サルビアの女よ 朱い唇を震わせ
何故なんだ 白い手で泥を掬う
指先から零れる同罪をある男と結び合わせてしまった頃
ああ 春雷は鳴りやまない
風呂場で雷光の白さに白昼夢を見ているその心臓 ....
君の髪の毛の隙間から声がする
ズズズズと浮き沈みを繰り返す声
その声はいずれこの部屋の
貧弱な空気を独占し
ぼくの穴だらけな肌の上に
優しく付着しようとした
部屋の隅と隅とで向かい ....
水色の陽射しが降る 浴槽に
14歳の夏の終わりを浸して
青いと 吹き渡る 風の音色
わずかな力で笑っている
白い馬に乗って どこへ行こう
....
男のあらゆるポケットに
忘れ物を入れておきました
夏の
塩辛い
木漏れ日の
青と
星臭い
銀粉と
羽根の生えた
さくらんぼの風景を
ひとつずつ
乾かないように
驚い ....
頬を撫でる男の手は熱い影でできていて
影ってゆく白い女の左頬を震えた手で包んだ
歓びのあまり震えが止まらなくなると
月の女は夜空に幾千の氷菓子を抱きかかえ
男を待ち焦がれているというのに
....
景色は遠ざかり鋭くわたしの心臓あたりを逆撫でる
ブルーグラスという熱帯魚みたいに
紅い美醜を纏って
三角の空をながめている気分
ミントグリーンの空気
浮つく不揃いの恋人達が
汽笛を ....
水の足音が咲いている
うすむらさきの薫りを纏った浴室
雨が降っている
小瓶のなかで鳩が飛んでいる
シャンパンの気泡を眺めている
雨が降っている ....
レモンあじの ドロップ 空にきえた それでも青い鳥は唄いつづけている
ギンガムチェックはみどり 黒いニットキャップの男は氷を口に含んで車を走らせた
赤毛のルルは今日も刺繍でマーガレットと四葉のクロ ....
ぐうるり 見渡したら
ガラスのからすが飛んでいた
星のオルゴールうごきだした
ひつじ大喜び
捨てられたぬいぐるみ ルル
お利口さんだったのに
だったのに
ゴミ捨て場からてくてく ....
あのひとは青葉だと思います。
風に揺られ時には風にも乗りそれはとてもとても果てしない場所で
息吹きをわたのところへ届けてくれるのです。
無数の冷たい水色の光りは瞳の裏をすり抜け心底へとゆっくり降 ....
彼は大ぐち開け森の燃える音を食べた
銀のスプーンで掬って葉が浸み込んだ
悲しみの調が喉で喜んでいるようだった
開放の叫びが聞こえてくる
私は鳥を好きな場所へ逃げるようにと自由を放った
....
あの落日から二週間が過ぎようとしていた。
世界は赤黒く終わってゆく気がする。
生まれたての純潔な血液
赤子の産声
母の微笑みはあの
深いオレンジに似ている
全てが許されたような
顔つきで ....
そこは儚い
青い微熱 うつぶせの日記
ぼくの息づかいったら こんなにも 儚い
三つめの春が 言葉もなしに やって来るってね
だれもしらないよ
宇宙の ....
水 海がガラス越し燃え上がって落下している
silverland
風がひかりお前の鎖骨にけだるいキスの雨
飛んできえたギリシアの星にけぶる声
そいつらは大喜びしている
私 ....
水が溶け合う
女は悲しげに海へ帰りました
貝殻を拾い上げ
訝しげそうにこう云います
「あなたの愛はもう飛び立ってしまったのかしら」
瞳をとじ 月夜を泳ぎ
白い箱舟 ....
おまえの魂は月光が迸る
碧の烈火であろう
古の名を吼えている熱情の
その喉仏に銀のナイフを握る
その手の痺れに 月が無邪気に笑う
大樹の影はざわざわ踊り ....
鋏をカチカチ
うごめくカマキリ娘
夏にやられて
干乾びた脱け殻
通り眼三センチ
うなだれた電線に
三拍子音符を刻みましょう
晴天日和
丸裸で記憶咲かし
毛虫のブローチしたら
....
僕は皮膚の内側が
赤く錆び
その欠片が1つ落ちるまでは何もしないでいたい
そうしたら
透明になってゆく血液と漣の色を覚えて
ひたすら画家になった
気分で文字をカサカサと描いてみる
....
水色の残像
音響と臓器
独り歩き
輪郭を辿って
わたしの腕は
真空の中の
宙を這う
イノセンス
無色透明?
多色世界?
意味を徘徊しても
文字の乱射と
ヒカリだけが
悲鳴 ....
milk色の雲 わたしのブレーカーが落ちる音
ひろって そばかす
氷の溶ける間に ひろって
さわって
曲線を描き 瞬きを交差させる 光景
ゆうぐれの歩き方を
わすれてしまいま ....
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