているところだっ ....
言葉の中を泳いでいた。
やがて小さな言葉に行くほかなくなった。
そこに潜り込まねばならず、感覚でしかないが引き寄せられたのち、言葉は残らず去ってしまった。
目を覚ますと、それでまた言葉の海が ....
汚れている
唾から、
細菌が見つかる
手の平に、
零れ落ちる
ほろほろと役立たずに
いびつな皮膚が、
落っこちている
ふやけて出来た凹凸が
小腸の柔毛のように
吸収している
 ....
この海
この冬の海
あの時は夏の海

友人の死を悲しむまま
私の真夜中に車が走って行った
ヤンキーと私たちだけが
盆の海の駐車場に座っていた
彼女だけは遠くを見るように
立ったま ....
ゆれうごいては
もがいていた死人が
たしかにわたしだった
となりでふるえているだれかが
だれなのかさえしれない
くるしい、
くるしいとうなだれて
はげしくおうとした
なつのあつさがじり ....
ふらふらした夏が
わたしのもとから去るのが
非道く恐ろしかった
土下座をしても
夏はここに居座るでもなく
まさかそれで
わたしは土下座もできず
真上に吐いた唾にあたる
まぬけなもの ....
匂いで誰なのか解るから
目をつむってでも歩ける街中を
ふらつきながら皆で歩いて
出来損ないのボツコレが集まっては
それぞれに

それぞれに煙草を吸うから
誰がどいつだか
解らなくな ....
燃えはじめていた曲線が
少しずつぶれ
カーブでころっと転倒した原付き
キョトンと路上に突っ伏して
ケラケラ笑っていられた
小遣い程度の稼ぎを握りしめて
水が欲しいと騒いでいた

夜 ....
突き刺さった杭の代わりに、あなたたちのその細い骨が刺される。
まだ墓ではない。
杭のために動くことが出来ずに、頭と口を交互に動かしながら、わたしはいた。
水槽に沈められたり、瓶に閉じ込められ ....
女は
口汚く
男を罵っている

酒のいきおいか
それは
女の本心か

しなやかな体つきとは
反して
雨が降った後の

コンクリートのように
舐め上げたら
舌から血が流れ ....
朝からチョークで
線を引いていた
家にチョークで
線を引いていた
夜に引いた線が
触れられたり踏まれたりして
薄く消えかかっていたからだった
ぴょんと飛び越えたり
軽く跨いだりして ....
放射能浴びて死のうかのう
農家と漁師が呟いている
農家も酪農家も
放射能で死ぬ前に
自ら命を絶った
あの地震生き抜いて
死んだ
あんなにも抱き合い
命をも
抱き合い
優しさ ....
神の手が、空の光りをも覆い隠す神の手が、日本の空を隠した時には誰も気がつかず、あるいは日本人特有の気質のためか、誰も神の手を口にしないうちに、その手は日本を越え、ひとつの海に浸し、海面を撫でるよう .... あなたではない、友達がいます。
そんな当たり前のことを口にすると、彼は手の平でわたしを見るかのようにそっと近づけて、近づけた手の平をそっと引っ込めました。誰でもそんなことを言われたら、さみしくな ....
トラックが
女の子を後輪で
柔らかく轢いていくのを
交差点にいる
私たちは
あちこちにある
空のせいにしようと
縫うように歩くのだ
信号を見失って
瞬きを繰り返す
そのまま目を ....
働きもしないのに
飯を食うのは卑しいだろうと
箸を持つことが出来ない
胃袋の中身が空であっても
そこには模倣する
数々の碑が立ち並ぶ
体ごと全部閉じ込めて
おくべきだったと今も念 ....
それにしても悲しみを表にださないから
日に当たって涙が乾くこともないんだ

どんよりとした空気の中
咲く一輪に癒されるような
これはその花の内面に直結している
一、
君はすでにその時、落としていたんだよ、君の、愛ってやつを。店員は私の顔を覗き込んで、少しいらいらして言った。私と店員はごみ箱に落とした万年筆を、閉店後に探さなければならなかった。私の愛 ....
息を吐きながら
ようようと私を呼ぶ
大人の群れが
次々と
私の肩に触れる
大人たちの手は
水槽からはい出たのか
冷たく染み込み
オディロンの絵から
生え現れたのか
内奥のほうに ....
平らな川に
風が夢見る
どちらが上流で下流なので
しょうか

細かな波音が
聞こえるくらい傍にいても
それはわからぬのでした
祖先の祟りが身体の中で眠っている。彼らを眠らせるために薬を飲み、その副作用で唾液を口に溜め込みながら、草原のなかに立たされている。草原はホテルの隙間に現れる、古い虚構の中に置かれた、アメリカの地雷 ....
長押 新(55)
タイトル カテゴリ Point 日付
焼骨の埋葬自由詩4*11/8/2 22:55
観覧車自由詩1*11/7/31 20:54
I am “I am”自由詩3*11/7/26 9:10
空を切るように自由詩1*11/7/22 10:29
自由詩3+*11/7/21 18:24
The eternity is on the stove.自由詩1*11/7/20 19:22
赤々と汚れている自由詩1*11/7/18 20:39
二十歳の夏自由詩1*11/7/17 8:54
十九歳の夏自由詩3*11/7/15 9:49
十八歳の夏自由詩2*11/7/13 20:12
十七歳の夏自由詩1*11/7/13 10:31
十六歳の夏自由詩1*11/7/11 12:35
杭と碑自由詩2*11/7/9 9:32
自由詩3*11/7/8 13:37
チョーク自由詩4*11/7/4 15:50
座る自由詩4*11/7/3 15:20
シー自由詩1*11/7/2 13:48
木々の家々自由詩4*11/6/30 15:09
クラクション自由詩2*11/6/29 12:20
少女でなく女自由詩4*11/6/27 13:10
一輪と自由詩3*11/6/26 12:43
レシートと店員自由詩4*11/6/24 20:34
髪が抜け落ちる自由詩2*11/6/23 20:07
リバーという川自由詩1*11/6/22 20:03
失楽園自由詩3*11/6/21 18:29

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